平成20年度税制改正
平成20年度税制改正ですが、閣議決定もされた政府・与党案を見てみるに、大きな改正はないといえます。
目玉のように経済産業省がいっている事業承継税制の創設ですが、これは今年の通常国会に経産省が国会に提出する法律次第で、それをうけて平成21年度税制改正で本格議論するわけですから、そもそも平成20年度税制改正には含まれないと解釈するのが妥当でしょう。資産管理会社を利用している場合には使えないことや税金の繰り延べであって減免ではないことはわかりますが、だからどう使えるのよ、と思います。
徴税側の理論的誤りが修正されたのが、営業権評価です。超過収益で事業を評価するにもかかわらず割引率に国債金利というリスクフリーレートを使うという愚行が改められます。それでも事業毎のリスクは反映されませんので、どうかとは思いますが。
日経新聞では散々記事が書かれた証券税制ですが、結局キャピタルゲインや小口株主配当に係る所得税の減免措置は廃止されました。移行措置として少額のキャピタルゲインや配当については、軽減税率が残り、それでほとんどの個人投資家はカバーできるというのが金融庁の言い分ですが、結局IPOした起業家は優遇しないのですね。以前は新規公開株については税率軽減してたのに。株式の譲渡損益と配当の損益通算については、金融一体課税に向けて一歩前進かとは思いますが、証券市場の活性化をうたうのであれば、証券税制においてもそれを後押しするべきではないかと。
新公益法人制度が導入されるのに伴う手当も、現行税制の微修正にとどまり、政府や地方公共団体ではうまくいかない公益事業をてがける公益法人の設立を促そうという意思は強くはないようです。
他にも三角合併の適格要件の明確化などもありますが、政策意図が見えない気がします。やはり行政、とりわけ財務省サイド主導で進められた今回の作業ではないかなと思ってしまいます。
民主党も税制改正対抗を出していますが、別途考えてみたいと思います。
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