走れ!レッドアロー号
村上ファンドの西武鉄道買収提案は、色々なBlogでも取り上げられているようで、拙文にもトラックバックを頂いております。ファイナンス関連で実績のあるまたは興味のある方がblogをお始めになられるケースが増えたことを反映しており、勉強になるばかりです。
村上ファンドの提案に対する分析は、以下のBLOGをご覧頂ければ、尽くされていると思います。
grandeさん「西武鉄道の完全買収案の意味を考えてみる」
小林雅さん「西武とコクド」「西武鉄道とコクド(続)」
diwaseさん「鉄道会社買収の皮算用」
47thさん「西武鉄道株TOB提案の謎」「西武鉄道株TOB次の一手~本当の狙いは?」
はぐれバンカーさん「勝算なきTOB?」
西武鉄道グループの再編はみずほコーポレート銀行主導で進められていくのでしょうが、西武鉄道グループを悪くする方向にいかないことを願うのみです。
もう1点だけ付け加えるとすると、西武鉄道株式を保有する個人株主の税務というマイナーな論点があります。個人の証券税制は磯崎哲也さんいわく「ディープ」な世界であり、また今回の西武鉄道グループの再編に関連しては余りにマイナーなのですが、一応ということで。
現在、西武鉄道株式は非上場株式です。従って、村上ファンドが仮にコクドと取引銀行を説得して公開買付をすることになったとした場合、応じる西武鉄道株主(個人)には非上場株式の譲渡損益が生じます。
譲渡益が生じる場合は、税率20%の申告分離課税です。上場株式であれば10%(平成19年12月末までの時限措置)ですから、仮に新生西武鉄道が上場して、村上ファンドが提案する株価(1000円/株)以上で取引されると思えば、上場まで待つ方が得です。
譲渡損が生じる場合、上場株式の場合は譲渡損の繰越制度がありますが、非上場株式にはありません。つまり、今年の非上場株式の譲渡損は、今年の株式譲渡益と通算できるだけですが、今年の上場株式の譲渡損は来年以降3年間は繰り越して、各年度の株式譲渡益と通算できます。そうであれば、上場まで待つ方が得であります。
実際には、こういうことを考えている西武鉄道株主(個人)って...いないんでしょうねぇ(汗)
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