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2009/04/05

日本のファミリーオフィス事情(2)

日本においてもファミリーオフィスは存在します。ただし、今後どんどん増えるかというと、そうでもないと思っています。

ファミリーオフィスの前提は、ファミリーがまとまって資産運用や資産承継等の行動をすることです。しかし、現代日本においては、心理的にも、制度的にも、「ファミリーがまとまる」というのは難しいことになっていると感じます。

心理的というのは、「自分は自分、他人は他人」と考える人が増えていることです。これでは、資産をファミリーのものとして、計画的に運用したり、承継したり、という発想にはなりません。親の世代も本音はともあれ、表面的には子供に「自分のことは自分で考えろ」と言っている事例も耳にします。これでは、ファミリーオフィスという発想にはなりません。

制度的にそれを困難にしているのは、言わずもがなですが、民法の遺留分制度と世界有数の税率の高さを誇る相続税法です。遺留分の制度は、戦前の家督相続制度を否定して相続人間の平等を意識したものですが、「自分のものは自分のもの」という心理のバックボーンにもなっていると思います。

相続税法ですが、税率も問題だとは思いますが、ファミリーオフィスの設立への阻害要因としては、相続人に支払い義務を課す方式だということがあると思います。遺産税方式であれば、遺産が分割されなくても納税に支障はありませんから、被相続人(亡くなった方のことです)も、遺産税納税後の遺産は分割しないで信託等にして、その収益のみを相続人達に渡すようにすることも可能となります。日本の税制では、収益受益権の相続が発生した時点で、元本も含めて相続が発生したものとみなして相続人に相続税の納税義務が発生します。遺産税方式の場合、元本はいったん遺産税を支払った後の財産ですから、課税をしないという発想も可能だと思います。連邦税においては遺産税方式を導入しているアメリカでそうかどうかは知りませんが、仮にそういう税制があったとしたら、信託とそれを管理するファミリーオフィスを設定するインセンティブはそれなりにあると思います。

うまくまとまらないのですが、考えていくべきテーマだと思っています。

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