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2005年10月

2005/10/07

支配権目的の投資ファンドが子会社上場を提案する?

6日付日経新聞村上ファンド、阪神タイガーズ上場提案から。

阪神電気鉄道の筆頭株主となった村上世彰氏が率いる投資ファンド、M&Aコンサルティング(東京・港)が阪神電鉄に対して、傘下のプロ野球球団、阪神タイガースの株式上場を提案していることが4日、明らかになった。数年内に阪神タイガース株の公募・売り出しを実施、大阪証券取引所ヘラクレス市場に上場する内容。選手に株式購入権(ストックオプション)を与えることも盛り込んだ。
関係者によると、村上ファンド側は株主を増やすことで観客動員・グッズ販売の増加が期待でき、収益力を向上できると阪神電鉄の経営陣に説明した、という。

ヘラクレス市場への上場を提案しているのは、自身が大阪証券取引所の大株主だからというご愛敬をかましておられるのはさておき、村上氏は子会社上場を求めているのでしょうか、それとも阪神球団を半身電鉄から完全に切り離す形での上場を求めているのでしょうか。

スポーツ紙などの報道を拝見すると、球団の株主の移動があった場合は、すべてプロ野球機構に届ける仕組みのようですし、プロ野球球団の親会社が変更される時には、オーナー会議の承認が必要なようですから、球団の株式は上場適格とはいえないように思えます。機構にかけあって、株主名簿を四半期毎の提出に緩和することと、阪神電鉄が過半数以上を絶対に保有することを確約すること、そしてそれを大阪証券取引所にのませることができればなんとかなるかもしれません。そうすると、子会社上場になってしまいます。

子会社上場というのはその昔単独決算重視主義であった日本市場独特の制度ですから、私は村上氏のような方が持ち出されるとは正直驚きです。阪神球団の価値を親会社が有効活用していないのであれば、有効活用させた上で利益を吸い上げ、それを親会社の株主に配分するようにさせれば良いことです。せっかく、価値がある子会社からの上がりを子会社の少数株主という外部に流出させるのは得策ではない、というのが私の理解です。

子会社上場は親会社に一時的に売却代金が入ったりしますので、それを特別配当してくれたら「さよなら」したいという思惑でもあるのでしょうか。過去に東京スタイルでも、機関投資家もびっくりの高額配当案を株主総会に議案として提出した村上氏ですから、それはそれで筋が通っているのかもしれません。だったら、全株(少なくとも支配権相当分)売却する提案をしても良かったはずと思います。資産の少しずつ切り売りすることよりも、阪神グループの長期的な企業価値向上の観点からは、完全子会社として継続する(もしくはヤクルト球団のように意味のある株主に一部もって貰う)か、グループから切り離すかの選択肢ではないかと思います。

もうひとつ村上氏が選択肢として提案すべきではないかなと思うのは、「トラッキングストック」です。ソニーが唯一発行したものです。これによっても阪神電鉄は阪神球団の潜在価値を顕在化して資金調達が可能です。それを株主に分配することに回せれば、村上氏には満足なはずです。もちろん、トラッキングストックの保有者は阪神電鉄にも阪神球団にも原則経営参画できず投資家がつきづらいという問題がありますが、子会社上場とて問題ありですから、まとめて提案しておいても良かったと思います。

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2005/10/02

純粋持株会社設立はいいけれど

15日付(だったかな)日経新聞サンマルク、来年1月メドに持ち株会社制に移行から。

「サンマルクは来年1月をメドに持ち株会社制に移行、同3月をメドに業態別に分社化すると発表した。持ち株会社の名称は「サンマルクホールディングス」の予定。片山直之サンマルク社長が株式を100%所有する資産管理会社デコールが、来年1月をメドにサンマルクの親会社になる。」

このスキームは平成14年頃に未来工業という名証上場の会社がやったのが最初で、その後、メルコ、ツルハと続いていると記憶しています。

このスキームを考える上で気になることが2つほどあります。

第1に、片山社長の保有資産に占める上場株式の比率がかなり上昇します。換金性や資産性を考えればそれを良いとすることもできますが、逆に市場価格でしか評価できない資産だったりする点をデメリットと考える税理士の方もいらっしゃるようです。

第2に、株式交換比率を考える上で、デコールにサンマルク株式以外の資産がある場合は問題になるだろうということです。デコール株式である片山社長が交換前よりも多くのサンマルク株式を保有することになるかもしれないからです。

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当初2年間行使できないMSCB

これってどうよ?、という問いが知人からありました。

スキームとしては、グッドウィル・グループがMSCBで250億円調達しますが、そのCBの2年分(CBの期間は4年間)の転換権を行使する権利を実質的に折口会長のプライベートカンパニーである折口総研が保有していて、MSCBの引受先である大和ヨーロッパは行使できない状態になっています(折口総研はオプション料3億円を支払っています)。

まず、当初2年間分のオプション料が3億円ということですから、後半2年分のオプション料を併せて考えた場合、果たして本当に有利発行ではないのか、という疑念は生じます。2年間で3億円というと、元本250億円の1.2%(単利で年利に直すと0.6%に)相当します。後半2年間は価格修正条項もより柔軟ですし、時間的価値を考慮すると3億円以上のオプション価値がありそうです。仮に2倍の6億円だとしても、4年間で9億円というと250億円の3.6%(単利で年利に直すと0.9%)です。そうなると、グッドウィル・グループの社債発行コストと比較して必ずしも有利発行とはいえない、というロジックも成立するかとは思います。実際のところ、第3者から有利発行ではないという意見書を取っていますので、精緻な数理モデルでロジックを展開できる準備はしているのでしょう。

また、折口総研は自分が望んで、資金調達が可能であれば、グッドウィルグループに対する持ち株比率を高めることが可能です。敵対的買収防衛を意図しているかどうかは判りませんが、そのようにとらえることも可能です。行使後の折口会長グループの持ち株比率がどれ位になるのかの開示はありませんので判りませんが、敵対的買収者に対して自己の地位の保全策があることをアピールする効果は否定できません。たとえ、その為に折口会長側の巨額の資金調達が必要になることがあるとはいえ、防衛策の効果を持つ施策を株主総会決議なしに実行していいのかという疑念は残ります。それに対する答えは、投資計画や過大な有利子負債比率なのでしょうから、一般投資家としてはそれを監視していくしかないといえます。

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