ブックレビュー:Wise Growth Strategies in Leading Family Business
Joachim Schwass, Wise Growth Strategies in Leading Family Businesses, palgrave macmillan 読了。会社の同僚の推薦です。著者はIMDで Family Business の教授で、IMDが1996年から2004年にかけて Distinguished Family Award で表彰した会社について、どの様に経営者の世代交代、つまり事業承継に成功裏に取り組んできたかを研究した成果物です。
海外の事例にもとづいていますから、日本に直接当てはまる保証はないとはいえ、理論的な説明には説得力があります。この本で著者が提唱しているのは、次のマトリックスです。
phase / interests | Family | Ownership | Management | Individual |
Do | Child-parent relationship | Control dependent | Professional assertion | Personal leadership |
Lead-to-do | Adult-adult relationship | Control struggle | Leadership assertion | Organizational leadership |
Let do | Parent-child relationship | Control versus vision | Governance assertion | Institutional leadership |
Interests をカテゴライズするに際して、筆者はファミリービジネス研究における定番のツールであるスリーサークルモデルの3要素(Family、Ownership、Business)ではなく、そこに個人(Individual0という切り口を追加しています。確かに、事業承継において被承継者(数代続いている場合、元承継者にもなりえます)と承継者個人が、事業承継の過程でどの様な価値観を持つのかというのは考慮されるべきでしょうね。
また、事業承継は3段階に分けて進むという示唆も貴重です。後継者(候補)が会社に入った場合は、下の階層からある程度の時間をかけて社内での実績や人脈を作り上げた上で後継者として全関係者に認知されれば、承継が円滑に進む(それでも世代間の葛藤は色々ある訳ですが)ということは、広く認識されるべきでしょう。
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