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2005/10/02

当初2年間行使できないMSCB

これってどうよ?、という問いが知人からありました。

スキームとしては、グッドウィル・グループがMSCBで250億円調達しますが、そのCBの2年分(CBの期間は4年間)の転換権を行使する権利を実質的に折口会長のプライベートカンパニーである折口総研が保有していて、MSCBの引受先である大和ヨーロッパは行使できない状態になっています(折口総研はオプション料3億円を支払っています)。

まず、当初2年間分のオプション料が3億円ということですから、後半2年分のオプション料を併せて考えた場合、果たして本当に有利発行ではないのか、という疑念は生じます。2年間で3億円というと、元本250億円の1.2%(単利で年利に直すと0.6%に)相当します。後半2年間は価格修正条項もより柔軟ですし、時間的価値を考慮すると3億円以上のオプション価値がありそうです。仮に2倍の6億円だとしても、4年間で9億円というと250億円の3.6%(単利で年利に直すと0.9%)です。そうなると、グッドウィル・グループの社債発行コストと比較して必ずしも有利発行とはいえない、というロジックも成立するかとは思います。実際のところ、第3者から有利発行ではないという意見書を取っていますので、精緻な数理モデルでロジックを展開できる準備はしているのでしょう。

また、折口総研は自分が望んで、資金調達が可能であれば、グッドウィルグループに対する持ち株比率を高めることが可能です。敵対的買収防衛を意図しているかどうかは判りませんが、そのようにとらえることも可能です。行使後の折口会長グループの持ち株比率がどれ位になるのかの開示はありませんので判りませんが、敵対的買収者に対して自己の地位の保全策があることをアピールする効果は否定できません。たとえ、その為に折口会長側の巨額の資金調達が必要になることがあるとはいえ、防衛策の効果を持つ施策を株主総会決議なしに実行していいのかという疑念は残ります。それに対する答えは、投資計画や過大な有利子負債比率なのでしょうから、一般投資家としてはそれを監視していくしかないといえます。

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コメント

初めまして、こんにちは。突然ですが通りがかりの者で失礼しますm(_ _)m。
正直、今回のMSCBの真意が分からず、どういうことなのかと分からないで、検索していたらこのサイトに辿り着きました。
なるほど、よく分かりました!!ご丁寧な解説ありがとうございます。
ただしここ最近異常に株価の上値が押さえられていたようですが、それはどういうカラクリが予想されますか?あと今後の株価の動きとか、会社の経営とかに与える影響はどうなると考えられますか?浅薄な知識しかないのもで、もし何か御回答頂けるようであればお願いいたします。

投稿: たっきー | 2006/02/08 21:24

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