プライベートバンキングは証券業務か
4日付日経新聞「三菱東京と米メリル、合弁証券」から。
三菱東京フィナンシャル・グループと米メリルリンチは3日、2005年度中にも合弁で日本に証券会社を設立する方向で最終調整に入った。メリルの持つ高度な商品開発力と三菱東京の厚い顧客基盤を融合させ、国内では例のない個人富裕層に的を絞った証券会社を立ち上げて、プライベートバンキング業務を本格展開する。新会社には日本法人であるメリルリンチ日本証券が抱える1兆円規模の金融資産を移管。両グループから総勢で150人が移り、個人富裕層の資産囲い込みを目指す。
MTFGの発想として、プライベートバンキング業務を「証券業」としているようです。MTFGはもともと東京三菱ウェルスマネジメント証券を持っています。同社はスイスに設立した証券会社の日本法人という位置付けです。東京三菱銀行の中に持つのではなく、わざわざ別法人、それも証券会社にしているのは、富裕層のニーズに応えるのに銀行では対応できないからだというのが当初の説明だったかと記憶しています。そして、今回のメリルリンチと合弁で証券会社を立ち上げて、そこに既存の業務を移管する方式です。
富裕層向けのサービスというと、まずは資産運用業務があります。運用対象に有価証券を組み込むには証券会社が一番といえば一番です。投資一任勘定も可能です。しかし、資産管理という側面で考えると、信託という器が良いのではないでしょうか。銀行が販売できない有価証券も指定金銭信託経由で投資できるはずですし、既存の信託銀行は直接不動産仲介ができますので、扱える資産の範囲が証券会社よりは広いのではないでしょうか。更に、遺言信託を受ければ、資産の全容を把握して、当該顧客を囲い込むこともできます。三菱信託銀行(将来はUFJ信託と統合されるので更に協力)という有数の信託銀行があるMTFGの選択肢として、わざわざ証券会社を選択するのは不思議に思えます。
この観点からは、FG傘下に有力信託銀行を持たないSMFGはプライベートバンキング業務という点では厳しくみえます。自前で信託業務を手がける方針でやっているようですから、それでどこまでできるものなのか興味深いです。
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