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2007/02/07

税制適格株式交換

MBOにおける少数株主排除の手法として、種類株と全部取得条項が主流になるだろうと申し上げましたが、完全親会社の端株しかもらえない株主に現金で決済する株式交換を予定している会社もあるようです。これが税制適格株式交換となるのかどうかについての議論はされているのでしょうか?なお、このブログは税務
相談やアドバイスを意図したものではないこと、また内容の正確性を保証するものではないことを改めて
明 記いたします。

上場会社のMBOにおいて、株式買い集めを目的として設立されたSPCが株式交換により対象会社を
完全子会社化するにあたって、それが税制適格株式交換かの論点はただ1つで、いわゆる50%超
100%未満 の支配関係が株式交換後も継続する見込みといえるかどうか、ではないかと思われます
(株式交換は平成1 8年度税制改正により、組織再編税制に組み込まれており、それについての詳細は
その手の本(図解 法人税〈平成18年版〉とかです)をご参照ください)。

MBOにおいては、SPCと対象会社の合併が予定されることがほとんどです。これも考慮に入れて、実態
ベースで考えると、SPCについて50%超100%未満の支配関係が株式交換後も継続していれば適格株
式交換であるといえますが、そうでない場合は非適格株式交換となる可能性を否定できないのではないでし
ょうか。ファンドの関与があるケースが多いMBO(上場企業のMBOでエクィティについてファンドが
入らなかったのはワールド位ではないでしょうか、それでも同族関係者で50%超だったかは不明です)に
おいて、50%超支配関係にもっていくのは至難の業です。

もちろん、専門家の方々からみれば条文解釈で争うことも可能なのかもしれません。しかし、税制非適格と
なった場合に多額の資産評価益が見込まれる場合に、税務訴訟で勝つことを期待してスキームを組み立てる
のは無謀といわれます。組織再編税制には租税回避行為の包括否認規定がありますので、条文の字面よりは
実態がどうであるかの判断が優先ではないでしょうか。

もっとも、税制非適格株式交換になっても影響のない会社が対象であれば問題ないとも考えられます。例え
ば、固定資産を時価評価すると盛大な含み損が出る会社とかは税制非適格株式交換による税金のキャッシュ
アウトはないと思われます。

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