M&Aとネットデューデリジェンス
渡辺聡さん M&Aとネットデューデリジェンスから。
テクノロジー基盤については、BSで固定資産としてプラス評価がされて価値算定されてる表面とは異なり、実態としてはマージ出来ないのが本質だったりすることが珍しくなく、実際には引き受け手の視点ではプラスどころかマイナスの資産としてみた方が妥当な場合もある。事業価値のぶれが出るのならまだともかく、買ったはいいがビジネスとして機能しないという展開になれば、いくら安かろうがたいした意味はない。
今後、業態によってはネット系の資産がブランド価値の一部として考慮されるというのが出て来るだろう。その場合、継続性やネットブランド(?)を支えている実態資産が何かというところに踏み込むようなところになれば、またひとつ既存の評価方法では捉えられない価値評価の領域が出て来ることになる。
今や業務の基盤となっているITシステムの存在はM&Aの検討の上では、恐らくですがDCF上の「追加設備投資」に計上すべきものになると思います。経営統合した金融機関のシステム統合でみれば判る通り、基幹業務システムの統合って簡単ではないですから。
今までは買い手側のシステムに統合するのが常道でした。その場合には、営業上も、情報管理上も、被買収先企業のシステムに記録されている重要情報を全て買い手側に吸い上げた上で、廃棄するという作業が必要ですね。
対顧インフラという観点からは「残す」という選択肢も真剣に考える訳ですが、その場合でもグループ内の「内部統制」上のリスクを回避して、という前提を付けなければならないご時世ですから、コストは伴う訳です。
では、そのコストをどのように見積もるかということになると、それができる人がいるのかいないの、いるとした場合でも、その人がM&Aの是非を検討するチームに参加していないのが、過去の事例だと思います。内部統制に注意を払う上場会社は今後はもう少し真剣になると思いますが、非上場会社が買い手の場合だと顧客が迷惑を被るケースって出てくる可能性残りそうですね。
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