平成19年度税制改正
全体としては先送りが多いことは否めませんが、平成19年
度税制改正は中小企業にとっては大きな意味があるものとい
えるのではいでしょうか。
1.中小企業の定義の見直しがなかった
一部で噂になっていた中小企業の定義の見直しですが、今
回は見送られました。そもそも外形標準課税逃れの減資が
横行しているという総務省サイドからの要望に財務省が乗
った訳ですが、中小企業優遇税制は外形標準課税だけでは
なく、幅広いものですから、それを取り上げるのはどうか
と選挙前の政治家先生にはできない相談だったのでしょう。
2.留保金課税制度の見直し
留保金課税制度は中小企業庁から毎年廃止が要望されてい
た制度ですが、今回ついに中小企業に限定して撤廃されま
した。来年以降の中小企業の定義にもよりますが、これで
随分と救われるケースがあるのではないでしょうか。
これをきっかけに減資が更に増えるかもしれませんが、地
方税である外形標準課税制度と違って法人税には同族会社
の租税回避行為を否認できる規定がありますので注意が必
要だと思います。
3.種類株式の評価の明確化
会社法により非公開会社に限っては発行限度が撤廃された
種類株式ですが、事業承継に使いたいという実務サイドの
要望に応える形で、3類型だけではありますが、評価方法
が明確化されることとなりました。税メリットはないよう
ですが、少なくとも活用に向けた大きなハードルがクリア
された点は歓迎できます。
4.相続時精算課税制度の適用拡大
相続税評価ベースで20億円までの非上場会社の経営を承
継する場合限定ではありますが、親の年齢制限が引き下げ
られ(65→60)、贈与税の非課税枠も拡大(25→3
0百万円)されました。
5.減価償却制度の見直し
残存価額とい今となっては意味不明の概念がようやくなく
なります。副作用として、リースを利用するメリットが1
つ減るので、会計基準の変更と相まってリース業界には頭
痛の種かなとも思います。
しかし、中小企業にとっては設備投資にかかる税メリット
として意義は大きいと思います。あとは、固定資産税評価
額部分と耐用年数の見直しがあると良いかなと思います。
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