平成23年度税制改正の結末
平成24年度税制改正のセミナーが花盛りで、聴講させて頂いた際に、平成23年度税制改正についてのご説明があったので、そういえば、ということで、備忘メモです。
当初政府案は6月に2分割され、所謂期限切れ事項対応を中心にした第一次改正が6月末に成立しました。そこに含まれた主なものは、
- 証券税制の2年延長(配当所得に係る小口株主の基準の引下げ(5%→3%))
未だに「今回が本当に最後」といい続ける神経には感服しますが、いい加減に恒久化してはいかがかと思います。 - 公益法人税制(特定寄附金の税額控除(所得税)の創設、認定NPO法人制度の見直し)
認定NPO法人制度の見直しは面白いかもしれません。
たな晒しになった残り項目について、10月に政府による政府案修正として、法人税減税(及びその財源措置)と一部国税通則法関連以外を削除。同時に復興財源法案(法人税・所得税に係る付加税)を提出。
- 法人税減税(中小法人の軽減税率の延長含む):平成24年4月1日~
なんとか下がりました。付加税があるので3年間は38%強ですが、その後は35%強になるらしいです。一方で、繰延税金資産を減額する必要が出る法人さんの純資産額が減少しますね。そもそも、税効果会計上の実効税率がこれでは経理さん涙目ではないかと。 - 減価償却制度の見直し(250%定率→200%定率):同上
頻繁に変えるのはいかがかと思います。大体、IFRSは定額法推奨ですから、そろそろ税務申告時に会社法決算での損金経理を前提すること自体を考え直すべきかとおもいます。 - 繰越欠損金制度の見直し(大法人は所得の80%を上限、繰越期間を9年間に延長):平成24年4月1日~
中小法人は繰越期間延長のメリットだけ享受。 - 一般寄附金の損金算入限度額の引下げ(改正前の2分の1とし、特定公益増進法人等への寄附金の損金算入限度は拡大):平成24年4月1日~
制度改正以降増えている「非営利徹底型」一般社団・財団は特定公益増損法人にならないので、寄附する法人さんは注意して下さい。 - 貸倒引当金制度の廃止:平成24年4月1日から段階的に
ここで繰延税金資産が増やせる? - 復興特別税(所得税は平成25年~49年まで2.1%、法人税は平成24年4月から3事業年度10%)
源泉所得税も対象(住民税は対象外)なので、源泉徴収税率がとても半端な税率になります(20.315%とか10.147%とか)。 - 更正の請求制度の見直し:期間の延長及び必要書類明確化
更正処分の期間も延長ですね。あと、虚偽の更正の請求については罰則が設けられました。 - 税務調査手続の明確化:事前通知の義務付け(ただし書面の義務化は見送り)
嘱託職員は調査官が出来ない制度も創設して頂きたい。
先延ばし項目で是非実現していただきたいものは、
- 相続時精算課税制度の拡充:直系卑属は全員対象に
- 事業承継税制の拡充:要件の緩和
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