1000億円含み益実現?
7日付日経新聞ニューオータニ、1000億円含み益で攻勢から。
ホテルニューオータニ(東京・千代田)は本館の土地を時価評価し約1000億円の含み益を実現する。同時に同社は減損会計を適用、この含み益を原資に子会社の土地などの評価損を一気に処理する。首都圏への外資進出による競争激化にも備え、施設の改修やサービス拡充などで攻勢をかける。 ニューオータニ本館の土地(約1万坪)は簿価が39億円に対し、時価は1040億円。
ニューオータニは非上場ですが、有価証券報告書提出会社です。EDINETで5月30日付の臨時報告書を見ることができます。それによると9月1日付でオータニプラニングという子会社との合併するすることで、合併契約書を締結しています。存続会社がオータニプラニングという子会社ですので、三井住友銀行とわかしお銀行の合併と同様の手法で含み益を実現させることを狙ったのではないかという指摘がされています。
企業結合会計ではグループ内の合併の場合は時価評価にはならないので、財務会計上評価益の計上は問題です。企業結合会計の適用が2006年4月1日以降で、ルールがない状現状ではできなくはないともいえますが、導入が予定されている会計基準があるのにそれを無視するのもいかがなものかとは思います。
ところで、ニューオータニが有価証券報告書提出会社ではなかった場合に、今回のようなことが起こったのでしょうか。有価証券報告書を作成するので、連結財務諸表が作成され、連結ベースで減損会計を適用しなければならなくなった訳です。これが有価証券報告書提出会社でなければ、金融機関とのやり取りでは財務会計上の評価益などは織り込み済みの筈です。
あと、細かい点では、これで新ニューオータニは有価証券報告書未提出会社であるオータニプラニングの法人格を継承しますから、有価証券報告書の提出義務はなくなるのでしょうかが気になります。
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