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2009/10/19

グループ法人単体課税制度

T&Amaster326号に、「オーナー系企業グループの内部取引も課税繰延の対象に」という記事があります。グループ法人単体企業課税制度というのは、財務省が平成22年度税制改正での導入を目論んでいる制度です。おおまかにいうと、連結納税を選択していない企業グループであっても、企業グループ内で一定の資産の譲渡をした場合、譲渡損益の実現を繰り延べるという制度です。一定の資産には、不動産や有価証券等が含まれます(連結納税同様に金額基準が設けられるようです)。その方向性自体は財務省が7月に公表しています。その中で、今回T&Amaster誌が取り上げているのは、「個人や外国法人を資本関係の頂点とする企業グループも含まれる方向」ということです。

通常、企業グループというのは、内国法人である親会社があって、その子会社等(連結納税制度の場合は直接・間接に議決権の95%超を保有です)により構成されるものと考えます。それを今回は、親会社が内国法人でなくても「企業グループ」として認めようということですから、ぐっと対象が広がることになります。

もしそれが本当だとすると、例えば、オーナー一族が100%保有している資産管理会社とその資産管理会社が30%、オーナー一族が70%株式を保有している事業会社は、連結納税制度の対象にはなりませんが、今回の制度では対象になります。今までは、事業会社が抱える含み損がある資産を資産管理会社に譲渡した譲渡損失による利益引下げににより、事業会社株式の(財産評価基本通達上の)類似業種比準方式での評価を下げたり、事業会社が中小企業で税務上赤字の場合は前年度の法人税の還付ができたりした訳ですが、それが認められなくなります。

この制度が、連結納税制度のように納税者側の選択ではなく、強制的に適用されるとなると、オーナー企業をクライアントにお持ちの税務プロフェッショナルの先生方にとっては大きな影響のある制度変更となってしまいます。

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