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2010/11/12

ブックレビュー『同族経営はなぜ3代でつぶれるのか』

@FamilyBiz_Takei こと武井一喜さん著「同族経営はなぜ3代でつぶれるのか?」読了。自らが4代目社長であったファミリービジネスを整理した経験をお持ちで、現在はファミリービジネスに係るコンサルタントをしておられる筆者が、ファミリービジネスが3代で潰れない為にファミリーメンバーが考えるべきことを網羅的に解説された書籍です。

日本においては、ファミリービジネスは同族企業と訳され、余り良いイメージはありませんでした。ダイエー、三洋電機、赤福等の世間の耳目を集める事件は、「同族経営故の」と評されます。法人税法においても、「特殊同族会社の留保金課税」や「同族会社の行為計算否認」という具合に、同族会社は税逃れをするものと捕らえられています。実務の世界でも、同族会社向けのコンサルといえば、まずは相続税対策が提供されてきた経緯があります。

しかし、一方で戦後の日本の税制は同族会社が事業を継続するには酷過ぎたのも事実であり、相続税率の引き下げ(それでも高すぎる最高税率50%)や基礎控除の拡充によって整備された基盤の上に、平成21年度税制改正において事業承継税制が(使えないという批判はありながらも)導入されています。民主党政権が主税局の尻馬に乗って相続税の増税に向かうのは時代錯誤であり、自らもビジネスオーナーファミリーご出身である岡田幹事長が体を張って阻止して頂きたいと、個人的に勝手に希望しています。

筆者も述べておられる通り、欧米ではファミリービジネスは長期的な視野と社会貢献から、むしろ尊敬を集めており、経営学上の大きな研究テーマとなっております。日本でも、日経新聞が「200年起業」と題した連載を続けていますし、ファミリービジネス学会や事業承継学会が立ち上がっており、ようやく注目を浴びている段階です。思えば、トヨタ、村田製作所、堀場製作所、イオン、青山商事、サントリー、竹中工務店等は創業家が厳然と存在し、経営に関与している優良企業です。そういった流れの中で、コンサルティングの実務に携わってきた筆者がこの本を上梓されたことは極めて意義が大きいと思います。

本書において筆者が力を割いているのは、「3代で潰さない為にはビジネスオーナーファミリーはどのようにあるべきか」、という問いへの答えです。それは筆者が4代目社長であった会社を整理せざるを得なかったという苦い経験から来ているものと思われます。倒産に至るまでの父子の葛藤、3代目であるご尊父が2代目であるお祖父様へ持つ屈折した思い、そしてビジネススクールや他社勤務経験を経て入社した後継者であった筆者の社内外の関係者との苦闘もかなり詳しく紹介されています。そこから導き出される教訓は、「まずはファミリーが一体となって、周囲の関係者の協力を得て、ビジネスの維持・発展に取り組む姿勢がなければ、ファミリービジネスの継続は覚束ない」、という1点だったように見受けられます。その為に、ファミリーメンバー個人が考えるべきこと、導入すべき仕組みが紹介されています。

私自身もファミリービジネスに関与する専門家の端くれとして、気を引き締めて日々の業務に邁進したいと思います。

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