信託を使った事業承継
これの続きなんですが、単なる思い付きであって、税務アドバイスを更正するものでもありませんし、筆者が何の責任を負うものでもないことを明記しておきます。
創業者Aは、上場会社Bの株式を30%保有するオーナー社長です。会社経営は、B社の専務である長男Cを後継者に考えています。一方で、故郷である北海道への恩返しとして、奨学金財団(公益法人)を運営しています。
Aは、保有するB社株式全てを信託します。受託者は一族の資産管理会社D(代表取締役は配偶者E)で、配当の受益者は財団法人で、議決権の受益者はCです。税務上の取扱いはどうなるでしょうか。
税法上の受益者は、財団法人だけですから、ここではAに対してみなし譲渡所得の問題が発生します。租税特別措置法40条の適用を申請するのか、はたまた20%の所得税を支払うのかは、信託設定時の株式の時価により判断します。
問題は、信託終了時の取扱でしょう。再度同じ内容の信託を設定することにできればよいのでしょうが、それもどうかと思いますし...
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コメント
KRPさんご無沙汰してます。 あんまり更新していらっしゃらないから巡回も遅れてしまいました。
議決権指図権ですね。いまの税法では株式を財産的価値と議決権指図権に分けてそれぞれが譲渡されるなんて前提に設計されていません。だからいまだと、議決権指図権は0評価しかない。でもそうなると、なんでもできちゃう。たとえば、
信託期間をめちゃくちゃ長くして、自社株を信託し、受益権自体は従業員に配当還元でばらまく。ただし、議決権指図権はオーナーが有し、オーナーが死んだら後継者 後継者が死んだらという受益者連続ではなく、委託者連続みたいなやつも理論的には可能。じゃ、オーナーが死んだとき、議決権指図権を評価するのか否か。否といっても非上場会社の価値って、M&Aをしたり清算するのじゃなかったら、議決権がすべてですよね。それなのにOのままでいいのかという問題もあります。
信託設定時の課税関係はKRPさんのお書きのとおりでいいように思います。
ちょっとわからないのですが、 信託が終了したときにまだ財団が存続し、帰属権利者が財団の場合ということで、その場合は、誰が議決権を行使するかということが問題だということですか。 信託期間は、原則的には制限がないので、ものすごく長い期間というのも可能ですよね。
投稿: 信託大好きおばちゃん | 2008/10/14 09:52
コメントありがとうございます。
最近は社内のプロジェクトで手一杯状態です。ボーナス出るかも不透明なんですが、レイオフよりはましなんで...。
信託期間終了時の帰属権利者をどのように規定すれば税務上便利かな、というのが判らなかったんです。無期限の信託というのも可能であれば選択肢ですね。もっと勉強しなくっちゃ。
投稿: krp | 2008/10/15 12:13
KRP(京都リサーチパークの略か)さん どちらにお勤めかまったく存じませんが、ブログの内容から拝見して、かなりの実力をお持ちの方と推察されますので、たとえ、KRPさんが現在お勤めの会社がどちらであろうとも、KRPさんの仕事人としての人生が、継続して真っ暗になることはないと思います。
ではでは
投稿: 信託大好きおばちゃん | 2008/10/15 13:26
過分なお言葉を頂戴致しまして、恐縮です。前向きに仕事に取り組みます。
京都リサーチパークですが、10年位前に行ったことある位です。関係者の方に失礼かなとは思いますが、まだあるんですね、という程度のご縁です。
ハンドル名は、私が大学時代に研究したオーストリア生まれの哲学者の頭文字からとってきました。
投稿: krp | 2008/10/16 12:30