平成24年度税制改正大綱
平成24年度税制改正大綱が10日未明に閣議決定されました。ようやく読み終わりましたので、簡単に感想を。
23年度税制改正法案が難儀したあげくに、「積み残し」項目まで作ってしまった経緯を踏まえて、自民・公明両党の理解の得られやすい項目に絞った内容です(政府税調の議事録をおいかけていくと、そういう旨の発言もあるようです)。
結果として、相続税・贈与税の見直し等を含めて平成25年度税制改正以降に先送りされました。財務省的には目玉である消費税率引上げ、民主党が俄かに持ち出した自動車減税(一部は24年度に盛り込まれました)も先送りです。
しかし、今回もしっかりとネタは仕込まれています。分野としては、国際課税ということになります。
- 「国外財産調書」制度で、富裕層個人が海外に退避させている財産を全てあぶりだす方針を打ち出しました。これは先進各国も同様の動きですので、乗り遅れる訳にはいかなかったという面も否定できません。しかし、調書に記載する価額「「原則時価」としたりするのは、調書作成の手間を考えるとやりすぎではないでしょうかねぇ。個人的には、所得を申告していない財産については、自主的に修正申告するのが吉とは思いますが、色々と仕組みを開発される方が出るのでしょうねぇ。そういえば、最近もオランダの資産管理会社に上場株式を移した方がいらっしゃいましたが、その資産管理会社の株式をオフショア財団法人に寄附されていたら、今回の調書の対象から外れるんでしょうか?
- 関連会社宛支払利子について一部損金不算入とする制度を設けて、軽課税国に設立した法人に利益を付け替えて節税する手法に蓋をしています。そもそも日本で営業利益を稼ぐことが出来なければ意味がない制度なんですが、そこは財務省の管轄ではないのでしょうね。
- これは外資系企業に勤務している方のみに関係しますが、外国法人である親会社株式のストックオプションを内国法人である子会社役職員に付与する場合に、その内国法人にストックオプションに係る調書作成を義務付けることにしています。外資系企業のストックオプションは過去には色々ありましたが、今でもあるんですかね?金融機関では賞与の一部を株で支給、しかも分割して、というのが流行ってはいるようです。
不公平はいけませんが、厳しくしすぎるのも経済を停滞させて、結局税収を減らすリスクがあると思うのですが。
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