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2008年7月

2008/07/31

すかいらーく(続報)

すかいらーくの件で、31日付日経新聞に詳報が出ていました(nikkei.netでは詳しくないので、リンクは貼りません)。

記事で1つひっかかったのは、「すかいらーくの業績がある時点で一定水準を下回ると、投資会社の持つ株式が銀行団に担保として移る契約」があり、それが野村PIさんを駆り立てているという記述です。ここでの疑問は、第1に、今回躍起になっているのは野村PIさんだけなのか、第2に、担保として移ることで何が問題なのか、ということです。

第1の点ですが、日経新聞の記事は、「野村プリンシパルを駆り立てる」という言葉と「野村などに残された時間はあまりなく」という言葉を微妙に使い分けているようにみえます。本件では、エクィティーを出している投資会社は野村PIだけではなく、CVCという海外のファンドもいます。そちらの姿勢はどうなんでしょうか。記事的には野村と同調しているように見えますが、本音の部分ですね。野村PIさんのような日系のファンドは、「外資ほど短期的な見方はしない」という話が多いと思うのですが、実際の「仕振り」が問われているのではないでしょうか。

第2の点ですが、「保有株式が担保として移る」ってどういうことなのでしょうか。略式質であれば、名義も議決権も銀行団には移りませんから、実質的に株式としての立場は変わらない気がするのですが。そもそも今回資金調達しているのは(新)すかいらーくですが、銀行団が融資先の会社の株式を担保としてとりにいくというのは、債権保全上の意味があることなのでしょうか。担保としてとり、質権を行使して株式を取得しても処分できないと思いますし、経営権を銀行団がとるというのも現実的ではない気がします。担当者の社内での立場が悪くなるのは確かですけど...。

いずれにせよ、来月の臨時株主総会に向けての当事者間の動きに注目ですね。

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2008/07/30

MBO契約

30日付朝日新聞主要株主ら、創業者の社長の退任要求 すかいらーく から。.

ファミリーレストラン大手すかいらーくの主要株主である野村証券グループなどの投資会社2社が、創業者の1人である横川竟(きわむ)社長に退陣を要求したことが明らかになった。ガソリン価格の高騰などによる外食不振で、同社の業績改善が遅れていることに不満を募らせたとみられる。  

横川氏ら経営陣は06年、野村プリンシパル・ファイナンスと英投資ファンドCVCキャピタルパートナーズの出資を受けて経営陣による株式買い取り(MBO)を実施し、すかいらーくを非上場化。09年の再上場を目指して経営再建に取り組んでいた。野村プリンシパルは昨年末時点で61.5%、CVCが35.6%のすかいらーく株を保有している。

 MBOの契約上、社長の解任には銀行団の了解が必要だが、銀行側は現時点では中立な立場。すかいらーくとファンド2社は来月中にも協議して対応を決める見通しだ。

MBOをした後の業績がファンドの思うとおりにいかない場合に、経営陣が首を切られるというのはあり得る話、というか、最近のベルシステム21を含めて過去に何例があった筈です。それが良いか悪いかは判りません。普通に考えれば、経営環境が当初の想定を遥かに超えて悪化している訳で、経営計画の大幅な見直しはやむをえないかと思います。経営陣を挿げ替えただけで事態が好転するようなケースとは考え難いのですが、現社長に何か重大な経営判断のミスがあったのでしょうか。

今回の記事でちょっと驚いたのは、銀行借入のコビナンツ(財務制限条項とかいう日本語が使われることが多いのでしょうか)に、代表取締役の交替が入っていたことでしょうか。すかいらーくは横川4兄弟(現社長は4男)が創業者ですし、MBO時の経営計画に対する現社長のコミットがかなり重要であったことは想定されます。しかし、中小企業でもないのに、そんなに個人に依存した体制を前提にして、よくあれだけの巨額なローンを出せたものだなぁとも思います。

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中小企業経営承継円滑化法施行規則案

経済産業省が「中小企業における経営のh総計の円滑化に関する法律」の施行規則案をパブリックコメントに付しています。ざっと目を通す時間ができましたので、備忘録です。

  1. 1条10項(「特別子会社」)
    「会社並びにその代表者及び当該代表者に係る同族関係者が他の会社の総株主等議決権の100分の五十を超える議決権を有する場合における当該他の会社をいう」とありますので、資産管理会社Aが事業会社Bについて直接保有する議決権が過半数を切っていても、その代表者一族でB社の議決権の過半数を保有していれば、B社はA社の特別子会社ということになります。
  2. 6条1項7号ロ(「資産保有型会社」)、ハ(「資産運用型会社」)
    ここでは、中小企業であっても、この承継円滑化法による認定の対象外となる「資産保有型会社」および「資産運用型会社」が定義されています。その定義の為に必要な、「特定資産」と「特別特定資産」も定義されています。
    「特定資産」とは、金融商品取引法2条1項に規定する有価証券及び持分および「特別特定資産」の指します。有価証券及び持分から、特別子会社の分は除かれますが、特別子会社が資産保有型会社もしくは資産運用型会社である場合は除くことは出来ません。つまり、製造業や卸売業等の事業をしている特別子会社の株式は特定資産にはならないということですね。
    「特別特定資産」とは、自ら使用していない不動産、事業用ではないゴルフ会員権や絵画等、および現預金です。現預金には、代表者およびその同族関係者あての貸付金及び未収金が含まれます。
    「資産保有型会社」は直近の事業年度末における資産の価額の総額に占める特定資産の価額の合計額の割合が百分の七十以上である会社、「資産運用型会社」は直近の事業年度における総収入金額に占める特定資産の運用収入の合計額の割合が百分の七十五以上である会社のことです。つまり、不動産賃貸業を営む会社は承継円滑化法の認定対象外と思われます。
  3. 6条1項7号へ(特別子会社に関する例外)
    特別子会社が、上場会社等、大法人等又は風俗営業会社に該当しないこと、とされていますので、上場企業のオーナー一族の資産管理会社は、本法の適用対象外となります。
  4. 6条2項(資産保有型会社および資産運用型会社の特例)
    6条1項7号に該当しても、資産保有型会社あるいは資産運用型会社にあたらない条件が規定されています。商品販売、(不動産や金銭以外の)賃貸、サービス提供、広告代理店等の事業を3年以上継続し、店舗等の固定施設を保有するか賃借し、従業員が5名以上いる場合となります。6条1項7号の機械的な判定基準から、どのような会社を救済しようとしているのかはよく判りません。製造業を営む特別子会社を持つ会社(資産は特別子会社株式、不動産および機械)が、その特別子会社に不動産に加えて、一部取引について販売代理店となっている場合は、認定の可能性があるということなのでしょうか?
  5. 9条(認定の取消)
    後継者が形式的にも実質的にも後継者とはいえなくなった場合はいたしかたないと思いますが、2項17号に「当該特別認定中小企業者が会社法台47条第1項又は626条第1項の規定により資本金の額を減少したこと(同法台309条第2項第9号イ及びロに該当する場合を除く。)。」とありますので、欠損の填補以外での減資ができないことになります。何故この条文が入ったのでしょうね。
  6. 10条(合併があった場合の認定の承継)
    一部実務家が気にしていたことですが、認定を受けた企業が吸収合併等により消滅した場合について規定されています。実質的に認定企業が存続企業として認められるような合併でなければ、認定は承継できないようです。譲渡したのと同じなのに、認定が承継するのはおかしいということなのでしょう。それと存続企業が、大法人等や6条1項7号の基準での資産保有型会社または資産運用型会社である場合も承継は不可とされています。ここにおいては、6条2項の例外は認められない点も、仮に合併する場合には要注意でしょうね。
  7. 11条(株式交換などがあった場合の認定の承継)
    株式交換等により、別企業の完全子会社になった場合の規定です。これもざっくりといえば、株式交換等のあとに現行の企業結合会計に従って連結計算書類を作成すると仮定した場合に、認定企業が連結親会社となるような株式交換等でなければ、認定は承継されないということになります。10条と同じく、完全親法人についての縛りがありますので、仮に株式交換などを計画する場合は注意が必要でしょう。どちらも、趣旨は認定を受けたら株式を死ぬまで譲渡できない規定の潜脱行為を防止することを意図しているとは思います。しかし、このご時勢に、余りに縛りすぎではないかと思ったりもします。悪意の脱税だって10年で時効なのですが。

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2008/07/23

書評『新時代の相続税対策の徹底検証』

奥村眞悟著『新時代の相続税対策の徹底検証 改訂新版―あなたの相続税対策には危険がいっぱい!?』読了。

新信託法とその税務についての精力的に著作を発表されている奥村税理士の、相続対策一般に関する書籍です。信託に係っていらっしゃるからか、不動産関連の税制や相続対策には一家言お持ちでいらっしゃいますし、養子縁組のリスクについてのご説明も含めて、極めて適格に問題点が指摘されています。

一方で、非上場株式の相続税ベースの評価の実務については、若干誤解を招くような記述が見受けられたのが残念であります。

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2008/07/18

非上場株の価格算定へ指針 中小企業庁、後継者の相続支援

17日付日経新聞夕刊から。

非上場株の価格算定へ指針 中小企業庁、後継者の相続支援
中小企業庁は非上場株式の価格算定の指針を年内にもつくる。業種、資産内容などに応じた具体的な算定方法を「収益還元方式」など4方式を軸に明示する。中小・零細企業の経営者が死亡した際などに、親族に分散しがちな株式の金銭的な価値を示すことで、株式を後継者に集約しやすくする。非上場株の価格が明確になれば、中小企業のM&A(合併・買収)を後押しする可能性もありそうだ。

事業承継法にある遺留分に関する民法特例を適用する際に、対象株式の時価算定を会計士や税理士等の専門家が行う旨定めているところから発している訳ですから、是非進めて頂きたいプロジェクトです。これがなければ折角の規定が使えない規定になってしまいますから。

メンバーの方々には、現行の所得税法基本通達や法人税法基本通達や財産評価基本通達にとらわれない評価方法を提示して頂きたいと思う半面、世間にあまた存在する資産管理会社の存在意義が問われかねないことになる可能性もありますので、実務に携わる身としては難しいところです。

税務当局との調整が必要(低額譲渡等の問題が生じることを避ける為ですね)ですが、事業承継税制を通した中小企業庁さんの交渉力に期待したいと思います。

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2008/07/16

事業承継の決意

16日付日経新聞「オーナー経営者引退、「親族外継承」広がる」から。

中小企業に親族外への事業承継が広がっている。戦後から高度成長期に起業したオーナー経営者が引退の時期を迎えているが、少子化や厳しい経営環境で親族の後継ぎが少なくなっているのが背景だ。中小の合併・買収(M&A)を仲介する業者も増え会社譲渡への抵抗感も薄れている。廃業が増える一方で、中小経営が「家業」から脱皮する時期にきているともいえそうだ。

しばらく前のNHKの朝ドラ「ファイト」で、緒方直人さん演じる主人公の父親は、2代目として従業員10名未満の精密ねじ加工会社を経営しておられました。トラブルで営業を休止する羽目になりましたが、酒井のりピー演じる妻が旅館の住み込みの仲居さんとして働く等して、廃業までには至らず、義母の廃業の勧めにもめげず、色々な経緯を経て、事業を再開(元従業員も再雇用!)されていました。ここまでの覚悟と思い入れがないと、事業は承継できないというシナリオがどうやって可能になったかは存じませんが、要点をついていると思います。

そう考えると親族外承継が広がるのは、当然といえば当然です。私が接している起業家の方々のお子様の教育に対する姿勢として、お子様達もしくは配偶者の方の言うがままになっているケースがまま見受けられます。その場合、お子様が事業の承継を希望されるケースは、少ない印象です。思うに、父子の会話が少ない為、自分の事業への思い入れや経営理念を創業者の方がお子様方に語っておられず、お子様方が事業承継の準備をする機会がなかったのではないでしょうか。子供は、小さい頃から親の事業に直接・間接的に関与し、親の経営哲学に触れ続けているからこそ、それ引き継ぐ後継者としての覚悟ができるのではないでしょうか。

親族外に承継するケースとして、従業員への承継が記事にもあるようですが、通常従業員は資金的にしんどいですから、株の承継という問題が生じます。事業承継法と税制は、親族間の承継しか手当てしていませんから、先代の養子にでもならない限りは対象外です。そうすると、経営に興味のない創業家株主という存在が誕生してしまいます。経営陣と株主の関係は良好であるにこしたことはありませんので、創業者が健在な間にきちんと話し合い、明文化(配当性向とか、取締役にするのかとか)しておくことが、これからの時代は望ましいでしょう。経営者がやりづらくてはいけませんし、かといって経営者が暴走してもいけません。そこらへんはきちんとするべきでしょうね。もちろん、会社の金を使って創業家に株を持たせない選択肢(金庫株、大掛かりな仕掛けが必要な会社の場合はMBO)もありますので、その会社の状況次第で使い分けることになるかと思います。

過去の事業承継は、相続税対策のみでしたが、税対策は成功しても、企業経営がうまくいかなかったケース(某大手スーパーとか)もありますので、真正面から事業承継の問題をとらえる必要があるのだと、最近強く思います。

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