伊藤園さんの種類株式は9月3日に無事上場し、初日は2930円で取引を終えたようです。私個人としては、この種類株式が株主割当で発行されたことは興味深いと思っています。
念の為のですが、私は法務・税務・会計等について助言する立場にはありませんし、当ブログの記載はそのようなものを意図したものではありません。また、当ブログの記載の正確性・信憑性について保証するものではありません。読者の方は、ご自身の行動の結果については、当方では一切責任を負いかねます。必ず専門家にご確認の上で、自己の責任においてご判断下さい。
第1に、伊藤園の株主で株主総会の議決権は残したいけど、まとまったお金が欲しい株主(仮に通算できる損があれば最高)には、大変ありがたいのではないでしょうか。仮に今回の種類株式がなければ、伊藤園株式を担保に借入を起こす(金利負担が生じますし、借入は返済しなければなりません)か、なくなく伊藤園株式を売却するしかなかった訳ですから。
第2に、種類株式の取得価額です。これについては伊藤園のプレスリリースにも、大和総研さんのレポートにもあるとおり、取得価額ゼロということになるようです。理論的には、本日の普通株式の時価と種類株式の時価で、普通株式の取得価額を按分する等も考えられますが、実務の負担を考えてこうなったようですね。従って、当該種類株式を譲渡した場合には、全額譲渡所得(もしくは益)になります。
第3に、本種類株式に係る資本金等の額はゼロになるのではないでしょうか(平成18年度税制改正で、資本金等の額は種類ごとに分けて計上することになっていますが、本種類株式は払込がないので、資本金等の金額はゼロしかないと思いますが、間違っていたらご指摘を頂きたいと思います)。となると、伊藤園が相対で本種類株式を株主(法人、個人株主どちらも)から取得した場合や、公開買付で株主(法人株主のみ)から取得した場合の税務に影響があることになります。資本金等の額がゼロですから、全額がみなし配当ということになりますので、法人株主の場合には配当金の益金不算入の特例が使えることになります。具体的な計算は省略しますが、会社法会計上は株式の譲渡益がたちますが、税務上は損金を計上できるケースもあるということになります。普通株式でも同様で、かつ過去に例もあり、当局も対応を考えている旨、いくつかの税務関係の雑誌等が報じているようですが、現状では適法な税務会計となる模様です。
みなし配当という税法上の概念は、金庫株解禁にあわせて導入されたと記憶していますが、実態としてどうなのかなと思ってしまいます。
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