公益法人の経営
磯崎哲也事務所さん 「漢検」で思った、公益法人の利益についての素朴な疑問から。
公益法人を取り巻く環境がいつも安定してたり、資金に困ったときは必ず寄付が集まるというなら問題ないですが、そんなはずあるわけないわけで、「ゴーイングコンサーン」として活動し、活動規模を大きくしていくためには、それなりの資金を保持し、拡大していく必要があるはずです。
詳しい事情は私も判りませんが、今回の漢字検定の場合は、公益事業そのもので利益が盛大に積み上がったのが問題なんだと思っていました。つまり、検定料収入>>費用という状態を、理事会が放置したのだと。だったら、営利法人がやる途もあるだろうと。
確かに、非営利法人が活動を続けていく為の基盤の充実は大事だとは思います。しかし、それは公益事業から生じた剰余金ではなく、基金や基本財産あるいは運用財産およびその運用体制を充実させることでなされるべきではないかなと思います。
昨年12月に施行された新公益法人制度の下で、社団法人や財団法人(まとめて財団法人等とします)は税務上3種類に分けられました。1つは、営利法人同様の課税がされる一般財団法人等で、これは何の税務上の優遇措置はありません。2つ目は、非営利性が徹底されている一般財団等と共益を目的とした一般財団等です。これらは、収益事業課税ということで、税務上の収益事業(出版とか不動産賃貸等など)からの収益のみ課税されます。金融資産の運用は収益事業ではないので、源泉徴収のみで完了です。3つ目は、公益財団法人等です収益事業課税、みなし寄附金制度、寄附者に対する税優遇措置等が認められています。これに該当する基準の1つが、収支相償原則で磯崎先生が引用されていたものです。公益認定等委員会(もしくはそれに相当する都道府県知事傘下の委員会)の監督がありますが、それ以外はありません。
ここで気になるのは、公益性が徹底された一般財団法人等です。収益事業課税なのに、監督官庁もありません。今回の漢検がこの手の法人だった場合、誰が監督するのでしょうか。強いていえば、公益性が徹底されているという基準が税法のものなので、税務署が監督するのでしょうか。
| 固定リンク
「Business Law (Japan)」カテゴリの記事
- 非上場親会社等が絡んだ再編事例(2010.08.12)
- 有価証券報告書虚偽記載に係るオーナー経営者の責任(2010.07.05)
- つくろって済むことなのか(2010.02.08)
- 公開買付規制(2010.01.29)
- 伊右衛門生茶(2009.08.14)
「Tax (Japan)」カテゴリの記事
- 平成23年度税制改正の結末(2012.01.18)
- 平成24年度税制改正大綱(2011.12.14)
- 平成23年度税制改正(2010.12.21)
- 非上場親会社等が絡んだ再編事例(2010.08.12)
- 年金保険に関する最高裁判決(2010.07.07)
「Financial Management」カテゴリの記事
- 頭が痛くなりました(2011.07.20)
- ブックレビュー『同族経営はなぜ3代でつぶれるのか』(2010.11.12)
- ブックレビュー『起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと』(2010.11.10)
- 非上場親会社等が絡んだ再編事例(2010.08.12)
- 資産管理会社と事業会社の合併事例(2010.05.12)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント