Financial Management

2009/10/28

冷静にコメントしづらいはなし

  1. 某大臣
    (i)郵政の取締役交替はまさに株主主権である件(それってあんたが嫌いな米国流でないの?)
    (ii)郵政に元官僚を送り込んで喜んでいる件(次は資金運用部でも復活させるおつもりなのだろうか?)

    (iii)ゆうちょ銀行と地方銀行で中小企業に協調融資させると意気込んでいる件(信用保証協会同様に不良債権しか回ってこないことが判らない訳はなかろうに)

    (iv)会計コンバージェンスについて勉強していない件(貴方の嫌いな上場企業の連結優先なんですし、小泉・竹中が辞めてから決まったんですから)
  2. ジャスダックと大証ヘラクレスの統合
    ネオとヘラクレスグロースという上場ルールも開示ルールも異なる市場を一緒にして良いのか?ネオに問題がないとはいわないけどさ。
  3. 「介護の勉強したい」と証言したらしいどこぞの被告
    「介護」という言葉の意味を判っているのか?

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2009/08/27

株式持ち合い、信託で解消

26日日経新聞「株式持ち合い、信託で解消 住友信託銀行が新型」から。

株式の持ち合い解消を促す取り組みが官民で広がってきた。住友信託銀行は企業が持ち合い株を手放しやすいように工夫した新商品を開発。持ち合い先の議決権を実質的に持ち続けながら、株式を売却できる信託商品で、30社強が活用を検討している。政府も今年に入って持ち合い株の買い取り再開に乗り出した。経済効果が見えにくく、株価下落に伴う評価損の計上リスクなどもある持ち合いの是正を後押しする。

持合株式については、IFRS導入もアゲンストに働きそうな気配ですから、解消に向けた取り組みが出てもおかしくはありません。しかし、一度は解消方向に向かった日本企業の持合が、その後復活したのを見るにつけ、本格的な解消は難しいのではないかと思ったりも致します。ある会社の総務ご担当者が以前、「阿吽の呼吸だからね」と仰っていたのを思い出します。

住友信託の商品は保有株を同行が管理する信託勘定に譲渡するものの、信託期間中(1~5年を想定)は企業が議決権の行使を同行に指図できるようにして、議決権を事実上残す仕組み。同行の提携先であるドイツ証券が企業に株式の譲渡代金を支払い、信託期間の終了とともに同証券がこれらの株式を取得する。信託期間中に株式が市場で流通することはない。

この仕組みだと、ドイツ証券は信託期間中の価格変動リスクをどうやってリスクヘッジするのでしょう。信託勘定に譲渡する価格は当然時価未満でしょうが、時価相当額での売りオプションを購入(期待される配当額の現在価値まではオプション料に充当できるかと)しようにも、期間が長いと受け手がいる様には思えません。

信託受益権をリパッケージして販売したりするのでしょうが、どうやってワークする仕組みを考えたんでしょうね。

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2009/08/24

ロバートブラウン角瓶

サントリーとキリンの経営統合スキームでもう1つ検討しておくべきものがありました。

それは、

  1. キリンが寿不動産の株式を全株式取得して100%子会社化
  2. 寿不動産が公開買付等によりサントリーホールディングスを100%子会社化
  3. グループ内再編により、キリンホールディングス傘下各社とサントリーホールディングス傘下各社を並列化

というものです。この方式で経営統合したのは、プロミスと三洋信販です。この方式の特徴は、寿不動産もしくはサントリーホールディングス株式を保有している鳥井家の方々にはキャッシュがいき、キリンホールディングスの株式を保有することはない為に、鳥井家の新会社への影響力が、少なくとも持株比率という点ではなくなることです。プロミスと三洋信販の事例では、三洋信販は子会社として存続はしていますが、役員にも創業家は見当たらない位に徹底しています。

キリン側から見ると、(7000~1兆ともいわれる)現金の流出は財務的にかなり痛いですが、三菱UFJFG一丸となれば調達できない金額ではありませんし、持株比率で鳥井家の影響力は残らず、フリーハンドで臨めるというメリットがあります。

一方で、サントリー側から見ると、「キリンに買収される」というイメージになることは否めませんし、鳥井家は将来の統合グループの株価上昇の果実を放棄することになります。ただし、すぐに現生が入っていくるということにメリットを感じる方々がいらっしゃってもおかしくはありません。

どんな形で決着が付くにせよ、面白い事例です。

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2009/08/14

伊右衛門生茶

夏休みに入って、キリンとサントリーの経営統合に関するいくつかの記事を読む機会がありました。ビジネス面でのメリットや同業他社へのインパクトに加えて、サントリーのオーナーファミリーの資産管理会社であり、筆頭株主でもある寿不動産の存在も取り上げられています。ただし、経営統合後に株式を売却すれば莫大な売却益が入るという話にとどまっています。前の記事には売却益の話を入れていませんでしたので、補足も含めて再論。

今回の経営統合の、最も単純なスキームは、サントリーホールディングスとキリンホールディングスの合併です。各種の記事ではこれが税制適格合併になるかを検討しています。上場企業同士であれば、「共同事業要件」さえ充足すればよく、同業同士の合併の場合はまず問題になりません。今回、サントリーが非上場会社ですので、もう1つの要件である「株式の継続保有要件」にも目を配る必要がありますが、サントリーそのものは50名超の株主がいますので、この要件の適用はありません。合併の結果、現サントリーの大株主である寿不動産は、合併会社の株式(上場株式)を取得しますが、税法上の継続保有要件が求められないので、売却可能ということです。

しかしながら、寿不動産のサントリー株式の取得価額と合併後の上場株式の株価には大きな差があります。「鳥井家に売却益が転がり込む」といわれる所以です。しかし、売却するのは寿不動産という法人です。法人の場合、売却益は全て益金ですから、実効税率40%の法人税の計算上の課税所得になります。総合課税ですから、損益をトータルして税金がかかるとはいえ、何十億円単位になると、カバーできる損金を計上することは困難です。そして、鳥井ファミリー個人にお金を戻すには、配当金という形になります。そうすると、配当控除を勘案しても最高税率44%弱という総合課税です。話を簡単にすると、10億円売ってほぼ同額の売却益があったとしても、法人税4億差し引き後の6億円しか配当できず、6億円の配当所得があっても、手取りは3億円強、つまり売却益の約3分の1、という話になります。他に方法はないの?となりますね、普通。

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2009/07/08

優先株式

伊藤園さんといえば、お茶系飲料ですが、M&Aによりタリーズコーヒーの親会社だったりもします。資本政策的な観点からは、優先株式の発行・上場にチャレンジされたことで記憶に残る存在であります。

その伊藤園さんの大株主であるグリーンコア株式会社から7月3日付で大量保有報告書の変更報告書が提出されています。実は、伊藤園さんのように普通株式と優先株式を発行されている会社の大量保有報告書ってどうなるのかなと思っていまして、ここでようやく拝見することができましたので、備忘録的に。

  1. 大量保有報告書の書き方ですが、「法第27条の23第3項本文」列の「株券又は投資証券等」行に、普通株と優先株の合計を記載し、株券等保有割合も同様に普通株と優先株の合計で計算しています。大量保有報告書は持株比率ベースでの提出ですので、これで納得です。ちなみに、内訳は「取得資金の内訳」の「その他金額の内訳」を見ないと判りません。株式の無償株主割当ということですね。
  2. 今回の変更報告書の提出原因の1つは「保有割合が1%以上減少したこと」です。グリーンコア株式会社は普通株式と優先株式の両方を保有していますので、どちらを譲渡したでしょうか。変更報告書には、6月26日に「普通株式2,000,000株を市場外で1,260円」で処分した旨記載されています。当日の普通株の終値は1,373円、優先株の終値は833円です。普通株を約8.3%のディスカウントでブロックトレードで処分したと思われます。
    なぜ普通株を処分したのでしょうか。グリーンコアは創業家である本庄家の資産管理会社ですし、今年は本庄家の次世代が伊藤園の社長に就任したばかりですから、議決権の減少を避けて優先株を処分する選択肢もあったはずです。考えられる理由は3つ。第1に、優先株の取引相手(買い手)がいなかったか、あるいは価格で折り合いがつかなかった。ブロックトレードの相手は機関投資家ですから、優先株の保有が認められていなかったり、価格が折り合わなかった可能性は極めて高いと思います。第2に、議決権よりも配当金を優先した。優先株には優先配当がありますから、議決権1%強の減少が経営に与える影響は少ないと判断して、グリーンコアとしての受取配当金を確保したのかもしれません。実際、優先株だけで約25億円(税前)を調達しようとすると、結構な株数を売却することになりますから、配当金という観点からも好ましくはなかったのかもしれません。それは、ブロックトレードの相手方も同じですから、後付かもしれませんが。第3の理由は税務です。伊藤園さんの説明によると、優先株の取得価額はゼロですから、優先株を譲渡した場合の譲渡益が高いのを避けたのかもしれません。しかし、大量保有報告書に記載されているグリーンコアの株式取得資金をグリーンコアが保有する普通株式数で割ると、取得価額は218円であり、1260円で売却した場合の譲渡益は1042円と、1株当たりの譲渡益は普通株の方が高いことになります。となると、優先株の処分では資金の調達ができなかったことになります。株価の差も広がっていますし、優先株の発行は、今のところ、マイナスに出ていると思われます。

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2009/06/03

書評:企業価値最大化の財務戦略

知人から紹介された本ですが、柳良平「企業価値最大化の財務戦略」読了。

著者略歴によりますと、都市銀行を振り出しに、上場企業のIRおよび財務部長を経て、現在は外資系金融機関でIRアドバイザリーに従事されている方だそうです。ググるとある程度のことは判りますが、勤務されていた大手メーカーさんはIR姿勢の良い会社として有名でありますね。その方が、現在は外資で発行体企業に対してIRアドバイザリーを提供され、かつこのような書籍を上程されている訳ですから、貴重な存在だと思われます。

本書の内容も財務理論が、投資家側ではなく、発行体企業サイドでどのように利用されるべきかということを、実務経験をもとに解説されていますので、貴重な書籍であるといえます。文章のそこかしこに、機関投資家寄りのニュアンスが滲み出ています(投資家の利害とステークホルダーの利害は必ず一致する等)が、現代財務理論的には正当な主張ですし、各方面へのご配慮もある訳でしょうから、ご愛嬌の範囲内でしょう。

突っ込みどころとしては、理論の適用を厳密にすればする程実務が回らなくなるのではないか、という疑問にもう少し答えて頂きたかったかなと思います。つまり、理論的な企業価値は、前提条件を1ついじると大きく変わることがままある訳で、例えば毎月DEBTの調達金利を市場実勢に即して変えて理論的企業価値を計算していたら、昨今のような債券市場においては、その差に右往左往させられるリスクがあるといえます。そこをどのように「割り切って」考えて、実務を行っておられたのかなと思います。

今回は導入編でしょうから、次回作に期待したいと思います。その場合、例えば、大株主との経営権を巡る小競り合いの過程で、会社側提案がまたしても否決されたアデランスが、どのようなIRを行えば、スティール以外の株主の賛同を得られたかの考察等もお願いしたいところです。

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2009/04/05

日本のファミリーオフィス事情(2)

日本においてもファミリーオフィスは存在します。ただし、今後どんどん増えるかというと、そうでもないと思っています。

ファミリーオフィスの前提は、ファミリーがまとまって資産運用や資産承継等の行動をすることです。しかし、現代日本においては、心理的にも、制度的にも、「ファミリーがまとまる」というのは難しいことになっていると感じます。

心理的というのは、「自分は自分、他人は他人」と考える人が増えていることです。これでは、資産をファミリーのものとして、計画的に運用したり、承継したり、という発想にはなりません。親の世代も本音はともあれ、表面的には子供に「自分のことは自分で考えろ」と言っている事例も耳にします。これでは、ファミリーオフィスという発想にはなりません。

制度的にそれを困難にしているのは、言わずもがなですが、民法の遺留分制度と世界有数の税率の高さを誇る相続税法です。遺留分の制度は、戦前の家督相続制度を否定して相続人間の平等を意識したものですが、「自分のものは自分のもの」という心理のバックボーンにもなっていると思います。

相続税法ですが、税率も問題だとは思いますが、ファミリーオフィスの設立への阻害要因としては、相続人に支払い義務を課す方式だということがあると思います。遺産税方式であれば、遺産が分割されなくても納税に支障はありませんから、被相続人(亡くなった方のことです)も、遺産税納税後の遺産は分割しないで信託等にして、その収益のみを相続人達に渡すようにすることも可能となります。日本の税制では、収益受益権の相続が発生した時点で、元本も含めて相続が発生したものとみなして相続人に相続税の納税義務が発生します。遺産税方式の場合、元本はいったん遺産税を支払った後の財産ですから、課税をしないという発想も可能だと思います。連邦税においては遺産税方式を導入しているアメリカでそうかどうかは知りませんが、仮にそういう税制があったとしたら、信託とそれを管理するファミリーオフィスを設定するインセンティブはそれなりにあると思います。

うまくまとまらないのですが、考えていくべきテーマだと思っています。

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2009/03/02

日本のファミリーオフィス事情

日本にファミリーオフィスはあるか?私はあると思います。以下の4パターンが実在している筈です。

第1に、ビジネスオーナーが経営する事業会社内に「番頭さん」もしくは「ゲートキーパー」と呼ばれる方がいらっしゃるケースです。番頭さんの肩書きは、社長室長、秘書部長、財務部長、総務部長、あるいは監査役等と様々です。傾向としては高齢の方が多いかなと思います。財務部長や総務部長や監査役となると、他に仕事がありますから、コンシェルジェ業務までしているケースは少ないですが、資産運用から資産承継まで幅広く富裕層ファミリーの「窓口」として君臨されているケースが多いと思います。

第2に、資産管理会社がファミリーオフィスの機能を持っているケースです。資産管理会社はもともとは相続税の節税対策として設立されることが多いのですが、そこで専門家を雇用して、ファミリーへのサービスを提供しています。雇用されている専門家は、元プライベートバンカーや元事業会社の財務部長や一族のどなたかであったりします。このような方々は、専任であることが多く、ファミリーの幅広いニーズに対応していることが多いようです。

第3に、極めて稀ですが、プライベートバンカーや経営コンサルタントだった方が独立して複数のファミリーにサービスを提供する、マルチファミリーオフィス的なビジネスをされているケースがあります。私募形式の投資商品を金融機関に組成させるに当たり、複数のファミリーの資金を集めている例があります。

第4に、金融機関のプライベートバンキング部門がファミリーオフィス的なサービスを提供しているケースです。外資系のプライベートバンクが海外のイベントに招待する等、断片的に提供しているようですが、邦銀でもみずほFGさんはこんな子会社をお持ちのようです。彼らは、金融商品の販売で収益を上げるモデルですから(一時は投資銀行部門との連携で儲けていたところもあるようですが、本業はこっちの筈ですね)、付随的なサービスになりますが、大手金融機関のネットワークは馬鹿にはできません。

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2009/02/10

公益法人の経営

磯崎哲也事務所さん 「漢検」で思った、公益法人の利益についての素朴な疑問から。

公益法人を取り巻く環境がいつも安定してたり、資金に困ったときは必ず寄付が集まるというなら問題ないですが、そんなはずあるわけないわけで、「ゴーイングコンサーン」として活動し、活動規模を大きくしていくためには、それなりの資金を保持し、拡大していく必要があるはずです。

詳しい事情は私も判りませんが、今回の漢字検定の場合は、公益事業そのもので利益が盛大に積み上がったのが問題なんだと思っていました。つまり、検定料収入>>費用という状態を、理事会が放置したのだと。だったら、営利法人がやる途もあるだろうと。

確かに、非営利法人が活動を続けていく為の基盤の充実は大事だとは思います。しかし、それは公益事業から生じた剰余金ではなく、基金や基本財産あるいは運用財産およびその運用体制を充実させることでなされるべきではないかなと思います。

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2008/12/25

アドバイザーの責任

毎日.jp「 損害:M&A算定で神戸の元会社社長ら 三井住友銀提訴へ」から。.

M&A(企業の合併・買収)で会社を売却する際、価格算定が不適当だったため不当に低い価格で売るはめになったとして、神戸市の元会社社長の男性(60)ら元株主15人が、売却を仲介した三井住友銀行(本店・東京都)に、約1億4700万円の損害賠償を求める訴訟を近く大阪地裁に起こす。過去に工場を移転した際、新工場の帳簿上の価格(簿価)を時価より低く設定したが、転売時には時価が適用されることを見過ごしたと指摘している。M&Aを巡り仲介の銀行の責任が問われるケースは珍しい。

関与者の方々は長く辛い時間を過ごすことになりそうですね。

非上場会社のM&Aですから、担当者の方は、過去2~3期分の財務諸表(場合によっては税務申告書や勘定科目明細をお出しいただけることもあります)で話を始めたのではないでしょうか。そうなれば、最初に提示できるのは、簿価純資産と類似業種批准方式もどきと類似会社方式程度でしょう。そこから、売り手さんの思いを反映させて、売却希望価格を検討していくことになります。

その中で、「この土地の価値はこんなもんじゃない」とかの話が出てくれば、圧縮記帳についても気が付いたと思います。圧縮記帳について正確に理解している銀行員は少ない(私も理解できていません)と思いますので、売り手側アドバイザーとしては色々と考えて、お話を進めることになります。機械や設備の時価など同様で、売り手さんなりに考えて頂かなければなりません。

仮に、圧縮記帳の件が判るケースがあるとすれば、銀行とその工場を担保にとっていて、売り手の承認の上でですが、取引部店の融資資料にある評価額を見る場合でしょうか。そこらへんは個別事情です。

もちろん、路線価や固定資産税評価額をチェックすることは可能です。それは、売り手さんに追加で資料をお願いすることになります。そこまでやるかどうかは、関係者の話し合いです。

私ももうM&Aの実務に携わってはいませんが、ご相談が来ることはあります。売却希望価格の決定については、丁寧にするべきだなと改めて思ったのでした。

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2008/12/22

MBOと利益相反行為

シャルレのMBOは、結局創業家出身の取締役2名が年内に、その他の社外取締役の方々も株主総会で後任が決まり次第退任されることで決着したようですね。

本件については、内部通報制度が機能したことや、設置された第三者委員会の調査報告書が、かなり突っ込んで当事者間のやり取りを再現していることもあり、将来にわたって何度も参照される事例となるかと思います。

MBOに参加する経営陣と売却を強いられる少数株主の間に利益相反が働くのはもちろんでありますし、それを避ける為には、利益相反の渦中にいる経営陣は当然、それを避ける役割が期待される社外取締役も、注意深い行動が求められることに、異論はありません。

今回の社外取締役の方々は、買付者側に対して「もう一声」という交渉は行っています。その過程で、買付者側のアドバイスを受けたり、買付側の価格に近づけるような経営計画の下方修正を容認する等の疑念を生じる行動はありますが、この会社の経営に直接携わっている訳ではない方々としては、止むを得ない部分もあるのではないでしょうか。

経営計画というのは、実現に向けて経営陣以下がコミットできなければならない訳ですから、その策定から経営陣を排除する訳にはいかない筈ですし、前提条件1つダウンサイドに違っただけですべての数字ががらっと変わることだってある筈です。そこのところを裁量を大きく歪めず、かつ少数株主の利益を守るには、関係者はどのように対応するべきなのか、という大きな課題が残った事例という気が致します。

同時に、今後当社を担われる役職員の方々のご健闘を祈念致します。

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2008/10/03

信用収縮

その昔、私は社会人1年生として学んだのが、銀行融資の信用創造機能というものでした。銀行が預金として預かっているお金の1部をある企業にお金を貸します。貸出代り金はその企業の当座預金に入金されます。つまり、その銀行の預り資産は一時的とはいえ増えます。そして増えた預金を、別の企業に貸すことができます。仮に、貸金がすぐに支払われても、金は天下の周り者ですから、誰かの口座の残高を増やすことになります。それを続けていくと、当初の預かり預金をはるかに超える資金がやり取り可能になる訳で、資本主義経済を金融はそうやって支えていると。当時は、誰もその逆工程が起きた場合の対処について教えてはくれませんでした。信用収縮が起きたら、誰かが引き受けられる程度にまで信用リスクを減殺しなければならず、その過程で膨大な数の犠牲者が出ることを私が知ったのは、1990年代も後半に入ってからでした。

そして今はグローバルな信用収縮が起きています。外資系勤務の外国人と話していると、「私のこの業界に20年以上いるが、こんなことは経験したことがない」と言います。日本の場合は、海外からの資金を呼び込むことで解消を目論んだ訳で、その途上にこういうことになっていますから、「日本の経験を参考しよう」とはとても言えないのがつらいところですね。米国の切り札であるバフェット氏が登場しましたので、そろそろ収束して欲しいところです。

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2008/09/01

注意事項が増えすぎても困りますが

後半は雨に祟られた夏休みで、自らの日ごろの行いが悪いことを反省しつつも、その間に多くの会社が民事再生という報道があり、(会社の就業規定によるものとはいえ)休めること自体が幸運なのかもしれない等と考え直したりしております。

さて、8月13日に民事再生を申立てたアーバンコーポレーションさんですが、6月のCB発行に伴う開示が不適切だったのではないかという話題があります。発行会社側の言い分は、発行時にはその後の株価急落は想定外であったということですが、それでもスワップ契約について触れなかったのは上場企業としていかがなものかということになっているかと思われます。しかし、7月9日付プレスリリースの事態があります(7月4日に同社房園社長が担保差入していた株式について、金融機関が売却した為に、同社長が主要株主でなくなった事態)。7月4日の終値は、前日終値263円から189円(74円安)と大幅に下落しております。この日の出来高は前日の約3倍ですから、金融機関からの売注文が大量に出た為と思われます。この株価下落とスワップ契約がリンクして、アーバンさんの資金繰りが好転せず、民事再生法申請に至ったとも考えられます。

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2008/07/31

すかいらーく(続報)

すかいらーくの件で、31日付日経新聞に詳報が出ていました(nikkei.netでは詳しくないので、リンクは貼りません)。

記事で1つひっかかったのは、「すかいらーくの業績がある時点で一定水準を下回ると、投資会社の持つ株式が銀行団に担保として移る契約」があり、それが野村PIさんを駆り立てているという記述です。ここでの疑問は、第1に、今回躍起になっているのは野村PIさんだけなのか、第2に、担保として移ることで何が問題なのか、ということです。

第1の点ですが、日経新聞の記事は、「野村プリンシパルを駆り立てる」という言葉と「野村などに残された時間はあまりなく」という言葉を微妙に使い分けているようにみえます。本件では、エクィティーを出している投資会社は野村PIだけではなく、CVCという海外のファンドもいます。そちらの姿勢はどうなんでしょうか。記事的には野村と同調しているように見えますが、本音の部分ですね。野村PIさんのような日系のファンドは、「外資ほど短期的な見方はしない」という話が多いと思うのですが、実際の「仕振り」が問われているのではないでしょうか。

第2の点ですが、「保有株式が担保として移る」ってどういうことなのでしょうか。略式質であれば、名義も議決権も銀行団には移りませんから、実質的に株式としての立場は変わらない気がするのですが。そもそも今回資金調達しているのは(新)すかいらーくですが、銀行団が融資先の会社の株式を担保としてとりにいくというのは、債権保全上の意味があることなのでしょうか。担保としてとり、質権を行使して株式を取得しても処分できないと思いますし、経営権を銀行団がとるというのも現実的ではない気がします。担当者の社内での立場が悪くなるのは確かですけど...。

いずれにせよ、来月の臨時株主総会に向けての当事者間の動きに注目ですね。

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2008/07/16

事業承継の決意

16日付日経新聞「オーナー経営者引退、「親族外継承」広がる」から。

中小企業に親族外への事業承継が広がっている。戦後から高度成長期に起業したオーナー経営者が引退の時期を迎えているが、少子化や厳しい経営環境で親族の後継ぎが少なくなっているのが背景だ。中小の合併・買収(M&A)を仲介する業者も増え会社譲渡への抵抗感も薄れている。廃業が増える一方で、中小経営が「家業」から脱皮する時期にきているともいえそうだ。

しばらく前のNHKの朝ドラ「ファイト」で、緒方直人さん演じる主人公の父親は、2代目として従業員10名未満の精密ねじ加工会社を経営しておられました。トラブルで営業を休止する羽目になりましたが、酒井のりピー演じる妻が旅館の住み込みの仲居さんとして働く等して、廃業までには至らず、義母の廃業の勧めにもめげず、色々な経緯を経て、事業を再開(元従業員も再雇用!)されていました。ここまでの覚悟と思い入れがないと、事業は承継できないというシナリオがどうやって可能になったかは存じませんが、要点をついていると思います。

そう考えると親族外承継が広がるのは、当然といえば当然です。私が接している起業家の方々のお子様の教育に対する姿勢として、お子様達もしくは配偶者の方の言うがままになっているケースがまま見受けられます。その場合、お子様が事業の承継を希望されるケースは、少ない印象です。思うに、父子の会話が少ない為、自分の事業への思い入れや経営理念を創業者の方がお子様方に語っておられず、お子様方が事業承継の準備をする機会がなかったのではないでしょうか。子供は、小さい頃から親の事業に直接・間接的に関与し、親の経営哲学に触れ続けているからこそ、それ引き継ぐ後継者としての覚悟ができるのではないでしょうか。

親族外に承継するケースとして、従業員への承継が記事にもあるようですが、通常従業員は資金的にしんどいですから、株の承継という問題が生じます。事業承継法と税制は、親族間の承継しか手当てしていませんから、先代の養子にでもならない限りは対象外です。そうすると、経営に興味のない創業家株主という存在が誕生してしまいます。経営陣と株主の関係は良好であるにこしたことはありませんので、創業者が健在な間にきちんと話し合い、明文化(配当性向とか、取締役にするのかとか)しておくことが、これからの時代は望ましいでしょう。経営者がやりづらくてはいけませんし、かといって経営者が暴走してもいけません。そこらへんはきちんとするべきでしょうね。もちろん、会社の金を使って創業家に株を持たせない選択肢(金庫株、大掛かりな仕掛けが必要な会社の場合はMBO)もありますので、その会社の状況次第で使い分けることになるかと思います。

過去の事業承継は、相続税対策のみでしたが、税対策は成功しても、企業経営がうまくいかなかったケース(某大手スーパーとか)もありますので、真正面から事業承継の問題をとらえる必要があるのだと、最近強く思います。

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2008/06/24

CBでDESですか

24日付日経新聞「モック、山田社長が増資引き受け」から。

婚式場を運営するモックは23日、山田信房社長を引受先とする、第三者割当増資を実施すると発表した。山田社長が保有する5億円分の新株予約権付社債(転換社債=CB、モックが過去に発行したもの)を現物出資する。増資後に山田社長は発行済み株式の65.2%を保有する筆頭株主になる。新たに発行する株式数は5万5126株で、発行済み株式数(3万3426株)を超える。新株の発行価格は1株当たり9070円。

「行使価額(137,397円)と時価(6月20日終値7700円)に思いっきり差があるから行使はできないけど、直近の株価より高い価格での新株発行だし勘弁してください」という趣旨なのでしょうか。ということは、もう株価は行使価格から大きくは上がらないという社長様からのメッセージととられることはないのでしょうか。

プレスリリースからは、上場廃止基準に抵触している状況からの脱却の為の1ステップであるとも読めますね。新株予約権の行使が「スジ」ではないかなと思いつつ、今後の展開も含めて、備忘録的にメモです。

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2008/05/28

流転

世間では上場会社の取締役の立場が話題ですが、もう1つ こちらの新聞記事もありました。

コールセンター国内最大手のベルシステム24(東京・豊島)は27日の株主総会で、全9人の取締役のうち園山征夫社長(64)ら6人の取締役と監査役1人が退任したと発表した。経営方針などを巡って9割強の株式を保有する投資会社、日興プリンシパル・インベストメンツと経営陣の間で対立があったとみられる。

この会社は、CSKグループだったのが、園山氏等が日興プリンシパル・インベストメンツと組んで、独立した経緯があります。その後、日興PIの出資比率はほぼ100%になり、その過程で行った一連の取引について日興コーディアルグループは「利益操作」の疑いをかけられて、事業基盤が揺らいでしまい、シティグループの傘下入りすることとなりました。加えて、日興コーディアルグループの会計監査人は中央青山でした。そういう意味では、この会社はいわくがある会社になってしまいました。業務に携わっておられる方々には関係のない世界の話だったのでしょう。

日興PIがシティ・グループ入りしたことが、投資方針の変更、ひいては経営者交代につながったという説もあるようです。この段階で「いわく」が現場にも影響を与えたということなのでしょうか。MBOをする際には、ファンドを気をつけて選べとは言いますが、さすがにこのような事態は想定外でしょうからねぇ。

日興PIが投資回収を急ぐのであれば、コールセンター業界にインパクトがありそうな気が致します。

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2008/04/21

信託で財産継承

前回取り上げたファミリーウェルス:三代でつぶさないファミリー経営学 改訂版―ファミリーの財産を守るために (g.n.n.叢書)ですが、「保有しないで管理する(そしてIRSも手出しできない)」箱として、信託が取り上げられています。日本においては、括弧がきの部分が平成19年度税制改正で完全無欠なまでに否定されていますので、成年後見の代替手段になりうるといったお考えをお持ちの方もいらっしゃいますが、資産税(相続税・贈与税のことです)の分野では余りご関心が高くないのかなぁと思っています。

で、つらつら考えたのですが、以下のような信託は税務上どうなるんだろうなぁと。こうなると、特定の方向けの質問になってしまいますが(^^;、まだ私の駄文に目を通して頂いているかなぁ(笑)。

なお、念の為ですが、本ブログ記載事項は、筆者の単なる思い付きであり、その正確性について一切保証するものではありませんし、法務・税務・財務上のアドバイスを意図したものではありません。筆者は読者の方に法務・税務・財務についてアドバイスを提供する立場にはありません。法務・税務・財務に係るアドバイスは、それぞれの分野における専門家にご自身の責任でご依頼下さい。

信託:甲の推定相続人は、配偶者乙と孫丙(4才)とします。甲が設定した信託は、現金5億円で設定された後に、一定の割合で各種の金融資産に投資されます。その収益から、乙の生存中は月100万円を、丙は満27才に達するまでの23年間月50万円を分配されます(乙の死亡により、丙への分配額は増加しないこととします)。丙の満23才もしくは、設定来35年のどちらか短い期限で信託は終了し、残余財産は国・地方公共団体もしくはそれと同等と認められる公益法人に寄付することとします。

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2008/03/18

実質的な相対取引による自己株式取得

アッカコネットワークスが行ったジャスダックの時間外取引制度を利用した自社株式取得に、同社の筆頭株主兼同業者であるイーアクセスが噛み付いている件について、Arakawaさんが JAPAN LAW EXPRESS: イーアクセス、アッカが行った自己株式取得に対して質問状を提出.で会社法の観点から論点をまとめておられます。グレーだけど、実務上広く行われているし、形式上会社法違反とまではいえないだろうということですね。

私が当初の報道で思ったのは、なんでジャスダック証取はイーアクセスの買い注文を受け付けなかったのだろう、ということです。他の報道では、注文の受託をしなかった証券会社もあったように記憶しています。東京証券取引所のTOSTNET3制度は、まさに買い手は発行体だけという制度として注意深く設計されていますが、ジャスダックの時間外取引はそのような制度ではなかったかと思いますので、制度設計上は買い注文を受け付けることは可能だったと思いますが、どうなのでしょうか。

また、売り手が主要株主で、かつ保有全株式の売却であることもどうかと思います。お互いの呼吸で、エイヤッ、と出来る訳ですから、その他の株主に対してフェアではないという印象が出るのは当然ではないでしょうか。このような場合の自己株式取得の方法としては、もう1つ公開買付という方法があります。どちらかといえば、公開買付をした方が、フェアな印象を持ちます。

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2008/02/29

銀行の論理

日経ベンチャーonline「ニッポンの社長へ: 自社のホントの「格付け」あなたは知ってますか?」から。

この著者の方はみずほ銀行の現役支店長さんです。私は一時期著者の方とは違う銀行の職員(残念ながら融資業務の経験はありません)でしたので、他行さんの現役支店長さんのお言葉は興味津々であります。

我々は、銀行間で過度の競争をあおるこうしたやり方を「ショッピング」と呼んでいます。企業と銀行がチームを組んで良い会社を作り上げ、「格付け」を上げるために知恵を絞るのが王道です。「ショッピング」の相手となるのは正直、勘弁していただきたい。

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2008/02/18

中小企業の事業承継、銀行がファンドで支援

nikkei.net「中小企業の事業承継、銀行がファンドで支援」から。

中小企業のオーナー経営者から後継者への事業承継を円滑に進めるため、銀行が相次いで専門の投資ファンドを設立し始めた。後継者に十分な資金がなくてオーナーから株式を買い取れなかったり、オーナーが引退を希望しても後継者が見つからなかったりする場合に、ファンドが一時的に株式を買い取る。後継者問題を解決することで中小企業の育成を後押しし、将来の取引拡大につなげる。

ファンドを使うとなると思いつくポイントは2つでしょうか。

第1に、ファンドを利用した後継者達は、ファンドの出口戦略という問題に直面することになります。投資ファンドの保有期間って、どんなに長くても10年位が限度ではないかな、というのが個人的な印象なのですが、これらのファンドはどうなのでしょうか。資金力がない後継者は、10年経過しても資金力はそれほどないでしょうし、ましてや10年間で企業価値が増大してれば承継時よりも総要資はかなり増えているでしょう。金庫株で少しずつという方法もありますが、会社とその他株主がキャッシュアウトに耐えられるのか、という問題は残ります。

ファンドは、同業者を買いまくって、規模の拡大を図り、上場or売却するという出口戦略を常に留保している訳なので、(資金の出してが邦銀の場合無茶はしないとは思いますが)後継者側にはプレッシャーをかけてくる可能性は残るのだと思います。それが常に悪ではない訳ですが、きちんと説明しないといけないのではないかなと思います。

第2に、ファンド側に経営者を連れてくることができるのか、ということです。会社の事情で新しい経営者が必要になった場合、巨大企業である邦銀の支店長・部長OBがその受け皿になることは、個人的にはあり得ないと思っています。それがうまくいかないと、邦銀のファンドが入ったが為に、企業を殺してしまう事態だってあり得るのではないかと。

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2008/01/29

虚偽大量保有報告書

NIKKEI NET「金融庁、株保有報告で初の訂正命令・川崎市の会社を虚偽認定」から。

金融庁は27日、トヨタ自動車やNTTなど6社の株式の大量保有報告書を提出していた川崎市の企業、テラメントに対して訂正命令を出した。実際には株を取得していない虚偽報告と認定した。25日の報告書提出から2日後という異例の早さで行政処分を発動。週明けの取引混乱懸念を払拭(ふっしょく)する。ただ誰でも閲覧できる電子開示システムに簡単に虚偽情報を掲載できる問題は未解決のまま。金融庁は今後改善策を検討する。

(少なくとも日本のビジネスマンなら)ありえない内容の報告書ですから、少なくとも報告書を提出した企業の有価証券の取引に影響を与えることを意図してはいないかと思われます。愉快犯なのか、操作ミスなのか、あるいは開示間隔を短くした規制を報告書の事前チェック制度導入により逆行させることを狙った確信犯なのか。色々考えても無駄ですし、ここまで立派な開示制度を逆行させることには違和感がありますので、課徴金で対応するのが無難かなと思います。

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2008/01/28

政府からの劣後ローン

NIKKEI NET「中小支援へ政府が4月に新融資・増資扱いの劣後ローン」から、

政府は中小企業の支援を狙った新しい融資制度を4月に設ける。借り入れ分を自己資本に組み入れたとみなせる「劣後ローン」を使った融資サービスを、政府系の中小企業金融公庫が始める。中小企業が自己資本を強化すれば、民間金融機関からの融資を受けやすくなる利点がある。

趣旨は判ります。感想を2つほど。

1.民間金融機関の内部格付が「有意」に上がる条件(金額、金利、期間、返済条件)で劣後ローンが供給できるようにしなければなりませんが、そこらへんの連携は済んでいるのでしょうか。

2.中小企業育成では株式取得をしている訳ですが、そちらを拡充することも検討した上での施策になっているのでしょうか。

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2008/01/22

少数株主は強し

nikkei.net「CFS、アインの統合否決・イオン、42.8%反対票集める」から。

ドラッグストア大手のCFSコーポレーションが22日、静岡県沼津市で開いた臨時株主総会で、調剤薬局大手のアインファーマシーズとの経営統合案が否決された。CFSの筆頭株主で、統合に反対し委任状争奪戦を仕掛けたイオンが議案否決に必要な議決権の3分の1以上の42.8%の反対票を集めた。

42.8%の分母ってなんですかね。総議決権数なのか、出席した株主の総議決権数なのか。多分、後者だと思いますが、主要株主が反対に回った場合の(1月23日minoriさんのコメントを受けて追記)特別決議のバーの高さを改めて感じますね。

(1月23日追記)日経新聞の報道では、当日行使された議決権は、総議決権数の約91%だそうで、これは高い方ですので、以下の記述も一部変更します。

とはいえ、逆にイオンが経営陣の首を挿げ替えるだけの議決権(過半数)を確保できなかったことも証明された訳です。統合比率が不利とのイオンの主張には賛成するが、イオンとの提携強化にも賛成したくない株主は、議決権を行使しなかったのではないかと推定されますので、イオンがここまで巧妙かつ積極的にやっても過半数の反対票を得られなかった訳ですから、イオンとの業務提携の強化という目はないと思います。CFSの株価が下がれば、追加取得して経営陣を追い出すこともできる目はあるでしょうが、それはまた別の話でしょう。イオンとしては、陣営の引き締めはできる訳ですから、それで当面は目標達成だと思います。

統合後の新経営陣の主導権を確保する為に統合比率に拘ったのでしょうが、それが完全に裏目に出た事例といえるかと思います。主要株主の追い出しには周到な準備をしましょうという当たり前のことを示しただけに終わりました。

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2007/12/17

創業家一族による買収ねぇ

6月の定時総会で、大株主からの動議により代表取締役が再任されなかった会社でありますが、nikkei.net「パトライト上場廃止へ、創業家のTOB受け入れ」から。

表示灯大手パトライトの創業家一族の資産管理会社である福寅(奈良県生駒市、佐々木雅綱社長)は14日、パトライトに対してTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化をめざすと発表した。成立した場合、三菱UFJ証券などが出資する投資ファンドのパレス・キャピタル(東京・千代田)が福寅の株式の過半数以上を取得し、パトライトの経営改革を進める。パトライト側は申し出を受け入れることを同日表明した。

ということで、創業家の資産管理会社がMUFG系ファンドの助けを借りたTOBをかけて、上場廃止にもっていくことになった訳ですね。昨日後場終了後に業績下方修正出して、今朝の前場開始前にTOBと賛成の発表ですか。エクィティーを出す三菱UFJ系のパレスキャピタルって初耳ですね。どうなっていくんでしょうね、この会社。

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2007/09/07

エース証券その後

以前取り上げたエース証券ですが、しばらくぶりにEDINETをたたいてみると、昨年10月に決着していた模様ですね。平成18年10月27日提出の同社の臨時報告書によりますと、10月23日付でプリヴェの保有株式全てを金庫株した結果、プリヴェは主要株主ではなくなり、AOKIホールディングスの議決権比率10%を超え主要株主に該当することとなったとあります。つまり、お金でプリヴェにお引取り願ったということですね。

自己株式の相対取得ですし、プリヴェの持株比率は25%超で、かつ6ヶ月以上保有していたとなれば、証券会社を持つという経営戦略上の野望は達成できない分を経済的なメリットで相殺することで決着したと、傍目にはなります。実際にどのようなやり取りが行われたのかは定かではありませんが。

しかし、今後この会社はどうなるんでしょうね。平成17年8月の第三者割当増資引き受け組が、議決権の3分の2近くを抑えている状況ですが、当該3社の思惑は傍からは見えません。大株主側に証券会社経営ができるとは思えないですし。

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2007/09/04

みなし配当の怪

伊藤園さんの種類株式は9月3日に無事上場し、初日は2930円で取引を終えたようです。私個人としては、この種類株式が株主割当で発行されたことは興味深いと思っています。

念の為のですが、私は法務・税務・会計等について助言する立場にはありませんし、当ブログの記載はそのようなものを意図したものではありません。また、当ブログの記載の正確性・信憑性について保証するものではありません。読者の方は、ご自身の行動の結果については、当方では一切責任を負いかねます。必ず専門家にご確認の上で、自己の責任においてご判断下さい。

第1に、伊藤園の株主で株主総会の議決権は残したいけど、まとまったお金が欲しい株主(仮に通算できる損があれば最高)には、大変ありがたいのではないでしょうか。仮に今回の種類株式がなければ、伊藤園株式を担保に借入を起こす(金利負担が生じますし、借入は返済しなければなりません)か、なくなく伊藤園株式を売却するしかなかった訳ですから。

第2に、種類株式の取得価額です。これについては伊藤園のプレスリリースにも、大和総研さんのレポートにもあるとおり、取得価額ゼロということになるようです。理論的には、本日の普通株式の時価と種類株式の時価で、普通株式の取得価額を按分する等も考えられますが、実務の負担を考えてこうなったようですね。従って、当該種類株式を譲渡した場合には、全額譲渡所得(もしくは益)になります。

第3に、本種類株式に係る資本金等の額はゼロになるのではないでしょうか(平成18年度税制改正で、資本金等の額は種類ごとに分けて計上することになっていますが、本種類株式は払込がないので、資本金等の金額はゼロしかないと思いますが、間違っていたらご指摘を頂きたいと思います)。となると、伊藤園が相対で本種類株式を株主(法人、個人株主どちらも)から取得した場合や、公開買付で株主(法人株主のみ)から取得した場合の税務に影響があることになります。資本金等の額がゼロですから、全額がみなし配当ということになりますので、法人株主の場合には配当金の益金不算入の特例が使えることになります。具体的な計算は省略しますが、会社法会計上は株式の譲渡益がたちますが、税務上は損金を計上できるケースもあるということになります。普通株式でも同様で、かつ過去に例もあり、当局も対応を考えている旨、いくつかの税務関係の雑誌等が報じているようですが、現状では適法な税務会計となる模様です。

みなし配当という税法上の概念は、金庫株解禁にあわせて導入されたと記憶していますが、実態としてどうなのかなと思ってしまいます。

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2007/05/25

事業承継型経営統合

4月6日付け株式会社平和から、「株式会社平和による
株式交換を通じた株式会社 オリンピアの完全子会社化に
関する基本合意のお知らせ」
と題するプレスリリースが出ています。
このプレスリリースはユニークです。スキームを選択
した本音が書いてあります。意訳すると「中島家から
石原家に経営権を譲渡したいけど、普通にやると平和
が上場廃止になるので工夫しました」ということにな
ります。

こういう面白いスキームについて、それを選択した方
々の思考を自分なりになぞるのは面白いものです。念
のためですが、私は本件の関係者でもなければ、当ブ
ログは税務・法務・会計等に関するアドバイス等を意
図したものではありません。

平和の経営権を移動する方法としてまず考えられるの
は、オリンピアもしくは同社石原社長がTOBをかけ
る方法です。この場合、オリンピアサイドは多額の資
金が必要ですし、平和は上場廃止となります。昨今の
ファンド事情を考えると、オリンピアにファイナンシ
ャルスポンサーはつく可能性はあったと思いますし、
当面の上場維持にそう大きなインセンティブはないよ
うにも思えるのですが、当事者はそうは考えなかった
ようです。

資金を使わないで経営統合する方法としては、平和と
オリンピアが合併・株式交換・共同株式移転等を行う
ことが考えられます。現行の上場ルールや会計基準で
は、実態としてどちらかがどちらか「取得」していな
いかを判断しますので、その点では各手法に差はあり
ません。株式移転は純粋持株会社という新たな経営体
制を作る必要がありますし、合併は2つの会社を1つ
にしますのでこれも新たな経営体制を作る作業です。
残るのは、両社の組織をそのままにできる株式交換と
いうことになります。

株式交換となると、まずは税制適格かどうかですが、
今回は共同事業要件がクリアできるものと仮定してよ
さそうです。また、上場維持という観点と、すでに平
和がオリンピア株式の20%を保有しているという点
から、平和がオリンピアを完全子会社にするという形
式をとったものと思われます。

さて、株式交換した場合ですが、プレスリリースにも
ある通り、現状のままで株式交換をかると中島家も石
原家も3分の1を超える議決権比率を持ちますので、
経営権の移動がはっきりしません。更に、少数特定者
持株比率が上場廃止基準に抵触する可能性が高い為、
平和の上場が廃止になってしまいかねません。

ということで、以下の複数の取引を走らせることにな
る訳です。

1.平和による自己株式公開買付に中島家の資産管理会
社と中島家が設立した財団法人が応じる。この目的
は、中島家サイドの議決権比率を下げることと思わ
れます。加えて、オリンピアとの株式交換の際に取
得した自己株式を使うことで、既存株主の価値希薄
化を避けるという点を強調可能です。また、応募し
ているのは法人株主ですから、市場売却よりは手取
りが多いことが期待できます。自己株式取得ですか
ら、平和の資金負担で行っていることもポイントで
す。
2.石原家資産管理会社による平和株式の公開買付に中
島家資産管理会社が応募します。これは株式交換後
の石原家の議決権比率を上げることが目的でしょう。 中島家の資産管理会社に益金が発生する可能性があ
りますが、どうなのでしょうか。
3.オリンピアが石原家の資産管理会社から自己株式を
取得します。これは恐らくですが、石原家の資産管
理会社が平和株式を取得する資金をファイナンする
ことが目的ではないでしょうか。資産管理会社より
は事業会社の方が資金調達は容易だと思われます。
仮に、オリンピアの有利子負債が増えている場合、
平和グループの負債ということにはなります。
もう1つの効果は、株式交換後の石原家資産管理会
社の議決権比率を下げることです。ただし、それで
あれば石原家の資産管理会社が平和株式の公開買い
付けをしなければ良いとも思うのですが、そこのと
ころの経緯まではプレスリリースからは読みとれま
せん。
4.平和がオリンピアを株式交換により完全子会社化し
ます。これにより平和の支配権は石原家に移動し、
平和とオリンピアは統合されます。

ここまで整理できると疑問点が3つあります。

1.平和の経営権が石原家に移動すると言うことは、形
を変えてみるとオリンピアによる平和の買収ともい
えます。非上場会社が上場会社を買収したにも係わ
らず、形式上上場会社を上場会社として維持するこ
とは、「不適切な合併等」として即監理ポスト入り
で最長2年間上場審査の対象となります。しかし、
東証は今回そのような措置は執りませんでした。私
はどのような理由でそのようになったかについて東
証には説明義務があると思います。
2.経営統合後の平和の主要株主は石原家の資産管理会
社です。このような場合、新規上場であればその資
産管理会社は「親会社等」として上場企業並の開示
と最低1期の会計監査がが求められます。ところが
平和は既上場会社ですので親会社等に該当しても会
計監査まで求められることはありません。もちろん、 決算内容等の開示は義務づけられますが、会計監査
のあるなしは大きいと思います。
3.経営統合後の平和の連結財務諸表はどうなるのでし
ょうか。プレスリリースにもあります通り、オリン
ピアによる平和の買収として会計処理がされ、逆の
れんが発生する可能性があります。というか、実態
から考えるに、オリンピアが親になると思います。
そこで逆暖簾が発生するとのことですが、平和のP
BRが1倍を切っているからでしょうが、株式交換
比率に由来する部分があった場合には、平和株主の
負担でオリンピアを買収している訳ですので、公開
買付価格を低くしたことと矛盾があるような気がし
ます。

来年の有報でどこまで疑問を解消できるでしょうか。

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2007/03/29

同床異夢

もうかなりの旧聞になってしまいましたが、ビックカメラとエディオンが資本業務提携するというニュース は、エディオンを家電量販店業界のイオンと向きもあったりして、興味をそそられます。これをうけての対応で業界地図も変わるかもしれません。

ビックカメラとエディオンの統合ですが、その後は同床異夢ぶりを懸念する報道が目に付きます。

ビックカメラ側の意図として報じられているのは2つ。これまで郊外型店舗中心だったヤマダ電機が、駅前型店舗を増やしており、直接競合するようになった為、バイイングパワーでヤマダに少なくとも並ばないと価格競争で後れをとってしまう可能性があることが1つ。もう1つは創業者である新井会長が約7割の保有している株式の受け皿が必要なことです。これらを同時に満たすためには、エディオンが新井会長から株式を少なくとも40%は取得してビックカメラを子会社化することがベストシナリオです。子会社化により、エディオンとビックはメーカーから1グループとして認めさせることができますし、相続の心配がない法人の安定株主を得ることができます。また、経営から一歩引いたとされる新井氏にとっても創業者利益を実現することができます。

一方、エディオン側は相次ぐM&Aでヤマダ電機と並べることはもちろんですが、敵対的買収防衛効果を期待していると報道されています。規模を拡大することで防衛することもあるのでしょうが、一部では株式交換でビックカメラを100%子会社化した場合、約3割を保有する筆頭株主としてビックの新井会長が登場であろうことが買収防衛策になると考えているとされています。このシナリオはビックおよび新井氏の思惑とは正反対であります。

このギャップが当初3%ずつの株式相互保有、2年後の経営統合を視野、という形でしか折り合わなかったとした場合、それを埋める努力が実るかどうかが楽しみということになります。

(追記)経営統合交渉が中止されたとのことですが、2点お断りしておきます。第1に、私はインサイダーではなく、両社の交渉について何らの利害関係を有しません。第2に、本記事の公開時期について特に意味はありません。念の為。(2007年4月2日追記)

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2007/01/18

Going Private における minorty squeeze out 手法

上場会社のMBO(上場廃止を伴うので本ポストのタ
イトルにある通り、ゴーイングプライベートとも呼ぶ
ことができます)においては、SPCによる公開買い
付けに応じなかった少数株主の排除を行います。理由
としてはいくつかあるのですが、そこはそれとして、
これまでにその為に広く使われていたのは、産活法を
利用した現金対価の株式交換でした。
ところが、平成18年度税制改正において株式交換に
も適格要件が定められ、平成18年10月1日以降に
おいては、完全親会社株式以外を交付する現金株式交
換は税制非適格株式交換とされました。税制非適格株
式交換となると、株式交換により完全子会社となる会
社の主要な固定資産について、税務上時価評価し、評
価益が生じた場合、法人税の課税所得を増やさなけれ
ばなりません。ゴーイングプライベートの場合、対象
企業の資産に含み益があったり、のれんの認識が必要
な場合には、税金の支払いというキャッシュフローシ
ミュレーション上大きな問題を抱えることになります。
この問題を回避するスキームはいくつか言われており
ましたが、新株式交換税制においてのゴーイングプラ
イベート第1号といわれるキューサイが少数株主排除
(minority squeeze out)の方法を確定させた模様で
す。
同社のプレスリリースによりますと、当初は少数株
主に交付される株式数が1株未満となるような株式交
換が予定されていたようですが、それを断念し、以下
の方法になったとのことです。

1)定款変更により、種類株式を発行可能にする。
2)同じく定款変更により普通株式に全部取得条項を
付与する。
3)全部取得条項を行使して、普通株株主から株式を
取得し、対価として種類株式を交付する。その際に、
少数株主には1株未満しか交付されないようにして、
結果的に金銭を交付する。

これは会社法で新たに可能になった手法で、総株主の
同意なしに強制的に100%減資する仕組みとしてこちらの本
紹介されている手法の変形といえるでしょう。

当初の株式交換案が採用されなかったのは、おそらく
SPCと事業会社の株式交換は税制適格にならない可
能性が高く、その場合の完全子会社であるキューサイ
が負担する法人税額を無視できなかったからでしょう。賢明な判断だったと思います。もちろん、この方法に
もリスクはありまして、プレスリリースにもあります
が、少数株主が反対株主の買取請求権を行使し、買取
価格を裁判所に算定するように申し立てた場合、手続
が面倒になってしまいます。しかし、公開買付に応じ
なかった株主がそのような手続きを踏む可能性は低い
と思います。

私は株式併合でけりが付かないかと思っていましたが、単元未満株主の株主権について制限できないものがあ
りますので、その意味では今後もこの手法が使われる
のでしょう。

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2005/12/15

会社を売ると決めたら

Accounting Blog " Advice For Selling Your Business "から。



Thinking of selling your business? One of the first things you should know is that the process is far from a precise science. For example, business valuations can vary greatly depending upon the type of business, the valuation method used (there are several), and a variety of financial factors (which generally boil down to three things: assets, profits and/or cash flow). As if that weren’t enough, sometimes the most important factor in a company’s sale has nothing to do with the numbers- instead, it relates to the buyer’s motivation.


事業の売却プロセスというのは精緻で科学的とはとてもいえない、というのはその通りです。買いたい人と売りたい人がいて、価格で合意しなければならない訳ですから、関連当事者の損得勘定が表に出るというとても「ドラマチック」なものだというのが、私の経験です。このコラムは売り手が考えておくべきことを4つのポイントに整理してくれています。


1) Start early. (早く始める)


事業を売りやすい状態にする為の時間を確保する為に、できれば3年前から準備を始めるべきだというのが、筆者のアドバイスです。これができれば苦労はありません。売ることを決めている事業に3年も付き合う人は普通はいませんから。


2) Systemize your business.(事業をシステム化する)

事業の進め方がオーナーの頭の中にしかない状態ですと、他人が買うには大きな障壁となります。マニュアル化されていて、他人でもある程度はできるようにしてある事業は高く売ることができます。

3) Optimize your financial performance.(業績を最大限あげる)

多くの場合、買い手は将来キャッシュフローを買う訳ですから、それを大きく見せられる事業の売値は高くなります。

4) Think of business valuation as a starting point.(交渉のたたき台となる売却希望価格を考える)

買い手と売り手が最初から価格で合意することはまずありません。売り手は事業を高く売りたいと考えるのは当たり前です。ただし、法外な値段ですと交渉のテーブルにつく相手がいなくなってしまいますので、注意が必要です。また、筆者は触れてはいませんが、売り手が先に価格を言い出すと、それが上限になりますので、切り出すタイミングも重要です。

事業を売却する決断は関係者が多くなればなるほど難しいものです。実際には、売る為の交渉を開始した後で「やはり止めた」というケースを結構経験します。自分の役割を起業だけと割り切る方もいらっしゃるのでしょうし、ある意味ではその方が上手く行くのかも知れませんが、私の遭遇する方々にはそういう方は少数派と感じています。

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2005/10/07

支配権目的の投資ファンドが子会社上場を提案する?

6日付日経新聞村上ファンド、阪神タイガーズ上場提案から。

阪神電気鉄道の筆頭株主となった村上世彰氏が率いる投資ファンド、M&Aコンサルティング(東京・港)が阪神電鉄に対して、傘下のプロ野球球団、阪神タイガースの株式上場を提案していることが4日、明らかになった。数年内に阪神タイガース株の公募・売り出しを実施、大阪証券取引所ヘラクレス市場に上場する内容。選手に株式購入権(ストックオプション)を与えることも盛り込んだ。
関係者によると、村上ファンド側は株主を増やすことで観客動員・グッズ販売の増加が期待でき、収益力を向上できると阪神電鉄の経営陣に説明した、という。

ヘラクレス市場への上場を提案しているのは、自身が大阪証券取引所の大株主だからというご愛敬をかましておられるのはさておき、村上氏は子会社上場を求めているのでしょうか、それとも阪神球団を半身電鉄から完全に切り離す形での上場を求めているのでしょうか。

スポーツ紙などの報道を拝見すると、球団の株主の移動があった場合は、すべてプロ野球機構に届ける仕組みのようですし、プロ野球球団の親会社が変更される時には、オーナー会議の承認が必要なようですから、球団の株式は上場適格とはいえないように思えます。機構にかけあって、株主名簿を四半期毎の提出に緩和することと、阪神電鉄が過半数以上を絶対に保有することを確約すること、そしてそれを大阪証券取引所にのませることができればなんとかなるかもしれません。そうすると、子会社上場になってしまいます。

子会社上場というのはその昔単独決算重視主義であった日本市場独特の制度ですから、私は村上氏のような方が持ち出されるとは正直驚きです。阪神球団の価値を親会社が有効活用していないのであれば、有効活用させた上で利益を吸い上げ、それを親会社の株主に配分するようにさせれば良いことです。せっかく、価値がある子会社からの上がりを子会社の少数株主という外部に流出させるのは得策ではない、というのが私の理解です。

子会社上場は親会社に一時的に売却代金が入ったりしますので、それを特別配当してくれたら「さよなら」したいという思惑でもあるのでしょうか。過去に東京スタイルでも、機関投資家もびっくりの高額配当案を株主総会に議案として提出した村上氏ですから、それはそれで筋が通っているのかもしれません。だったら、全株(少なくとも支配権相当分)売却する提案をしても良かったはずと思います。資産の少しずつ切り売りすることよりも、阪神グループの長期的な企業価値向上の観点からは、完全子会社として継続する(もしくはヤクルト球団のように意味のある株主に一部もって貰う)か、グループから切り離すかの選択肢ではないかと思います。

もうひとつ村上氏が選択肢として提案すべきではないかなと思うのは、「トラッキングストック」です。ソニーが唯一発行したものです。これによっても阪神電鉄は阪神球団の潜在価値を顕在化して資金調達が可能です。それを株主に分配することに回せれば、村上氏には満足なはずです。もちろん、トラッキングストックの保有者は阪神電鉄にも阪神球団にも原則経営参画できず投資家がつきづらいという問題がありますが、子会社上場とて問題ありですから、まとめて提案しておいても良かったと思います。

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2005/10/02

純粋持株会社設立はいいけれど

15日付(だったかな)日経新聞サンマルク、来年1月メドに持ち株会社制に移行から。

「サンマルクは来年1月をメドに持ち株会社制に移行、同3月をメドに業態別に分社化すると発表した。持ち株会社の名称は「サンマルクホールディングス」の予定。片山直之サンマルク社長が株式を100%所有する資産管理会社デコールが、来年1月をメドにサンマルクの親会社になる。」

このスキームは平成14年頃に未来工業という名証上場の会社がやったのが最初で、その後、メルコ、ツルハと続いていると記憶しています。

このスキームを考える上で気になることが2つほどあります。

第1に、片山社長の保有資産に占める上場株式の比率がかなり上昇します。換金性や資産性を考えればそれを良いとすることもできますが、逆に市場価格でしか評価できない資産だったりする点をデメリットと考える税理士の方もいらっしゃるようです。

第2に、株式交換比率を考える上で、デコールにサンマルク株式以外の資産がある場合は問題になるだろうということです。デコール株式である片山社長が交換前よりも多くのサンマルク株式を保有することになるかもしれないからです。

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当初2年間行使できないMSCB

これってどうよ?、という問いが知人からありました。

スキームとしては、グッドウィル・グループがMSCBで250億円調達しますが、そのCBの2年分(CBの期間は4年間)の転換権を行使する権利を実質的に折口会長のプライベートカンパニーである折口総研が保有していて、MSCBの引受先である大和ヨーロッパは行使できない状態になっています(折口総研はオプション料3億円を支払っています)。

まず、当初2年間分のオプション料が3億円ということですから、後半2年分のオプション料を併せて考えた場合、果たして本当に有利発行ではないのか、という疑念は生じます。2年間で3億円というと、元本250億円の1.2%(単利で年利に直すと0.6%に)相当します。後半2年間は価格修正条項もより柔軟ですし、時間的価値を考慮すると3億円以上のオプション価値がありそうです。仮に2倍の6億円だとしても、4年間で9億円というと250億円の3.6%(単利で年利に直すと0.9%)です。そうなると、グッドウィル・グループの社債発行コストと比較して必ずしも有利発行とはいえない、というロジックも成立するかとは思います。実際のところ、第3者から有利発行ではないという意見書を取っていますので、精緻な数理モデルでロジックを展開できる準備はしているのでしょう。

また、折口総研は自分が望んで、資金調達が可能であれば、グッドウィルグループに対する持ち株比率を高めることが可能です。敵対的買収防衛を意図しているかどうかは判りませんが、そのようにとらえることも可能です。行使後の折口会長グループの持ち株比率がどれ位になるのかの開示はありませんので判りませんが、敵対的買収者に対して自己の地位の保全策があることをアピールする効果は否定できません。たとえ、その為に折口会長側の巨額の資金調達が必要になることがあるとはいえ、防衛策の効果を持つ施策を株主総会決議なしに実行していいのかという疑念は残ります。それに対する答えは、投資計画や過大な有利子負債比率なのでしょうから、一般投資家としてはそれを監視していくしかないといえます。

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2005/09/01

派遣社員が9億円以上着服・東京三菱銀

8月26日付日経新聞派遣社員が9億円以上着服・東京三菱銀に業務改善命令から。

金融庁は26日午後、三菱東京フィナンシャル・グループ傘下の東京三菱銀行に対し、業務改善命令を出したと発表した。同行子会社の人材派遣会社から受け入れた派遣社員による顧客預金の着服が発覚したため。不祥事再発防止策の策定などを求めている。 東京三菱銀による行内調査によると、当該派遣社員の着服は10年以上の長期間にわたり、着服した総額は9億円以上に達し

東京三菱銀行およびその子会社である派遣会社はどういう内部監査をしていたのでしょうかというのが正当な疑問ですが、もう1つの疑問として「10年も気づかない顧客って無防備すぎないか」です。

過去、銀行はごく一部を除く顧客に対してほぼ均質のサービスを提供する体制でした。その結果、小口の事務も大口の事務をするのと同じ工員が同じように処理をすることを当たり前と思って来たのではないでしょうか。それが今のメガバンクでは、顧客の中身によって担当者も提供するサービスも変える戦略をとっています。特に、マスリテール部門における決済サービスは余り収益性が高くないだけに、コスト削減の対象となり易いものと想像します。私のようにネットバンキングとatmで用が足りてしまう人間には、銀行員と面と向かって話をする機会はほとんどありません。高額の送金をした時と子供の口座を開設した時に、久しぶりに窓口に行きましたが、今後の心構えとして自分の目の前にいる銀行員らしき人は本当は銀行員ではないかもしれないと思っておかないといけない時代が来たといえるのでしょう。あるいは、バックオフィスは派遣社員ばかりだとも思わなければならないのでしょう。

結果、事務処理に以前のような丁寧さが欠ける事態は避けられないものという前提で銀行に接しないといけないのかなと思ったりしています。

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2005/08/22

社長の個人出資(2)

前のポストの続きです。上場企業の社長が、その上場企業に買収される会社に個人出資することをストックオプションと捉えることもできるかと思いついたので、追記的に。

社長が個人の資産で株式を取得することで、同時に出資する上場会社と利益を共にし、被買収会社、ひいては買収会社である上場企業の企業価値向上へのインセンティブとしているとは考えられないでしょうか。

なお、今回問題にしているのは、買収会社の社長が被買収会社の株式を一部取得することです。以下便宜上、上場会社である買収会社をP社、被買収企業をT社とします。

株式ベースの報酬は、米国ではエンロン事件等の経営者の犯罪の原因と考えられています。日本ではそういう例は少ないようですが、目先の業績を良く見せる方向への強力なインセンティブであることは間違いないでしょう。そのような場合に困るのは、売却のタイミングを逸してしまうP社既存株主もそうですが、新規に株式を購入する判断を誤らせられる投資家も損害を被ります。上場企業であるP社取締役として、市場参加者全体に正確な情報を開示する義務が有る訳ですから、売る選択肢だけとなりがちなインセンティブとしての株式保有には問題があるのではないでしょうか。

仮に、P社社長が株式を保有するとしても、それはP社株式ではないでしょうか。T社株式を保有した場合、その処分方法はP社への譲渡が有力な手段です。その場合、T社株主としての立場とP社取締役としての立場では利益相反が生じます。株式売買の実行時のP社取締役会決議の議決に当事者である社長は参加できないわけですが、それ以外の部分で利益相反が起こり得ないのかが気になります。

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2005/08/17

社長の個人出資

8月11日付asahi.com「ドン・キ、「オリジン弁当」株取得へ 事実上筆頭株主に」から。

大手ディスカウントストアのドン・キホーテは11日、弁当・総菜店「オリジン弁当」を展開するオリジン東秀の株式の一部を8月末に取得すると発表した。同時に安田隆夫社長も株式を取得するほか、オリジンの大株主の不動産管理会社も買収。これらを合わせた持ち株比率は23%余りで、事実上の筆頭株主となる。

このような買収形態は過去にもみたことがありまして、その都度「なぜ社長が個人出資しなければならないのだろう?」と思います。「経営している上場会社に投資先が倒産するリスクを過大に負担させたくないから」等という理由を言う方もいらっしゃいました。しかし、結局は上場会社にメリットがあるからの出資でしょうし、その実現のためには上場会社のリソースが使われる訳です。

買収後の経営が上手く行けば、上場会社の基盤を使って社長個人の資産の価値が上がる訳ですから、悪い言い方をすれば社長の個人資産の価値を上げるために上場会社のインフラが使っている、ということにはならないのでしょうか。また、会社の業績が上向いたところで、被買収会社が上場等して社長が株式を売り出したり、上場会社と被買収会社が合併したり(社長は被買収会社の持分に応じて上場会社の株式を受け取ります)、社長の持分を上場会社が買い取ったりするケースもあります。その場合、社長の資産形成に上場会社が貢献しているともいえます。これで代表取締役社長としての株主への責任を果たしているといえるのでしょうか。

このような買収形態はいわゆる「オーナー企業」がやりますので、社長は上場会社の大株主でもあります。従って、社長の中で利益相反は解決されていく筈のものかもしれません。しかし、少数株主の立場はやはり軽視されているように感じてしまいます。

では、上場会社は一切関与していない(ようにみえる)この場合はどうよ、ということですが、上場会社の取締役は上場会社の経営に最大限の時間を使うべきではないかと思います。従って、上場会社の取締役がプライベートカンパニーの事業を拡大させているのをみると、やっぱり「う~ん」と唸ってしまいます。

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2005/08/16

成功するM&Aか

14日付日経新聞「夢真のTOB、過半数に達せず」にある通り、夢真HDは日本技術開発の経営権を取得することはできませんでした。夢真は事前警告型防衛策の意義(中長期の企業価値向上戦略も描けない経営陣が敵対的買収者に中長期の計画を提出することを求めることは正当かとか、敵対買収を目論むプレーヤーは防衛策があっても仕掛けてくるものだ、とか)を問いかけたり、買収防衛策としての株式分割の有効性を否定したりしてくれました。その意味ではライブドアと共に、日本の会社法制や経営思想を変えさせた功労者であります。

一方で、夢真は日本技術開発を傘下に収めることには、少なくともこの段階では成功していません。買付株価だけで判断を求める株式公開買付を強行した結果、日本技術開発経営陣や従業員の反発を買い、ホワイトナイトという夢真からみた場合の競合相手を呼び込み、夢真主導での買収は困難な情勢です。このままでは、やみくもに公開買付に突入したことが致命的だったと評価されてしまいます。

もちろん、まだ決まった訳ではありません。エイトコンサルタントの公開買付は、買付下限として過半数確保となっている上に、現在進行中であり、その帰趨は10%超を保有する夢真が握っているといえなくもありません。エイトコンサルタントの公開買付を不調に終わらせることができれば、夢真が再度日本技術開発に対して買収提案をすることも可能でしょう。

そもそも夢真は日本技術開発の何が欲しかったのでしょうか。割安株を売り抜けることが目的ではない事業会社ですから、日本技術開発の事業や有形・無形の資産に魅力を感じての買収提案だった筈です。オラクルとピープルソフトの件は、どうあってもピープルソフトが他社の傘下に入ることを阻止したかったオラクルがかなり粘って買収が成立した訳ですが、夢真はどうなのでしょうか。

一方、日本技術開発は防衛に成功したといえるのでしょうか。少なくとも夢真よりも条件の良い買い手を見つけることができた訳ですから、それほど悪い結果とはいえないでしょう。今の経営陣とエイトコンサルタントで企業価値を上げられれば、丸く収まることになるでしょう。それができなければ、経営陣はエイトコンサルタントから首を切られることになるでしょうが、まぁどうせ今の株価を放置せざるを得なかった経営陣ですから、延命できれば御の字なんだろうと思います。従業員とて新体制で能力を発揮できればそれでよしとなるでしょう。

この結果は、防衛策の効果なのでしょうか。防衛策導入発表によって夢真側が多少公開買付の時期をずらしたかもしれませんが、そうではなかったことを考えると、必ずしも防衛策導入効果ではなかった気がします。やはり、防衛策よりも企業価値向上に努めることに経営者が没頭する、できなければ退陣するというのが王道ということなのでしょう。

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2005/08/15

ワールドのMBO

ワールドのMBOはなかなかにインパクトがあったようですね。過去に非上場化した例とは規模と会社の知名度が違いますから、当然と言えば当然なことであります。

そのスキームについて以下まとめです。

買収ビークルとして既存の会社を使っているように見える。公開買付人であるあるハーバーホールディングスアルファ(以下α社)は、産業再生法の認定を受けているとのことですから、再生法申請前にあったのではないでしょうか。これはなぜなのでしょうか。

買収ビークルを2つ使っている。α社の親会社として社長100%出資のβ社があります。ワールドの経営陣が出資する予定の会社でもあります。これはタリーズが非上場化する際に、2社設立して直接株式公開買付を行った会社が株式交換により対象会社を100%子会社化した後に、清算することで少数株主退場を図るスキームと理解しています。今回は、現金株式交換を行う訳ですから、少数株主退場の為に2つ会社を使う必要はない気がします。しかし、報道をよく読むと、どうやら公開買付資金の調達をしたのはα社の方に見えます。更に、α社とワールドの合併の可能性と純粋持株会社経営が示唆されていますので、β社は純粋持株会社になる予定ということが考えられます。また、ワールドと合併予定のα社向けとすることで金融機関は事業会社であるワールドに直接貸し付けたことになり、より資金調達がやりやすかったのかもしれませんね。

産業再生法を使って現金対価の株式交換により少数株主の退場を図っている。会社法施行の1年後(今の予定では2007年5月)には現金対価の株式交換が解禁されますが、それまでは産業再生法を使うしかない現状です。その結果、α社やワールドは経済産業省に計画の実行具合を報告する義務が生じますが、経営陣は自信があるのでしょう。

ところで、ワールドの大株主には公益法人が入っています。公益法人は基本財産として保有している株式を処分するには、当該法人の機関決定に加えて、主務官庁の許可が必要な筈です。公開買付公表後かつ買付期間中に主務官庁の許可を取るのは可能なのでしょうか。株であれば配当金で運営できますが、現金に替わってしまっても財団法人の運営に影響はないのでしょうか。もっとも、今回のスキームでは現金株式交換の段階では現金になりますので、どうしようもないという判断なのかも知れません。しかし、仮に、公開買付発表前に公益法人が主務官庁に根回しに動いていたのであれば、重要情報の管理として適切といえるのかという疑問が生じます。

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2005/06/06

敵対的買収防衛策のガイドライン

経済産業省と法務省が敵対的買収防衛策のガイドラインを発表しました。これまでの株主平等原則や主要目的ルールに替わる敵的買収防衛策の是非の判断基準が整備されたことになります。官僚が設定したことに違和感を感じる向きもあるようですが、私は素直に評価したいと思います。この指針に法的拘束力がないことを認識しておけば良いだけのことですから。

同時に発表された企業価値報告書においては、むしろ制度についての切り込みが足りないのではないかと感じました。

ポイズンピル(ライツプラン)発動時に新株予約券証券を取得した株主に税負担が生じる可能性があることを指摘している訳ですが、その点は対抗策としての有効性に大きく影響する部分ではないでしょうか。株主に税負担があるプランを発動した場合、経営者はそれを正当化できるのでしょうか。私は堂々と税制改正要求をするべきだったと思います。

来年の商法改正で取得条件付き新株予約券が可能になり、対価として議決権付株株式をわたすことで強制的に行使させる仕組みが可能な訳ですが、そこの課税を繰り延べにするだけでもポイズンピルの実効性は増し、不意打ちの敵対的買収提案で一般株主が損害を被るリスクが減るのではないでしょうか。

もう1点の制度改正要望は、今の普通株を新株予約券付証株式に転換した場合でも上場を維持できる上場規則です。ニレコのポイズンピルが否定されたのは基準日(3月31日)以降の株主に新株予約権がなかったことが大きいですが、それを回避することができます。国会審議中の会社法が成立すれば、株主総会の議決が必要な定款変更により可能な行為のはずです。東証等の取引所に対して要望しておくべきだったのではないでしょうか。

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2005/02/28

金融コングロマリット

SMFGが決算の下方修正を発表したそうです。東証の適時開示システムで確認しました。金融庁検査の指摘等新聞でも色々と言われていましたので、やむをえないところでしょう。asahi.comによると、資本増強も検討するようです。

保険会社など複数の国内機関投資家向けに増資引き受けの打診を始めた。優先株や劣後債など、引受先が議決権を持たない形での増資を検討しているとみられる。

「機関投資家に打診」ですから、みずほのように法人取引先への増資引き受けを要請するようなことまで検討しているかどうかは分かりません。しかし、ここまで赤字(週刊誌ネタですが、税務上も赤字らしい)が続くと、りそなの時のように繰延税金資産の計上額の問題が生じる可能性はどうなのでしょう。会計監査人であるあずさ監査法人はどういう対応をするのでしょうか。

SMFGの対応としては、大和証券グループとの経営統合というネタもある訳ですが、金融コングロマリットの可能性についてはぐれバンカーさんから懐疑的なご見解をトラックバックで頂戴しています。

確かに、シティグループの再編からは保険と銀行・証券の相性は良くなかったことは言えるかもしれません。しかし、シティは今回の再編で証券会社を手放していないことを考えると、銀行と証券の相性が悪い、とまでは言い切れないのかもしれません。実際、コーポレートの話ですが、M&A案件のアドバイザリー獲得とM&Aファイナンスに係るシンジケートローンの主幹事がセットになるなど、投資銀行業務と商業銀行業務の相乗効果は出るのではないかとも思います。大和証券SMBCという合弁会社をテコにした経営統合というのは考えられるのではないでしょうか。

法人で言えば、三井住友の担当者のセリフが「大和証券を紹介しましょうか」から「大和証券を紹介させてくれ」に変わる。この辺の圧力は確かに効果ある。ただし、三井住友以外の金融機関からの紹介が確実に減るので、プラスマイナスの効果は不確実。このあたり特定の金融機関の色がつくことは諸刃の剣としか言いようがない。日本生命や野村證券はそのあたり心得ている。

すでにSMBCによる大和証券SMBC紹介は既に広範に行われています(法人向け証券仲介業における提携先は大和SMBC1社で、大和からエース級の人材がSMBCに送り込まれたことが以前報道されていました)から、法人取引においては恐らく変化はないかと思います。

心配なのはリテール部門の相乗効果でしょうね。

個人で言えば、富裕層は資産を一元管理されることを嫌うので逆効果になる恐れがある。また、アクティブに取引をしている層はネットの親和性が高いので、取引条件次第で金融機関を選ぶ。そもそも囲い込みが不可能。で、結局、大して資産も持たず、資産運用も積極的でない層がクロスセルの餌食にできるだけ。うまみがあるかは分からん。

銀行からすると、クロスセルするだけの商品を提供してくれる証券会社と組みたい訳で、今のSMBCフレンド証券というのはSMBCからみると力不足なのでしょう。だからといって、大和証券と組めば完璧かというと、分からんですね。大和証券は販売力や開発力では野村に追いつけず、かといって日興シティのような海外との連携も大きくはないというイメージですから。

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2005/02/17

ここにもM氏絡みのM&Aが

17日付日経新聞
カジュアル衣料のマックハウスとレオが合併へ」
から。

カジュアル衣料品チェーンのマックハウスとレオは16日、9月1日付で合併すると発表した。存続会社はマックハウスで、レオは解散する。マックハウスはレオの筆頭株主で、これまでも人材交流などを進めてきた。合併により商品仕入れや店舗開発面でも効率化を進める。

記事にもある通り、両社は靴小売大手のチヨダのグループ会社です。ですが、レオの大株主はとみると、チヨダとマックハウスで36.5%保有しているのですが、直近では12月27日付でMACアセットマネジメントの大量保有報告書が出ていまして、672千株(13.76%)保有となっています。レオの内容はとみると、2月16日の終値(640円)ベースでPBR0.71倍、時価総額31億円、2004年2月期末で現金同等物24億円、有利子負債10億円、というファンドが好きそうな銘柄ですね。

一方のマックハウスですが、チヨダの持株比率64.8%で、ま、子会社上場です。こちらは、2月16日の終値(1551円)ベースで、PBR1.75倍、時価総額175億円、2004年2月末で現金同等物93億円、有利子負債38億円、という状態です。チヨダの持分さえ低ければ、これもファンドが好みそうな現金が多い銘柄です。

レオ株1株に対しマックハウス株0.45株を割り当てる。マックハウスの栗原勝利社長が合併会社でも社長に就く予定。

この合併比率ですが、2月16日の終値ベースで単純計算すると、1対0.41になります。従って、その分、レオの株主に有利になっていることがわかります。ちなみに、2004年5月頃はマックハウス3000円、レオ800円ですから、比率は1対0.26です。今日の相場をみると、マックハウスの株価は1560円、レオの株価は675円位ですので、1対0.43と合併比率にさやよせの方向ですね。

この合併比率は一応野村証券(マックハウス側)と中央青山監査法人(レオ側)というアドバイザーが算定した価格をもとに両社が交渉して決めたことになっていますが、MACアセットマネジメントの存在を意識して、レオの「のれん」をみたと考えるのは邪推でしょうか。

レオの株価が一夜にして上昇しましたので、MACアセットマネジメントは株式を売却しているのでしょうか。彼らの取得価額次第だというのが正しい答えでしょうが、他に彼らがアクションを起こす要因はあるかもしれません。

合併後の新マックハウスの現金同等物は2004年2月期の単純合計で100億円を超えますので、会社から株主に還元させる方向でプレッシャーを与える可能性は残っているようにもみえます。しかし、売らなかった場合の新マックハウスにおけるMACアセットマネジメントの持株比率は2.3%で、チヨダが59.2%です。これを考えると持っていても経営に影響を与えられないだけに、合併後まで保有するのはどうかと思います。チヨダからみれば、MACアセットマネジメントを水面下に落とした、とでも言いたい気持ちなのかもしれません。

となると、MACアセットマネジメントとしては、合併比率を更にレオに有利にさせるような方向に動くのはどうでしょうか。あと20%あれば、株主総会での合併議案を否決できます。チヨダがレオを手放さないという読みであれば、そういう暴れ方も可能でしょう。

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2005/02/14

ニッポン放送買収合戦(2)

ニッポン放送買収合戦は、ある意味予想通り、フジテレビが25%の取得を目指すという対抗策を出しました。ライブドアが主張する通信と放送の相乗効果についても、(ライブドア以外の)パートナーとの連携も考えるようです。

ライブドア以外のパートナーはどこか?堀江社長の仇敵三木谷さんや一時はテレビ朝日支配を試みた孫さんは、いまやどちらも球団を保有していますので、ベイスターズやスワローズの株式を保有しているフジサンケイグループに手を出すのは考え難いと思います。私としては、熊谷さんや木村さんや宇野さんあたりはいかがかと思いますが(あてずっぽうですけどね)。

さて、フジテレビの対抗策をうけて、ライブドアも「ニッポン放送の増資」を言っていますし、はぐれバンカーさんは「匿名組合出資方式」を考案されています。

しかし、どちらも前提条件があります。それは、「ニッポン放送の取締役会を支配してからの対抗策」だということです。現在のライブドアの持ち株比率はわかりませんが、連休中の堀江社長のコメントからは過半数をとったという発言はありませんから、ライブドアグループ単独では、まだ取締役会を支配できません。

これが、村上氏とすでに共同歩調をとることが合意されているとなると話は別で、現状でもライブドア派の持ち株比率が50%を超えていることになります。しかし、今のところ、表向きは、そのようなコメントを出していませんので、(たとえ馬鹿正直といわれようとも)それを信じて議論を進めます。

ライブドアグループで議決権の過半数をとっていれば、臨時株主総会を請求し、議案に取締役の新規選任(現在19名ですから、20名を新規選任で取締役会をコントロール可能です)を入れ、総会でそれを通すことができます。そうなれば、普通発行による増資も重要な資産の処分も可能です。

仮に、ライブドア派で議決権の3分の2をとっていれば、取締役の解任も可能ですし、有利発行の増資も決議できますから、万全ですね。

いずれにせよ、ライブドアが過半数を取るまでには、少し時間がかかると思われます。その間に、フジテレビが次の対策をとることも可能です。例えば、ホワイトナイトを探してくるとかですね。

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2005/02/10

ニッポン放送買収合戦

一昨日から大変な騒ぎになっているようですが、このニュースを見た私の第一印象は、以下の2つです。

(1)どうやって公開買付でなくて35%も集めたんだ?
(2)フジテレビがニッポン放送株式を25%集めたらどうするつもりだ?

(1)については、取得者を2社に分散させた上でTOSTNET-1を使って、時間外に取得したようです。以下のBLOGでは、その正当性について議論されています。個人的には、是非ニッポン放送には証券取引法違反の取得という理由で名義書換を拒否して頂きたいと考えています。それをうけてライブドアがニッポン放送を訴えることでしか、本件が早期に法廷の場に持ち込まれることはないと思います。

 磯崎哲也事務所さん「ライブドア、「ニッポン放送戦」に参戦」
              「ライブドアのニッポン放送株1/3超取得は違法か?」
              「ライブドアのニッポン放送株1/3超取得は違法か?(続き)」
              「ライブドアのニッポン放送株1/3超取得は違法か?(その3)」

 grandeさん「ライブドアの動き とりあえずまとめ」
 はぐれバンカーさん「ニッポン放送TOB ライブドア参戦!!」
             「ニッポン放送TOB (続き)」
             「ニッポン放送TOB (完結編)」
 47thさん「ライブドア参戦」のM&A業界へのインパクト」
       「ライブドアのニッポン放送株式は「違法」・・・だなんて、滅相もありません(1)」
        「ライブドアのニッポン放送株式は「違法」・・・だなんて、滅相もありません(2)」 

(2)フジテレビがニッポン放送株式の25%を保有すると、ニッポン放送が保有するフジテレビ株式の議決権は消滅します。そうなるとライブドアは少なくともフジテレビに影響を与えることはできません。フジテレビ側としては公開買付条件の変更で、予定数に満たない場合でも買い付けを行う旨公告が必要になる(買い付け価格の上方修正も必要かもしれません)訳ですが、対抗策としてはありえますね。この場合、ライブドアはどうするのでしょうか。株主総会の特別決議がとれそうなまで議決権をコントロールできれば、株主提案による臨時株主総会を開催して有利発行の第3者割当増資でフジテレビの持ち株比率を薄めることを狙えますが、時間がかかりそうです。その間に、フジテレビ側が防御を固めることも可能でしょう。

この考えから発展すると、ニッポン放送がライブドア株式の25%を取得するなんていう対抗策もありえるかもしれません。ある種のパックマンディフェンスですが、ライブドアは浮動株比率がそんなに高くないようですから、実現可能性は少ないでしょうね。

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2005/02/08

走れ!レッドアロー号

村上ファンドの西武鉄道買収提案は、色々なBlogでも取り上げられているようで、拙文にもトラックバックを頂いております。ファイナンス関連で実績のあるまたは興味のある方がblogをお始めになられるケースが増えたことを反映しており、勉強になるばかりです。

村上ファンドの提案に対する分析は、以下のBLOGをご覧頂ければ、尽くされていると思います。

 grandeさん「西武鉄道の完全買収案の意味を考えてみる」
 小林雅さん「西武とコクド」西武鉄道とコクド(続)
 diwaseさん「鉄道会社買収の皮算用」
 47thさん「西武鉄道株TOB提案の謎」「西武鉄道株TOB次の一手~本当の狙いは?」
 はぐれバンカーさん「勝算なきTOB?」

西武鉄道グループの再編はみずほコーポレート銀行主導で進められていくのでしょうが、西武鉄道グループを悪くする方向にいかないことを願うのみです。

もう1点だけ付け加えるとすると、西武鉄道株式を保有する個人株主の税務というマイナーな論点があります。個人の証券税制は磯崎哲也さんいわく「ディープ」な世界であり、また今回の西武鉄道グループの再編に関連しては余りにマイナーなのですが、一応ということで。

現在、西武鉄道株式は非上場株式です。従って、村上ファンドが仮にコクドと取引銀行を説得して公開買付をすることになったとした場合、応じる西武鉄道株主(個人)には非上場株式の譲渡損益が生じます。

譲渡益が生じる場合は、税率20%の申告分離課税です。上場株式であれば10%(平成19年12月末までの時限措置)ですから、仮に新生西武鉄道が上場して、村上ファンドが提案する株価(1000円/株)以上で取引されると思えば、上場まで待つ方が得です。

譲渡損が生じる場合、上場株式の場合は譲渡損の繰越制度がありますが、非上場株式にはありません。つまり、今年の非上場株式の譲渡損は、今年の株式譲渡益と通算できるだけですが、今年の上場株式の譲渡損は来年以降3年間は繰り越して、各年度の株式譲渡益と通算できます。そうであれば、上場まで待つ方が得であります。

実際には、こういうことを考えている西武鉄道株主(個人)って...いないんでしょうねぇ(汗)

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2005/02/03

新規事業の一般公募

2日付日経新聞「ワークスAP「新規事業」を一般公募」から。

業務用ソフトのワークスアプリケーションズは4月末まで新規事業を一般公募する。リスク分散のため、ベンチャーキャピタル(VC)と共同で、アイデアを審査し最大1億円程度の投資を実行する。発案者による事業化が順調に進めば3年後をメドに買い取りを検討する。新しい事業に集中して取り組む若手の経営者を養成する狙いもある。

ワークスアプリケーションズはERPパッケージソフトの会社ですから、競争上取り扱い商品を増やさないといけないので、なんとしても事業拡大をしたい、ということなのでしょう。当然、投資銀行等からM&A案件も持ち込まれていますが、それが思うようにディール・ダンできないことがきっかけという報道もありますね。今回のスキームではVCを使うことで投資資金を抑えることもできて、なかなか会社側としては良いアイデアに思えます。

応募する側も自己資金は最低限で事業を立ち上げられるというメリットはありますが、その分アップサイドは限定されます。新会社のストックオプションを付与するようですが、結局はワークスアプリケーションが子会社化しますので、ワークスアプリケーションの株もしくは現金が、会社全体のバリューのごく一部貰えるということです。アップサイドリターンを求めるのなら自らリスクをとって起業して、VC等の外部株主の持ち株比率をコントロールすれば良いのでしょう。

事業アイデアがある人に選択肢を与えたという意味では評価できるかなと思います。どれだけの応募があるか楽しみですね。

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2005/01/31

銀行主導の再建

29日付日経新聞によれば、西武グループの経営改革案が経営改革委員会の中間報告という形になりました。グループ再編スキームを決めるにあたって最も考慮されたのは、みずほコーポレート銀行を中心とする主力行の事情だったとの解説が3面に掲載されています。

諸井委員長は一時、持ち株会社参加に西武鉄道とコクドをぶら下げる暗に傾いたが、みずほは「コクド向け融資が不良債権になる可能性がある」と反発。優良会社である西武鉄道と合併する暗に事務局を通じて誘導していった。

銀行主導の再建というと、「失われた10年」に問題の先送りを繰り返した構図が頭をよぎってしまいます。ダイエー、カネボウ、熊谷組、双日、大京...。

今回の経営改革案では問題となっているリゾート事業からの一部撤退も含まれていますが、継続困難な事業が本当に残っていないのかという不安は残ります。経営改革委員会の諸井委員長は、記者会見で「自治体にとっては重要な施設となっているケースもある。簡単にはやめたくない。」と発言しており、経済合理性以外の判断が入っていることを伺わせます。

また、収益力についても目標を掲げていますが、経常利益を現在の5倍以上にするという挑戦的なものです。有利子負債の削減等もうたわれていますが、運輸省OBの会長と銀行OBの社長でそのような経営ができるのかは疑問符が残ります。最終報告では具体策も含まれるのでしょうか。

西武グループは鉄道事業という公共性の高い事業を手がけています。鉄道事業の継続が困難になった場合の影響は、地方銀行並といっても過言ではないといえます。病巣は早めに全摘した方が痛みは少ない、という教訓を活かしているかどうか、説明がなされるべきではないでしょうか。

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2005/01/25

会社分割か株式移転か

25日付日経新聞「オークマ、グループ2社と経営統合・経営基盤強化」から。

工作機械大手のオークマは24日、10月1日付で持ち株会社に移行し、グループ会社で東証一部の大隈豊和機械、名証上場の大隈エンジニアリングの2社と経営統合すると発表した。今年の工作機械市場は減速が見込まれており、グループの開発や生産、販売力を結集して経営基盤を強化する。新たに発足する持ち株会社の社長には柏淳郎オークマ社長が就任する。

会社側のプレスリリースはこちらです(pdfファイルです)。それによりますと、旧オークマ(オークマホールディングスに社名変更)から事業部門が分社型分割により新会社(オークマホールディングの100%の子会社)になり、オークマホールディングが大隈豊和機械と大隈エンジニアリングを株式交換により100%子会社化する、というステップが予定されています。トステムが会社分割で事業部門を分社化し、純粋持株会社がINAXを株式交換により100%子会社化したのと同じ手法です。

同じ結果をもたらす再編手法としては、3社が株式移転により完全親会社オークマホールディングスを新設する方法も考えられます。日本興業銀行、第一勧業銀行、富士銀行の3行がみずほホールディングを設立したのと同じ手法です。

この違いは、今回オークマがとった手法では、純粋持株会社が旧オークマの法人格を継承するのに対し、株式移転方式では、純粋持株会社は新設で、旧オークマの法人格を継承するのは、事業子会社であるオークマであるという点です。些細な違いに見えるかもしれませんが、その後の純粋持株会社体制の運営に影響が出ます。

オークマ方式では、旧オークマが持つ(もしあればですが)知的財産権や剰余金は、オークマホールディングスが継承します。従って、オークマホールディングス単体の収入基盤として知的財産権のライセンス収入や純粋持株会社になった直後の配当可能原資も確保できます。

株式移転方式では、新設されるオークマホールディングスの資本の部は資本と資本準備金ですから、配当可能原資はありません。設立第1期目の決算が出てからでないと、資本準備金の取り崩しはできないでしょうから、もともと無配の予定でもない限りは、配当可能原資を捻り出す工夫が必要です。子会社の定款変更をして、中間配当日を変えた例もあったようです。会社法現代化が施行されると、随時配当のような行為が可能になる時代ですから、問題はなくなるのかもしれませんが、子会社の利益蓄積が減少することは問題かしれません。

また、株式移転方式により設立されたオークマホールディングスの収入源は、何もしなければ子会社からの配当金のみです。株式移転により発生した完全親子会社関係では、100%子会社からの配当金は最初から全額益金不算入ですから、オークマホールディングスは税務上赤字の会社になってしまいます。

株式移転方式にメリットがないかといえば、そうではありません。事業会社の事業継続に必要な許認可がある場合、事業会社が現在営業中の会社の法人格を継承することが必須条件になります。その場合は、株式移転で完全親会社を設立しないといけません。

結局は、個別事情により最適な経営統合方式を選択しなければ、後で苦しみます、ということです。

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2005/01/24

西武鉄道株を戻さない企業

22日付日経新聞「コクド、西武株買い戻し64社と合意」から。

西武グループ経営改革委員会は21日、有価証券報告書の過少記載を公表する前にコクドが西武株を売却した問題に関連し、20日までにコクドが売却先72社のうち64社と売買契約の解除について合意したと発表した。金額ベースでは650億円のうち、530億円の返却となる。

この記事の時点で8社売買契約の解除について合意していない企業があるという訳です。これらの企業は解除しないで良いという判断なのか、契約解除交渉がまとまっていないのか、どちらかだと思われます。

仮に売買契約を解除しないという判断をした上場企業があった場合、会計処理はどうなるのか、株主にどう説明するのか、などの興味深いテーマが出てきます。

会計処理ですが、現在は非上場株式である西武鉄道株式をいくらで計上するか、という問題があります。非上場会社の場合には、会社内容が大きく悪くなっていない限りは、取得価額で計上しているケースが多いと思います。西武鉄道の場合、会社の事業内容には大きな変更はないでしょうが、取得時の株価は上場廃止時の株価を大きく上回っている点をどのように考えるべきかも興味深いテーマです。上場廃止時の株価で評価するとなると、評価損が発生します。評価下落率は大きいですから、減損対象になるかどうかの判断も必要になります。減損するとなると、特別損失を計上して、当期利益の減少要因です。

株主としては、問題含みの取引で、しかも同時期に同じ方法で取得した会社の大半が売買契約を解除したにもかかわらず、解除しなかった理由の説明を求めるのは当然でしょう。株式持合いをしたからといって、西武鉄道がメリットを提供できるか、といえば、透明性や合理性を重視した当たり前の経営へと舵を切った西武鉄道の現在の経営環境では難しいと思われます。仮に、西武鉄道がジャスダック市場に上場して、取得価額を上回る株価となる可能性があるといったところで、それは当該企業のビジネスが非上場株式投資でもない限りは正当な説明とはいえないと思います。

そう考えると、売買契約を解除しない手はないと思うのですが、いかがでしょうか。

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1月29日付日経新聞によると、全72社と契約解除で合意したようですね。当然といえば当然の結果ですが。一方で、1月31日付朝日新聞によりますと「西武鉄道個人株主ら210人、2月1日に経営陣提訴」だそうです。こちらは株価下落リスクへの経営責任を問うというインパクトが大きい訴訟となりますので、原告弁護団のお手並み拝見です。(1月31日追記)

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2005/01/20

東証の「親会社等」の上場開示ルールについて補足

ヘラクレスの上場基準に関するポストに対して、Tomさんからコメントを頂戴しました。

マスダ社はあくまで財産保全会社であり、さらにベンチャー企業投資を業としてるから、開示対象から外れるという扱いではないのでしょうか? 東証では財産保全会社や投資育成を目的とするファンドには、開示を要求していませんよね?

私の理解では、東証は財産保全会社であっても、「親会社等」に該当する限り、開示対象にしています。それは親会社等が特殊会社(石油公団とか)であろうが、原則同じとだと理解しています(例外については後述)。以下、東証の規則に関する私見を述べますが、上場審査は申請を受けた市場(および市場によっては主幹事証券会社)が行うものであり、判断については個別に当該関係者にご確認頂かなければならない旨申し添えます。ましてや、私はマスダアンドパートナーズの開示を避けるためにデジタルスケープがヘラクレスに上場したということを主張している訳では全くないことを明記しておきます。

「マザーズ上場の手引き」の32ページ以降に子会社上場に関する記述があります。そこには、親会社等が株式会社である場合、特殊法人である場合、投資ファンドである場合について、それぞれ開示すべき情報の内容が説明されています。特殊法人や投資ファンドも原則株式会社と同様である旨も明記されています。ちなみに、こう変わったのは、平成15年6月のルール改正以降だと思います。

財産保全会社については、34ページの(注3)に、

「ただし、親会社等が申請会社の役員等の資産を管理すること目的とする会社(いわゆる財産保全会社)であると認められる場合は、公認会計士又は監査法人による監査については、最近1年間のみとすることができます。」

とあります。財産保全会社に関しても、「親会社等」である以上は開示対象ではあるが、公認会計士又は監査法人による監査については、上場前1年間のみで良いよ、と読めます。私の理解では、それ以外の読み方はできないと思います。

「親会社等」に該当するかどうかの判断は、連結基準を準用していますので、会計監査人である公認会計士の判断が尊重されることが実務上多いと聞きます。

「親会社等」に該当しない会社の例は、日本公認会計士協会監査委員会が発表している「連結財務諸表における子会社等の範囲の決定に関するQ&A」Q10(2)に記載されています。そこにあるのは、「実体のないいわば役員Xの(役員X及びその配偶者等が議決権を所有している場合を含む。)の個人的な持株会社であるような場合」です。私の理解では、当該上場申請会社の株式保有以外の事業実体を有していない会社である場合のみが、「親会社等」ではないと判断されるということです。

財産保全会社には、不動産賃貸業を営む会社(なかには上場会社の本社ビルを保有して、賃貸借関係がある場合もあるようです)もあります。上記Q&Aによれば、その場合には、「親会社等」に該当し、その結果東証は開示を求めてくることになると思います。

「親会社等」に該当するにもかかわらず、開示を求めない例外は、上場会社が「親会社等」の内容を把握できないケースです。例えば、海外の投資ファンドに50%超保有された場合で、上場会社が要求しても財務内容等の開示に応じない場合でしょう。

東証マザーズ限定の開示の例外は、「手引き」36ページにあるとおり、

「親会社等による株式の所有が投資育成を目的としたものであり、申請会社の事業活動を実質的に支配することを目的とするものではないことが明らかな場合は、例外として認めています。
例えば、親会社等が申請会社の投資育成を目的としたベンチャーキャピタルであり、特に申請会社との取引関係がない場合などは、この例外に当たるケースと思われます。また、出資が投資育成目的であり、明らかに申請会社を支配することを目的としたものではないことが確認された場合には、例外として認めることができるケースと考えられます。」

Tomさんご指摘の投資育成ファンドの例外はこれですね。「東証1・2部上場の手引」に同様の記述がないことから、これはマザーズ限定の例外で、東証1・2部にはないという理解です。

役員の財産保全会社である場合には、役員による企業支配目的があることは明らかですから、この例外には該当しないでしょう。投資ファンドにしても、過半数近くの株式を保有している場合には、単なる投資育成目的とはいいづらいものを感じます。従来の日本のベンチャーキャピタルは数%の出資比率が多いですから、そもそも親会社等には該当しないできたものと思いますが、企業再生ファンドのようなPEファンドはベンチャーキャピタルとは一緒にできないと思います。また、投資先同士のアライアンス(取引関係)を促進するような投資ファンドも、投資育成目的のみとはいい難いのではないでしょうか。

従って、東証の情報開示ルールに従う限り、財産保全会社や投資ファンドであっても、「親会社等」に該当する場合には、情報開示対象であると私は考えます。至らぬ点があれば、ご指摘頂ければ幸甚です。

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2005/01/14

大証「会社情報等に対する信頼向上のための上場制度の見直し等について(案)」

見逃していましたが、コクド問題に端を発した情報開示ルール強化の流れの中で、昨年12月21日付で大阪証券取引所が「会社情報等に対する信頼向上のための上場制度の見直し等について(案)」をパブリックコメントにかけていました。コメントは1月11日で締め切られてしまいましたので、今は応募できません。

内容を見ると東証とほぼ同様の措置に思われます。ただし、ヘラクレスについては、東証がマザーズに対してとった措置とは異なる姿勢を示しています。両者のパブリックコメントを比べてみるとわかります。

「ヘラクレスにおいて、継続開示会社等ではない親会社等を有する上場会社については、親会社等との関係に加え、以下の内容に係る情報を開示することとする。
①親会社等が継続開示会社等ではない旨
②将来的な親会社等との関係
新規上場申請者の議決権の過半数を所有する親会社等が継続開示会社等でなければならないとする現行の取り扱いについては変更しない」(大証パブリックコメント3ページ)
「マザーズ上場会社については、現行は持ち株比率が50%超の親会社のみが開示義務の対象となっていますが、市場第一部・第二部上場会社と同様、持株比率が50%以下の親会社および当該マザーズ上場会社を関連会社とする会社の情報についても開示を求めることとします。」(東証パブリックコメント3ページ)

つまり、持株比率がたとえば30%の親会社等がある会社が東証マザーズに上場しようと思うと、その親会社等の内容を開示しなければいけませんが、ヘラクレスに上場する場合には財務内容の開示までは求められない、と読めます。

1月11日付でヘラクレスに上場承認されたデジタルスケープという会社に、大証のその立場が示されているようです。この会社の1の部をみると、マスダアンドパートナーズ株式会社(増田宗昭CCC社長の財産保全会社でベンチャー企業投資を業としている会社とされています)が60%超を保有する親会社等ですが、同社は継続開示会社等ではありません(少なくとも、開示資料を見つけることはできませんでした)。

上場時には公募増資(1000株)と売り出し(マスダアンドパートナーズ社による800株)により49.83%と50%以下になることから、親会社等が継続開示会社等でなく、関係等を1の部の22ページ以下で開示するにとどまっていても、上場が承認されたものと思われます。

今後、このような会社の上場の受け皿としてヘラクレスが注目されることになるかもしれません。しかし、逆にヘラクレス上場企業は「コクド予備軍」みたいなレッテルを貼られることのないように、大証は上場企業の開示内容に目を光らせて頂きたいものです。駿河屋の上場廃止を先導したのは大証だというイメージを崩してはいけないでしょう。

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2005/01/13

ジャスダック取引所1ヶ月

13日付日経新聞「ジャスダック、取引所移行1ヶ月」(nikkei.netには掲載されていないようです)から。

「重複上場を表明したのは12日に東証2部上場が決まったサンエー1社にとどまる。
店頭市場のころは他市場との重複上場が禁じられ、知名度に勝る東証1、2部への企業流出が後を絶たなかった。2004年のくら替え社数は39社と03年に比べ5社増えた。重複上場が解禁されたが、なかなか期待通りにはいかない。「上場管理料などコスト増に見合ったブランド価値がジャスダックにはない」との厳しい指摘もある」

サンエーというと沖縄地盤のスーパーで、結構収益力あるんですね。重複上場第1号ですから、逆に「なぜ?」という疑問はわきます。何事も第1号が好きな方はいらっしゃいますので、その類かもしれませんが、ジャスダックがどうやって説得したのかに興味があります。多分、どこかで社長のインタビュー記事があるでしょうし、その際には、(普通の経済記者なら)聞くと思いますので、気にしていようかなと。

値つき率が向上したことで、成り行き注文や立会外取引ができるようになった効果はあったようです。今後は先物やオプションが上場されると、さらに効果が出るかもしれませんね。上場企業の利便性もある意味では大事(投資家としても投資対象がなければ投資のしようがない)ですが、投資家の利便性を第一義に競争してほしいと思います。

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2005/01/11

西武グループの構造

11日付朝日新聞「西武グループ、持ち株会社新設へ 鉄道・コクドを傘下に」から。

西武鉄道グループは、創業家の堤義明・前コクド会長に権限が集中してきた経営体制を刷新するため、グループ経営の中核として新たに持ち株会社を設立する方向で最終調整に入った。これまでは、西武鉄道の親会社コクドがグループ企業の実質的な持ち株会社として機能してきたが、資本関係を抜本的に見直し、コクド、西武鉄道とも新設する持ち株会社傘下の子会社とする。持ち株会社は委員会等設置会社とする方向で、最高経営責任者(CEO)には、みずほコーポレート銀行の後藤高志副頭取を起用する案が有力だ。

朝日新聞紙面上には、新設の持株会社の下に西武鉄道とコクドが並列で並ぶ図が掲載されています。ここで問題となるのは、JASDAQ市場へ上場するのはどこか、ということです。普通に考えれば新設の持株会社であるべきです。そうでなければ、委員会等設置会社が云々以前に、グループの全体の経営に対するガバナンスが効かないからです。

そのなかで、合併やコクドを子会社化する場合は、不振となっているコクドのレジャー事業の立て直しが西武鉄道の重荷になりかねないと判断。2社の経営の独立性を保ちやすい持ち株会社方式を最有力案として絞り込んだ。

2社の経営の独立性といいますが、持株会社のコントロールに服するという点では変わりありませんし、西武鉄道グループのキャッシュフローがコクドグループの事業再編に使われる可能性は十分にあります。それでも、持株会社が上場するのであれば、持株会社の株主総会で株主は発言することができますから、そこでガバナンスを効かせることも期待できます。

しかし、仮に西武鉄道が上場するのであれば、実態として今と変わりはなくなる可能性が残ります。もちろん、現行の上場ルールでは、持株会社が西武鉄道株式を20%以上保有することが前提であれば、持株会社は継続開示会社として有価証券報告書を提出してグループ全体像が見えたとしても、持株会社の経営に対して西武鉄道の株主は何の発言権もありません。

どうも西武鉄道のみの上場を考えているようにみえるのですが、西武グループのガバナンスの根本的な構造問題を解決する方向は見失わないでほしいものです。

コクドと完全子会社のプリンスホテルは、昨年9月末段階で西武鉄道株の約53%を保有しており、虚偽記載の公表前に大量売却した西武鉄道株の買い戻しを進めているため、持ち株比率はさらに高まっているとみられる。持ち株会社を設立する際には、保有する西武鉄道株を移管する予定。

持株会社がコクドを100%子会社化すれば、資産の移動に伴う税コストは最小限ですむと思いますから、これは可能でしょう。結果、持株会社が西武鉄道の株式の80%超を保有する圧倒的な親会社となることが予想されます。やはり、株式交換で持株会社が西武鉄道を100%子会社化して、持株会社が上場するべきでしょう。

ただ、持ち株会社によるグループ再編には、コクドや西武鉄道の株主総会での決議が必要となる。コクドの大株主である堤氏は、改革委の方針に従う意向とされているが、具体的な調整はこれからだ。また、コクドの役職員名義の株について、だれが本当の株主かがはっきりしない状況もあり、今後の道筋には不透明な部分も残る。

歴史が長い非上場会社の株主の確定は、過去従業員個人に株式を(本当に)譲渡している場合、一般的にいっても大変です。相続等で移動している可能性があるからです。2006年4月施行といわれる会社法の現代化では、株式の譲渡を制限できるイベントとして相続や贈与を加えられるようになる予定ですから、この部分は大分楽になると期待されます。

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個人事業の整理

9日付日経新聞「松下グループ、松下興産の売却検討・1000億円超支援」から。

松下電器産業グループが、多額の負債を抱え業績が悪化している不動産会社、松下興産(大阪府守口市)の売却を検討していることが明らかになった。売却先は大和ハウス工業が有力。松下興産の主力取引銀行である三井住友銀行と松下グループ、創業一族の松下家は売却に向けて1000億円超の経営支援をして、固定資産の含み損などを一括処理する方向で調整に入った。松下グループは創業家とゆかりが深い松下興産の売却により負の遺産処理を終結させる。

松下興産は松下電器産業の大株主で、会社四季報2005年新春号によれば、5,694万株(2.3%)を保有しています。松下興産株式を大和ハウス工業に譲渡する前に、含み損のある事業もそうですが、こちらも整理しておく必要がありそうですね。新聞報道によると、松下電器産業は松下興産の株式の約30%を保有しているそうですから、松下興産は松下電器産業の株主総会で議決権を行使できていなかった訳ですが、松下興産が第3者ということになると、そうはいきませんので。

松下興産が松下電器産業の株式をいくらで取得しているか、および松下電器産業株式をどう処理するかによっては、松下興産への金融支援額も変わってくるのかもしれません。松下電器産業株式の処理で損が出るようだと、それもふまえた金融支援でなければならないということです。

松下興産をコクドのような存在という解説も聞きますが、持株数も少ないですし、少なくとも松下電器産業の持分法適用子会社にして以降は、そうはいえないと思います。ここの処理が課題になるのは、やはり三井住友銀行側が不良債権処理をしたいということが一番大きいのではないでしょうか。

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2004/12/28

個人投資を集めたVB基金

28日付日経新聞「ジャフコ、個人投資集めVB基金」から。

ベンチャーキャピタル最大手、ジャフコは個人投資家から集めた資金でベンチャーに投資するファンド(基金)を設立した。これまでのベンチャーファンドは法人の資金が中心だが、ジャフコは新ファンドをきっかけに個人の資金を若い企業の育成に生かす考えだ。基金名はジャフコ・グレートエンジェルファンド1号投資事業有限責任組合。ファンド総額22億円(うちジャフコが1億円)で出資者はジャフコ以外に17人。

記事の趣旨としては、こういうのは日本では珍しいということのようです。自分もしくは自社で投資事業組合を立ち上げて、そこにキャッシュを突っ込んでいる方はいらっしゃるのかもしれませんが、他人が立ち上げたファンドに投資するケースは少なかったのかもしれません。

投資額は法人向けファンドと同様に1人1億円以上で、資産家の経営者や元経営者などが出資した。ベンチャー育成という社会貢献と、運用益の両方を狙っているようだ。投資家はベンチャー投資を支援するための税制優遇措置を受けられる。

新聞の記事には野村證券が投資家を紹介したことが書かれています。ヘッジファンドと同じ感覚で投資する資産家もいらっしゃったのかなと思いましたが、エンジェル税制を狙うとなると、今年ある程度株式譲渡益を計上した上場企業の経営者の方が投資されたのかもしれませんね。

現役もしくは元経営者である出資者の方々が、ファンドの利回りを上げる為にと称して、ファンドが投資した企業の経営に介入したくなったらどうなるのでしょうか。普通に考えればそんなことはない訳ですが、ありえる話だと思うのですが...。

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2004/12/22

オンラインのM&A/ベンチャー投資仲介サービス

nikkeibp「ライブドア、オンラインのM&A/ベンチャー投資仲介サービス開始」から。

ライブドアファイナンスは、オンラインM&A仲介サービス「livedoor ファイナンス ビジネスアミーゴ」と、オンラインベンチャー企業投資仲介サービス「livedoor 出資com」の提供を開始した。同社とライブドア、ライブドア証券の3社が12月20日に明らかにしたもの。

すでにサイト(ここここ)は数日前から閲覧できるようです。

livedoor ファイナンス ビジネスアミーゴは、サイト上で企業買収ニーズと企業売却ニーズを募り、両者をマッチングさせるサービス。買収/売却希望者がそれぞれの希望情報や自社情報を登録すると、匿名で登録情報が公開される。「公開情報を参照しながら適した案件を検索できるので、幅広い相手に対する買収/売却提案が可能となる」(3社)

こういうサイトは既にいくつか(こことかこことか)あります。しかし、上手くいっているとは聞きません。上手くいっていても、そうはいわない風習があるのかもしれませんが、普通は上手くいかないだろうなと思います。

M&A案件は相対で守秘義務契約書ベースで進められるのが普通である、という意識が関連当事者にあることが上手くいかない理由だと思います。中小のM&A仲介業者が会員組織を作ってディール情報を会員業者に流しているケースは昔もあって、よく持ってくる業者がいました。彼らはファインダーズフィー狙いです。しかし、その手のある意味でオープンになっているディールを真剣に検討する会社は、私の経験では皆無でした。

もちろん、仲介業者が自らの価値を演出する為に、「ここだけの話ですが」というやり方に固執しているという指摘も否定できませんので、ライブドアがその概念を変えるべく挑戦していることを無意味だとは思いません。ま、Good Luck! です。

livedoor 出資comは、出資を受けたい起業家/ベンチャー企業と投資家のニーズをマッチングさせるサービス。ベンチャー企業や投資家が登録した情報は、匿名で公開される。「広く投資先や投資家を検索でき、限られた情報だけに頼ることなく、幅広いニーズのマッチングが行える」(3社)
起業家/ベンチャー企業がマッチングにより出資を受けた場合、ライブドアファイナンスに仲介料を支払う。金額は、最初の出資から1年間に実施された合計出資額の3%とする。

こちらについても、エイパックス・グロービス・パートナーズの小林雅さんが「弊社のようなベンチャーキャピタルファンドはまず使わない。」と断言しておられます。

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2004/12/17

IBMとLenovoの事業統合スキーム

「日本IBMのPC事業部もLenovoへ転籍」の段階で良く判らなかった、IBMとLenovoのPC事業の統合ですが、その後のフォローアップ記事(これとかこれとか)で少し見えてきました。

まず、訂正を1つ。香港市場に上場している Lenovo Group 社は、持ち株会社(holding companyですが、Lenovo Holdings とは別会社です。Lenovo Holdings 社は中国にある Lenovo Group 社の親会社です。)でした。その傘下の会社群でPC事業をしているようです。今回IBMのPC事業を買収する契約を締結するのは、その持ち株会社である Lenovo Group 社です(IBMはその会社の株を代金の1部として取得する)。

次に、Lenovo Group 社は新しい会社を設立(reincorporate)するようです。設立登記をする場所は、オランダかニューヨークか候補のようですが、まだ未定のようです。その新会社(新 Lenovo と呼ばれていますが、会社名は Lenovo という名前になるようです)が、IBMのPC事業と Lenovo Group 傘下各社のPC事業を統合する形態のようです。

IBMはグローバルな企業であり、PC事業はその1つの事業です。それを買収するというのは一筋縄ではいきません。各国のIBMのPC事業を吸収する為には、Lenovoの子会社が必要ですが、それをどのように行うかは、その国の商法や税法により異なるでしょう。もちろん、中国(香港)と米国の会社法と税法も絡んできます。国よってはPC事業は許認可の対象かもしれません。

それをスムーズに行う為に、新 Lenovo を設立した方が良かったのでしょう。設立登記する場所としてオランダをあげるあたりは、税制が絡んでいるのかもしれないと思わせるものがあります。そこらへんの経済合理性が解説できるだけの知識は、残念ながら私にはありません。しかし、このようなメガディールのスキームというのは、専門家の方々との議論の良いネタになりそうなので、興味を持っています。

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2004/12/16

モンテカルロシミュレーション的意志決定

磯崎哲也事務所さんの「日本の企業にも「モンテカルロシミュレーション的意志決定」が求められるようになるのか?」から。

「日本でもこうしたシミュレーションで意志決定しているケースはあるのでしょうが、まだまだ少数派ではないでしょうか。
もし、上述のように「Fortune 500社の85%の企業が購入」してるとしたら、もしかすると、米国における「経営判断の原則」なり「訴訟に耐えうる意志決定のエビデンス」というのは、こうしたモンテカルロシミュレーションのような、より網羅的でツッコミようのないものが要求されるようになってきているのかも知れませんね。」

国際大学のMBAコースにいた時に、オプションプライシングの授業でモンテカルロシミュレーションについて簡単に習ったことを思い出しました。マックのエクセル(当時まだwindowsは普及していませんでした)でグラフが作成されるを見て感心したのを覚えています。ただし、ヨーロピアンオプションであっても、(当時の私の感覚では)膨大な回数のシミュレーションをしないと、ブラックショールズモデルの数値に近づかなかったことも覚えています。コンピュータの進歩でその膨大な回数のシミュレーションも短い時間でできるようになったことで、実用化したのでしょう。

また、わざと悪いシナリオが発生する確率を高めてシミュレーションすることで、想定損失額を多めに見積もり、より慎重な意志決定を行うということも可能でしょう。とんでもない損失が出ることもある市場リスク管理ではすでに実用化されて使われていると思いますが。

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2004/12/13

証券仲介業

12月1日から銀行に開放された証券仲介行制度の状況ですが、asahi.comに第1報が「三井住友銀、当初発売の債券完売 証券仲介業制度解禁で」とありました。

「銀行などの金融機関が株式や債券を販売できる証券仲介業制度が1日に解禁され、大手銀行は証券口座の開設数を徐々に積み上げている。各行の数字には開きがあるが、約400店のほぼすべてで債券を扱う三井住友銀行は、1日に売り出した外貨建て債券を締め切り前に完売した。」

各社各様ですから、どうこういうのはないのですが、投資信託といい、投資型年金といい、マス商品のスタートダッシュ時点での取り組みは、なぜかSMBCが実績をアピールしてきますね。バブル期に不動産融資を積み上げたのと同じ発想でないことを祈ります。

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2004/12/06

日本版毒薬

6日付日経新聞スクープ欄「敵対的買収 水面下の防衛戦」から。

「100%子会社などに株式を発行できる新株予約権を与え、その権利の管理を信託銀行に委託する手法。信託契約には「持ち株比率2割超の株主が新たに登場したら買収者を除く株主に大量の株式を付与する」といった内容を盛り込む。こうした方式にすれば、新株付与が機動的にできるという。」

子会社を利用するのは、UFJホールディングの子会社であるUFJ銀行に種類株を発行させたケースと同じ発想ですね。問題はUFJのように経営統合で基本合意している相手がいない会社は誰に引き受けさせるかでした。日経新聞で紹介されている信託を使用するというのは1つの方法ですが、経営陣の自己保身ではないか、という懸念の解消にはならないのではないでしょうか。

「防衛策の推進論者は、「毒薬は企業の価値を守り、買収されるにしてもより高い値段で買ってもらえるから株主の利益になる」と主張している。」

公開買付という方法で攻めてこられると、時間的な問題もあり、取締役会が「株主の利益」を十分に検討することができないのではないか、という懸念は理解できます。毒薬条項により取締役会にまず最初のアプローチがあるように仕向ける効果が期待できる訳です。

しかし、経営者の判断に寛容な日本の市場風土(並びに司法判断)や発祥の地である米国でも廃止するケースが出ていることを考慮すると、日本でポイズンピルをやるのはどうかな、というのが正直な感想であります。

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2004/12/03

これだから子会社上場は

3日付日経新聞「NEC、ソフト・サービスの上場2社を完全子会社化」から。

「NECは2日、ソフトウエアや情報システムを開発するソフト・サービス事業のグループ体制を見直すと発表した。東証一部上場のNECソフトとNECシステムテクノロジーの2社を2005年6月までに完全子会社化したうえで、同年10月以降にソフト開発とシステム開発を専門とする2社に統合・再編する。通信や家電などコンピューター以外の分野でソフト需要が高まっていることを受け、グループで分散した開発力を結集する。

NECはNECソフト株を37.13%、NECシステム株を66.67%保有する筆頭株主。12月6日から05年1月20日まで他の株主が持つ両社の株式の公開買い付け(TOB)を実施する。ソフト株は一株3200円、システム株は同4200円で買い取る。買い付け総額は約835億円。全発行済み株式を取得できなかった場合、残りをNEC株と05年6月1日に交換する。」

NECソフトは2000年7月、NECシステムは2003年9月の上場です。東証1部銘柄ですから、TOPIXに上場1ヶ月後には採用されることもあり、TOPIX連動のパッシブ運用ファンドがやむなく買っているケースもあろうかと思います。

日経新聞には金杉社長のインタビューも掲載されていて、「経営者の不明と言われても仕方ないが、2晩考えたうえで決断した。」とあります。グループ戦略の失敗ともいえるでしょう。

東証の上場審査基準には「親会社の1事業部門ではないこと」がありますが、結局は1事業部門同様の扱いをした訳です。今回のNECは、結果的には、親会社が苦しい時には、業績良好な子会社を上場させてリストラ資金の調達をし、一息ついたら完全子会社化しています。そういう事態を防止することは不可能なのかもしれません。

やはり完全分離しない子会社上場を認めない方が市場として健全だと思うんですが。

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2004/12/02

オーナー一族の会社を連結子会社に

2日付日経新聞「シダックス、シダックスC&Vを連結子会社に」から。

「シダックスは1日、病院や企業の売店などを受託運営するシダックスシーアンドブイ(東京、志太正次郎社長)の株式を7億9500万円で22%取得し、連結子会社にすると発表した。役員も派遣する。シーアンドブイはシダックスの創業者一族が株式を保有し、経営していたが、これまでシダックスの連結対象会社ではなかった。シーアンドブイの2004年3月期は売上高が123億円、経常損益は700万円の赤字。」

プレスリリースはこちら(pdfファイルです)です。それによると、過去に株式交換によりシダックスが100%子会社化する予定であったのですが、取りやめとなった経緯があるようです。

ここで注目なのは、シダックスC&Vはシダックスの株式を保有している(0.3%)こと、同社の主要株主(24.0%)にシダックスの主要株主(13.4%)でもあるエスアンドエイ株式会社が登場していることです。シダックスはジャスダック銘柄ですから、エスアンドエイはシダックスの親会社等には該当していないかもしれません。

ただし、東証上場時には、親会社等に該当すると判断される可能性があります。平成15年6月以降は、親会社等に該当する場合、財産保全会社であっても、財務内容や重要事実の開示が求められています。財産保全会社の特例は、会計監査が上場直前期1期のみで良いことであり、開示義務は免れません(東証『新規上場の手引き(第1部・第2部編)』P100参照)。

ジャスダックも取引所化する訳ですし、西武鉄道グループ・コクドや日本テレビ・読売新聞の件もあり、ルールが厳格化する可能性はあります。それらのルールへの対応とみるのは、シダックスの100%子会社とする訳ではないこともあり、うがちすぎだと思いますが、こういう動きがオーナー企業と呼ばれる上場会社に起きてくるのかもしれません。

ちなみにですが、なんでシダックスの100%子会社にしないのでしょうね?それが一番すっきりすると思うのですが。

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2004/12/01

株式信託つづき

昨日の「自社株信託による寄付」について。もう少し。

受託者である Orient Trader International Limited でググると、プレスリリースが2つ(これこれです)ヒットしました。ここから想像するに、Orient Trader International 社は投資会社のようですね。とすると、Orient Trader International 社としては、一度に星野前社長保有の株式を取得するのではなく、信託勘定にあるペイントハウス株式は株価動向をみながら、自社投資勘定に移動させるのかもしれません。その後、株価回復を待って転売して、キャピタルゲインを狙う戦略ではと。

ただし、一度に星野前社長から株式を譲り受けるとなると、発行済株式の70.8%ですから、問題が生じます。

まず、現行証券取引法ではたとえ当事者間合意の上であっても、発行済株式の3分の1超を取得するには、株式公開買付を実施する必要があります。株式公開買付を実施するには、公告費用や証券会社への手数料を払わなければなりませんし、星野前社長以外の株主が応じる可能性もあります。

第2に、一度に1つの価格で株式を取得すると株価変動リスクが大きくなります。ペイントハウスの11月30日の終値は21600円と、それまでの株価を上回って引けています。今後も株価が上昇基調であれば良いのですが、そうとは限りません。それよりも、何回かに分割して移動させるドルコスト平均法もどきをやる方がリスク軽減効果があるとふんでもおかしくはないでしょう。

それらを避けながら、議決権は受託者として信託開始時点で保有することでペイントハウスの筆頭株主としての発言権を確保できるというOrient Traders International 社に都合の良いスキームにも見えます。

実際のところはわかりませんので、結果としてどうなるかに注目したいと思います。

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2004/11/30

自社株信託による寄付

30日付日経新聞「ペイントハウス、子会社のユアサ建材工業の全株売却」から。

「ペイントハウスは29日、住宅設備子会社のユアサ建材工業(東京・港)の全株を約2億7000万円で、省エネ機器販売のダブル・アイ・テー・ジャパン(東京・千代田)に同日付で売却したと発表した。ユアサ建材向け貸付金の一部の債権放棄に伴う10億円強の特別損失と土地譲渡による1億円強の特別利益を2005年8月期の単独業績に計上する。」

ペイントハウスは過去色々とM&Aや設備投資を積極的に行っていましたが、ユアサ建材工業もその1つのようです。ところが、ペイントハウス本体の業績が今ひとつになって、創業者だった星野前社長が取締役を退任する事態となったこともあり、売却することになったのでしょう。ペイントハウスについては以前にも会計監査人の変更の件で取り上げましたが、会計監査人の変更がある会社には何かある、という事例の1つになってしまったのでしょうか。

ところで、記事には続きがあって、

「また同日付で社長から相談役に退いたペイントハウス創業者の星野初太郎氏が、保有する同社株(発行済み株式総数の70.8%)をすべて香港に本拠地を置く企業に信託したと発表した。星野氏が同社に寄付する10億円の原資をこの株式信託でねん出するという。」

だそうです。ペイントハウスのプレスリリースにはもう少し詳細が出ています。

内容を見ると、委託者が星野前社長で、受託者が Orient Trader International Limited で、受益者がペイントハウスとなっています。おそらく、有価証券処分信託で、代り金がペイントハウスに寄付されるのでしょう。有価証券処分信託は武富士の武井元会長も利用しているスキームですが、信託期間が終了するまで、信託した全株式の内、どの程度が処分できるかわからない、という難点があります。

今回のスキームでは受益者がペイントハウスですから、処分できなかった株をどのようにする契約になっているのか気になります。原株のままペイントハウスに行くのか、星野氏に返却されるのか、Orient Trader International Limited の所有になるのか。いずれにせよ、10億円のキャッシュが寄付金としてペイントハウスに入るのかどうかに注目ですね。

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