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2005/02/10

日本のパススルー税制

Bewaad Instituteさんの「続々・バカには正しくバカと言おう」から。

LPSやLLCその他これらに類似する組織体は、基本的に法人税法上の「人格のない社団等」として法人課税対象となるようです。ただし、根拠法によってはその定義に該当しない組織体もあり得ますが、それらは法人課税を免れます。

今回の外国投資家に関する税制改正に関するblogを読んでいたら、磯崎哲也さんのblogがコメントされており、そこからこちらに行き着いたのですが、なんとinfoseek時代のポストにリンクを貼って頂いているのでびっくりいたしました。infoseekの方は、PCをいじるまとまった時間がない為、トップページが酷いことになっていますので、何か対応します。

今回の外国投資家に対する税制改正については、「ファンドが20%の利回りを上げるのは至難なのに、20%源泉徴収とは理解できない」という発言がどこかにあったのをみて、完全に興味を失いました。利回りが下がるということは、GPの取り分への影響が大きいですから、ファンドを組成するGPが一番困るんだ、という思い込みというかやっかみがあることも原因かもしれません。

そもそも、米国のパートナーシップ税制においても、パートナーシップが米国であげた収益の米国非居住者宛配分額については、パートナーシップが源泉徴収する規定になっている筈です。加えていえば、日米租税条約により、日本の居住者については、源泉徴収されないことになっています。これは、今回の税制改正についてもしかりで、組合員が米国居住者である場合は、組合は源泉徴収しません。組合員がバミューダとかバージン諸島とかケイマンの居住者だったりすると源泉徴収されます。オランダについては日蘭租税条約が今後改正されれば、そちらによることになるでしょう。これはトリーティーショッピングに悩む各国の徴税当局に共通するスタンスだというのが私の認識であり、日本だけが突出しているようには思いません、という事情もあります。

前置きはさておき、日本の非居住者である組合員が日本国内であげた収益に対して法人課税をかけているということと、その組合員が居住国においてパススルーエンティティであることとは別のことです。まずその点は明確にしなければなりません。

次に、日本におけるパススルー税制に関する最近の動きについて整理したいと思います。

日本で法人税がかからない組織は、Bewaad Instituteさんがまさにひいておられる法人税法基本通達にあるように、商法上の匿名組合と民法上の任意組合が代表です。ほかにも公共団体や公益法人(これが人格のない社団等の典型であります)の非営利事業とかSPC法によるSPCもあります。LLCやLPSがそれに該当するのでしょうか。

Bewaad Instituteさんがひいておられる通り、LLCについては徴税当局は「法人」であるという立場です。 会社法現代化で導入される日本版LLC「合同会社」も、「会社」である以上は「法人」課税、という徴税当局の姿勢を崩すことはできていないようです。かわって取り入れられるのが、日本版LLPである有限責任組合です。

そして、今回の税制改正では、匿名組合と任意組合に関する税制も変更されます。事業に積極的に参画していない組合員については、法人組合員の場合は出資額を超える分(利回り保証がある場合はまったく)、個人組合員の場合はまったく、損失のパススルーは認められない、という規定になります。これは事業に参画していない組合員は、あたかも金融商品に投資しているようなものだという徴税当局の思いを反映したものです。税制改正大綱では、「同様の組織」についての言及もありますので、居住者が海外のLLPの組合員である場合にも適用されます。現在準備中の有限責任組合法では、組合員の事業参画を判断する要件が定められ、その要件に該当した場合のみ、損益ともにパススルーになるような制度設計で、経済産業省と徴税当局の合意がなされたようです。

このような税務上の扱いから考えるに、LPSやLLPがパススルーエンティティであることは、日本の徴税当局もある程度認めていくのではないかと思われます。従って、日本の徴税当局がパススルーを認めていないというのはいいすぎではないかと思います。

もちろん、配賦損失の他の所得との通算が極めて限定されたり、配賦収益を配当所得だと言ってみたり(個人については、今回の税制改正で不動産所得に落ち着くことを期待しますが)と、まだまだ徴税当局との溝や深いことも事実だと思います。なにせ合同会社について、頑としてパススルーを認めなかったようですから。

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