時価以上売買
26日付日経新聞 平田財務副大臣、保有株を信託せず売却 大臣規範に抵触 から。.
自民党衆院議員、平田耕一財務副大臣(60)=比例東海ブロック=が今月、証券市場を通さない市場外取引で、ジャスダック上場の石こうボードメーカー「チヨダウーテ」(三重県四日市市)の大量の株を市場の倍近い価格で売却していたことが、25日分かった。売却額は6億円を超える。在任中の株式売買自粛や保有株式の信託を求めた「大臣規範」に抵触する。
譲渡先であるゼロシステム社について、新聞記事では、平田副大臣が90%出資し、親族が役員に名を連ねる会社となっています。となると、自分から自分が支配している会社への譲渡ですから、必ずしも「大臣規範」に抵触しないといえないでしょうか。言葉は悪いですが、「右の財布から左の財布」へ移したようなものですから、実質的には移動していないのではないかと。もちろん、「大臣規範」が広く「売買」を禁じている場合には、文理上は違反していることにはなるのでしょうが。
ただし、「右の財布から左の財布」へ時価以上で売却したとなると、いくつか論点があります。
- EDINETで大量保有報告書を拝見しましたが、平田副大臣とゼロシステム社は別個に報告書を提出しておられます(平田副大臣は保有比率の減、ゼロシステム社は新規の大量保有報告)。しかし、ゼロシステム社を実質的に副大臣が支配しているとなると、共同保有者として取扱うべきではないでしょうか。その場合、今回の異動は「共同保有者の増」という理由で、平田副大臣が変更報告書を提出するのが、金融商品取引法の趣旨に沿うのではないでしょうか。
- ゼロシステム社は、時価以上の価額で株式を購入していますが、税務上問題はないのでしょうか。仮に、平田副大臣がゼロシステム社の「みなし役員」に該当すると、時価を超える部分は役員賞与になる可能性はないでしょうか。「みなし役員」に該当しないとしても、特定の株主への利益の供与ですから、「贈与」となる可能性も考えなくてはなりません。その点はどうなのでしょうか。
- 信託大好きおばちゃんさんもご指摘の通り、たとえ上場株式であっても、相対取引の場合の譲渡所得に係る所得税率は20%です。証券会社を経由すれば10%ですから、わざわざ税率で損をしています。また、みなし取得価額も使えません。過去にいわゆる「クロス取引」を行っており、その価格が取引価格を上回っていれば、譲渡所得は発生しませんので、今回は恐らくそのような事例だったのでしょう。
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