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2008/11/05

株主の買取請求権

2日付日経新聞にTCIがJパワーに株式を譲渡することになった、という旨の記事がありました。それによると、7月にJパワーは吸収分割(100%子会社の事業の1部を親会社であるJパワーが吸収する)を略式再編の手続に則って公告し、それに対してJパワーが反対の意思表示を行い、当事者間の価格の協議が成立したとのことです。Jパワーから買取請求者名を伏せたプレスリリースが出ています。

思えば、TBSも来年4月に再編を予定していますので、楽天が3月に買取請求する可能性がある訳ですが、その場合、譲渡損失が計上されることが予想されるだけに、楽天がどう出るかが注目されておりました。税務会計上だけの損だったら、即決なんでしょうがね。

でも、今回の件は、なんか違和感を感じますね。

買取請求は、会社法の少数株主保護規定である訳なのですが、今回のように、100%子会社から事業の1部を吸収分割する場合に、果たして、吸収する側であるJパワーの株主を保護する必要はあるのかは疑問です。子会社側に少数株主がいた場合には、親会社・子会社の株主の双方に意見を聞く必要はあるのだと思いますが、100%子会社で、連結財務諸表上、再編前と後で全く変化はない訳ですからねぇ。

むしろ、この制度を使った結果、反対の意思表示をしたTCIだけから、合法的に株式を取得できたという点でも、割り切れません。意図的に行った再編であることは、Jパワーさんは否定されているとの報道ですので、談合的なものではなかったとしなければなりませんが。再編の反対株主の買取請求の場合は、財源規制がありませんので、今回は関係ないでしょうが、金庫株との差が際立ちます。

この件をきっかけに、再編に際して、反対株主の買取請求権を行使する株主が増えてしまうかもしれません。これは上場・非上場問いませんから、株主が分散している会社の取締役さんはお気をつけ下さい。個人株主は、みなし配当が生じると思われますので、されないとは思いますけど、法人株主にとってはインセンティブありありですからね。

今後、買取請求事案が増えると、当事者間の協議が時間切れとなって、裁判所による価格の決定というケースも増えると思われます。裁判所も準備をしているのかどうなのかは判りませんが、レックスホールディング事件やアパマンショップホールディングス事件では、会社側の価格を不当(レ社事件では低すぎ、ア社事件では高すぎで会社に対して損失を賠償)であるという判決(どちらも高裁判決で、現時点では未確定)が出ています。判例が積み上がっていく過程の当事者は、振り回されるんでしょうけれど。

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