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2005年7月

2005/07/14

松下型防衛策の有効性を試験

12日付日経新聞夢真HD、日本技術開発にTOBを発表から。

建設現場施工管理の夢真ホールディングスは11日、建設コンサルティングの日本技術開発に対し、TOB(株式公開買い付け)を実施し、子会社化を目指すと発表した。約19億円を投じ、現在6.83%の出資比率を53.71%まで高める考えだ。 日本技開は8日、敵対的買収への対応方針を発表。同社株を大量に買い付ける投資家に、狙いなどについて情報提供などを要請する。

つまり、松下電器型の防衛策の有効性を試す事例が出現したということであります。報道では夢真HDは「TOB期間中の株式分割は認められない」と発言している模様ですから、日本技術開発が株式分割に踏み切った場合には差し止め請求が予想されます。個人的には、TOB期間中の株式分割は、例え企業価値を毀損するような買収提案への対抗策であっても認められるべきではない、そもそも日本のTOB制度の不備だとと思います。自由民主党が先日発表した「公正なM&Aの実現に向けて」においても、期間中の株式分割があった場合を考慮して、買付価格の下方修正や撤回が認められるべきだとしていましたよね。

従って、日本技術開発の対応としては、新株予約権の発行によるポイズンピルかなと思います。折しも、
敵対的買収者以外の株主にも税負担が生じないポイズンピルの仕組み
が経済産業省と国税庁から発表されていますので、それを使うってはいかがかと。

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2005/07/12

1000億円含み益実現?

7日付日経新聞ニューオータニ、1000億円含み益で攻勢から。

ホテルニューオータニ(東京・千代田)は本館の土地を時価評価し約1000億円の含み益を実現する。同時に同社は減損会計を適用、この含み益を原資に子会社の土地などの評価損を一気に処理する。首都圏への外資進出による競争激化にも備え、施設の改修やサービス拡充などで攻勢をかける。 ニューオータニ本館の土地(約1万坪)は簿価が39億円に対し、時価は1040億円。

ニューオータニは非上場ですが、有価証券報告書提出会社です。EDINETで5月30日付の臨時報告書を見ることができます。それによると9月1日付でオータニプラニングという子会社との合併するすることで、合併契約書を締結しています。存続会社がオータニプラニングという子会社ですので、三井住友銀行とわかしお銀行の合併と同様の手法で含み益を実現させることを狙ったのではないかという指摘がされています。

企業結合会計ではグループ内の合併の場合は時価評価にはならないので、財務会計上評価益の計上は問題です。企業結合会計の適用が2006年4月1日以降で、ルールがない状現状ではできなくはないともいえますが、導入が予定されている会計基準があるのにそれを無視するのもいかがなものかとは思います。

ところで、ニューオータニが有価証券報告書提出会社ではなかった場合に、今回のようなことが起こったのでしょうか。有価証券報告書を作成するので、連結財務諸表が作成され、連結ベースで減損会計を適用しなければならなくなった訳です。これが有価証券報告書提出会社でなければ、金融機関とのやり取りでは財務会計上の評価益などは織り込み済みの筈です。

あと、細かい点では、これで新ニューオータニは有価証券報告書未提出会社であるオータニプラニングの法人格を継承しますから、有価証券報告書の提出義務はなくなるのでしょうかが気になります。

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2005/07/07

株主総会開催場所

先日ある会社の社長さんとお話をする機会があった折りに、「本社を移転したいなぁ」という話題になりました。その会社の本社は関東ではありますが、東京都ではありません。ただし、管理部門等の本社機能はちゃんと本社内にあります。理由をお伺いすると、大きな営業拠点がある東京を登記上の本社にした方が営業上の見栄えが良い(管理部門は今の本社にいることで構わない)、そして株主総会を東京の営業拠点の大会議室でやりたい(今はホテルで開催しているのを経費節約できるし、総会後の懇親会で当社の商品を見る機会を設ければ株主数の増加も期待できるのではないか)、ということでした。

本店所在地は定款記載事項で、その会社は普通に3月決算ですから、何もなければ来年の定時総会での定款変更ということになります。しかし、来年の株主総会提案事項を決する取締役会までに会社法が施行されていれば、株主総会の場所だけは本店所在地にこだわらなくて良くなります。海外で開催できるかどうかは判りませんが(仮にできたとしても上場会社の場合は定足数を充足できないリスクがあります)、東京都に本店がない会社も東京都で開催可能です。

会社法施行時期が判ればお知らせする約束をしましたが、一体いつなのでしょうね。4月1日説から10月1日説まで乱れ飛んでいます。官報で政令をチェックするのも結構面倒ですしね(^^;)

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2005/07/06

有限会社

会社法はなんとか成立しましたので、この調子で行くと来年度前半(実際何月なんでしょうね)の施行に向けて動くことになりそうですね。

会社法はの目玉の1つが有限会社がなくなることです。なぜなくなるのかという理由付いて余り合理的な理由は聞かれず、「公開会社ではない株式会社があれば十分でしょう」で片付いています。残すと会社法の条文が2000条を超えるので、内閣法制局が「勘弁してくれ」と言ったという説が最も説得力があったります。

有限会社の法的な特徴は何かを考えるとヒントがあるのかもしれないっつーことで、私が思いつく有限会社のメリット。

1.最低資本金が少ない

株式会社は10百万円で有限会社は3百万円ですから、有限会社の方が作り易いといえます。ただし、会社法で最低資本金の規制がなくなるので、有限会社を廃止する理由にはならないですね。

2.決算公告が義務づけられていない

株式会社は商法上は定款で公告手段(日刊紙とか官報とか)の定めを設け、その方法で確定決算の内容を公告しなければなりません(WEBで決算公告をすることも可能です)。商法特例法上の小会社は要約貸借対照表のみでいいわけですが、それ以外は貸借対照表と損益計算書を、WEBで公告する場合には注記部分も含めて、公告する義務があります。実態としては、上場会社以外の決算公告はまず見かけませんが、法律ではそうなっています。法務省も決算公告をさせたいらしく、減資や企業再編等で債権者保護を行う場合には、直近の決算公告をした場所を明記するように商法施行規則に定めるなどしています。恐らくこの点は有限会社廃止のきっかけなのでしょう。ただし、会社法施行後も存続する既存の有限会社(特例有限会社)には決算公告の義務を免除しますので、一番の理由ではないでしょう。

3.大規模な会社になっても公認会計士による会計監査の義務ない

株式会社は資本金5億円、負債総額200億円を上回ると商法特例法上の大会社として、公認会計士による会計監査が義務づけられています。非上場の株式会社はそうならないように苦心している訳です。ところが商法特例法は株式会社に関する法律で、有限会社には適用されません。会社法の議論でも大規模有限会社の問題は提起されたようですが、結局特例有限会社でも会計監査人は規模にかかわらず不要という規定になっています。経過措置ですから、いずれはなくなるのかもしれませんが、経過措置がいつなくなるかという規定はありませんから、すぐになくしたかった訳ではなさそうです。

4.機関設計や利益配分が柔軟

現行商法では株式会社は取締役会3名以上で監査役も必要ですが、有限会社は取締役会1名ののみの設計も可能です。この点については会社法では公開会社ではない株式会社も採用できるようになりました。また、有限会社は利益配分についても各社員の出資口数に比例しない設計が可能ですが、これも会社法の公開会社ではない株式会社には認められています。種類株扱いですね。株式会社に認めると言うことはなくしたいものではないということになります。
機関設計では取締役の任期の定めが、株式会社は2年以内(委員会等設置会社は1年以内)ですが、有限会社法には規定がなく、無期限も許容されています。会社法では公開会社ではない株式会社については定款規定により10年超えない期間とすることができるようになりましたが、それでも無期限とまではいきませんでした。取締役の選・解任は登記事項ですから、定款も変更しない、取締役も任期が無期限だから変更がないということになると登記所のお仕事が減ってなってしまうのがいけないのでしょうか(笑)。実際には、休眠会社を排除する為だとは思いますが。特例有限会社法にも任期の規定が適用されないようですから、余り深刻な問題意識はないのかもしれません。

5.一口当たりの出資金の規定がある

株式にはすでに額面という概念がなくなっています。その結果、資本金=額面×株数という考え方が成立しなくなったわけですが、それが未だに理解ができないという人も少なくないようです。財産評価基本通達でも類似業種比準方式では額面50円に置き換える規定を残している位ですから無理もないかもしれません。それが有限会社には定款記載事項として一口当たりの出資金の考え方が残っています。整備法の有限会社の規定を見ていると、会社法施行後の特例有限会社の定款にある一口当たりの出資金尾記載は「ないもの」とされます。「インクの染み」と表現した方がいらしゃいますが、そういうものです。つまり、これが絶対に止めたかったことの少なくとも1つのようです。
一口当たりの出資金のあるなしは増資の際の資本金の決め方を左右します。額面があると増資の際の増加資本金は、増資の期間決定による増加口数に一口当たりの出資金をかけた金額になります。額面がない株式会社では発行価額の2分の1以上ということになっています。例えば、10億円の増資の場合、増加口数を何口にするかは会社側が決めますから、経済合理性があれば1口とする(増加資本金額は5万円)ことも可能ですし、2万口(増加資本金額は10億円)とすることも可能です。1口当たりの出資金額がなくなる会社法施行後は5億円以上を資本金にしなければなりません。増加金額の5万円と5億円で何が違うかと言えば、資本金を1億円以下の中小企業ではなくなってしまうこともありますし、登録免許税負担も変わります。登録免許税が法務省の収入かどうかは判りませんが、少なくとも国にとっての身入りが変わります。これが最大の動機とは考えたくはありませんが、実務上は会社法施行前後で大きくことなる点であることは間違いありません。

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