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2010年7月

2010/07/07

年金保険に関する最高裁判決

昨日の最高裁判決はWEBで判決文が公開されています。それを読まれた立教大学の浅妻先生(@asatsuma)がtwitterで「国の全面敗訴ではなく、5割程度は国が勝っている」と分析されています。早速読んでみました。

なお、本ブログは読者の方に法務・税務・会計・財務等に関するアドバイスを提供することを意図したものではありません。内容の無謬性について一切責任を負うものでもありません。法務・税務・会計・財務等に係る事項は、常に読者の方がご自身のアドバイザーとご相談の上で、ご自身の責任においてご判断下さい。

要約すると、相続税法24条により評価され、相続財産に含まれた金額までは所得税は非課税とするべき、という判示ですね。相続財産に含まれた金額については、所得税を課さないというのは、(現在の税理論上は色々とあるのでしょうが)合理的に聞こえます。新聞紙上で言われている通り、預金の経過利子等を相続財産に含めている実務も理論上は否定していますので、厳しい判決であることは間違いありません。

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2010/07/06

保険金年金の二重課税認定=処分取り消し命令―国の逆転敗訴確定・最高裁

取り急ぎ: 保険金年金の二重課税認定=処分取り消し命令―国の逆転敗訴確定・最高裁(時事通信) - Yahoo!ニュース. から。

夫の死亡で支払われた生命保険の特約年金に、所得税を課すのは二重課税に当たるとして、長崎市の無職女性(49)が国に課税取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は6日、二重課税を禁じた所得税法に違反するとして、国が勝訴した二審判決を破棄し、課税処分の取り消しを命じた。国の敗訴が確定した。

今年の税制改正で手当てする項目として、主税局の皆様の頭にインプットされたことでしょう。民主党政権との蜜月が続けば、無理筋な法改正も全然スルーだし(昨年の小規模宅地特例の後退が良い例)。

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2010/07/05

有価証券報告書虚偽記載に係るオーナー経営者の責任

金融庁の課徴金処分を争った数少ない事例の1つである、ビックカメラの有価証券報告書虚偽記載に係る新井同社元代表取締役会長に関する結論が6月25日に出ています。色々な意味で注目されていた訳ですが、「元会長は有価証券届出書および目論見書虚偽記載であると認識していたとは認められないので課徴金処分は課さない」という結論になりました。

  • 虚偽記載か否か、目論見書作成における代表取締役会長の関与について踏み込んだ判断を示さなかったことは残念であります。会社が虚偽記載を認めているのにも拘わらず、虚偽ではないという結論はあり得ない訳ですが、折角の審査なのですから、実際にどの様に判断するべきだったのかについての判断も欲しかったと思います。
  • 元会長が虚偽記載を認識していたかについて、虚偽記載であることを前提として判断したと留保しつつも、ニュアンスとしては虚偽記載があったと判断している様には見えます。というのも、元財務担当役員氏は、独断で、東京計画の実態上の株主やビックカメラが北陸銀行に提出した「経営指導念書」の存在を、会計監査人や主幹事証券会社、証券市場に隠していたという事実を認定しており、これらは虚偽記載を少なくとも当該元役員は認識していたと読めるからです(あくまで、私の主観です)。
  • 元会長としては、「細かい会計処理については知らなかったので、担当役員、会計監査人、金融機関、ストラクチャー提案者の言うとおりにした」というのは本音だと思いますので、これで名誉回復できたということかと思います。当時は非上場ですから、別に元会長のプライベートカンパニーが資金提供してもしなくても、みずほからの借入金が減らせればよいという程度の判断でも決して不穏当ではない気がします。
  • その後、上場し、株式の売出しも行っているので、色々と問題になる訳ですが、これも元会長としては「上場審査時に主幹事証券もジャスダックも東証も何も言わなかったのに、それを今になって自分の責任問われても」ということでしょう。そういう意味では、今回の結論は代表取締役かつ筆頭株主が責任を問われる範囲がある程度はっきりできたので、意味は大きいかなと思います。
  • 一方で、ビックカメラの内部統制は、平成14年当時から一貫して効いていなかったという認定に読めます(財務担当役員が「独断で」虚偽記載工作を行い、それは金融庁調査が入るまで社内では「誰も」知らなかった)。上場前提にも拘わらず、この程度の内部統制の仕組みしか構築しなかった経営責任が、元会長にはあるとは言えるだろうと思います。
  • 効かない内部統制を見逃した会計監査人、主幹事および証券取引所が何か対応するのでしょうか(多分正式に発表するようなものないと思いますが、各法人としてこの件をどう考えているのかということです)。

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2010/07/02

財産評価基本通達変更

6月19日付「財産評価基本通達の一部改正について(法令解釈通達)」(課評2-18 課資2-8 課審6-11)により、財産評価基本通達が変更されています。趣旨は「所得税法等の一部を改正する法律の施行等に伴い、所要の整備を行うものである。」とされています。課税時期に市場価格がない上場株式の評価に使用する株価に関する細かい変更や、相続税法24条抜本見直しに係る変更に加えて、純資産価額方式による非上場株式の評価に際して使用する法人税等相当額が変更されています。

具体的には、これまで長く評価益の42%であった控除額が、評価益の45%に引き上げられています。どうやら、清算所得の課税が通常方式に変更になった影響と読めます。たかが3%、されど3%です。変更は平成22年10月1日以降の相続・贈与ですから、小会社や中会社に該当する非上場株式の贈与は10月1日以降にした方が良いかもしれませんね。

しかし、国税庁はここまで律儀に変更かけてくるんですね。というか、誰かが強行にねじ込んだんでしょうかねぇ。

(変更前)185((純資産価額))の「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」は、次の⑴ の金額から⑵ の金額を控除した残額がある場合におけるその残額に42%( 清算所得に対する法人税、事業税、道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する割
合) を乗じて計算した金額とする。

(変更後)185((純資産価額))の「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」は、次の⑴ の金額から⑵ の金額を控除した残額がある場合におけるその残額に45%( 法人税、事業税、道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する割合) を乗じて計算した金額とする。

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