年金保険に関する最高裁判決
昨日の最高裁判決はWEBで判決文が公開されています。それを読まれた立教大学の浅妻先生(@asatsuma)がtwitterで「国の全面敗訴ではなく、5割程度は国が勝っている」と分析されています。早速読んでみました。
なお、本ブログは読者の方に法務・税務・会計・財務等に関するアドバイスを提供することを意図したものではありません。内容の無謬性について一切責任を負うものでもありません。法務・税務・会計・財務等に係る事項は、常に読者の方がご自身のアドバイザーとご相談の上で、ご自身の責任においてご判断下さい。
要約すると、相続税法24条により評価され、相続財産に含まれた金額までは所得税は非課税とするべき、という判示ですね。相続財産に含まれた金額については、所得税を課さないというのは、(現在の税理論上は色々とあるのでしょうが)合理的に聞こえます。新聞紙上で言われている通り、預金の経過利子等を相続財産に含めている実務も理論上は否定していますので、厳しい判決であることは間違いありません。
しかし、定期金の相続・贈与時の評価額が払込保険料の総額を下回っている場合の取扱いついて判示しなかったことは、「増税」の余地が出るとも言えないでしょうか?
現在、生命保険契約等に基づく年金の雑所得の金額は、所得税法施行令183条により計算されています。仮に今回の判決が、同条1項2号ロ(「当該生命保険契約等に係る保険料又は掛金の総額」)を「当該生命保険契約等に係る定期金額(相続財産に加算された金額を上限とする)」と変更するものと捕らえると、生命保険契約の内容によっては、年金の受取人が支払う所得税額は増えてしまう可能性があると思いわれます。
雑所得について源泉徴収義務があり、かつ商品のこの種の販売を行った生命保険会社にとっては、財務省主税局の対応が恐ろしく心配な判決が出たことになります。
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