ブックレビュー『起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと』
@isologue こと磯崎哲也先生の『起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと 』を拝読致しました。いや、発売早々に買ったし、先生のご講演を拝聴もしていたんですが、諸事情により本を読み終わったのが今になってしまいました。内容は既にレビューがたくさん出ているので、詳しくは紹介しませんが、感想をいくつか。
- エンジェルやVCからの資金調達が必要な事業を考えている起業家が、ファイナンスで落とし穴に落ちない為には必読であることは間違いないと思います。むしろ、起業家がそれを今まで知らなかったことについては、関係者の一端にいる人間としては反省しなければいけないと思います。最近は上場前のVBに関与する例は殆どないのですが、考えなければいけないなと。
- この本、増刷を続けている様ですが、それだけ注目を集めているのは、著者の人徳もさることながら、日本においてもVB周辺の温度が沸点に近づいているのではないかと感じます。過去数度のベンチャーブームを経て、漸く定着するかもしれないと期待しております。
- しかし、問題なのは日本の株式市場の低迷です。筆者もIPO市場の低迷は認識されていて、バイアウトが増えないといけないと考えておられるようです。ただし、株式市場が低迷している状況では、株式交換等でバイアウトした場合の起業家側のリターンが期待できませんし、キャッシュでやろうにも市場がネガティブにしか反応しないのではいかんともしがたいかと。Googleに見初められるようなビジネスモデルでもない限り、バイアウトもしんどくないかなと。著者の昨年来の主張である預金税(個人的には、預金者から見ると預金保険料との2重負担になってしまう気がしますが、そういうことはマイナーイシューとしておいておくぐらいの思い切りが必要な時期かも)の導入により、資本市場にニューマネーが入ると違うのかもしれません。
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