源泉徴収には携わりたくない
磯崎哲也事務所さん「大丈夫?パススルー対応(後編)」から。別にパススルーエンティティに投資するお金はない(そんな金があったら子供用に安定運用しないとカミさんにしばかれます(笑))わけですが、やっぱり興味あります。
「あー、なるほど。配当を受け取った個人の方が確定申告していただくと、(総合課税になって)税率が(3%から最大13%に)上がっちゃいますからねー。」
こういう仕組みだと、確定申告を前提にしたファンドによる代理納税という制度は使えませんね。確定申告して配当控除を使った方が有利な場合もある、なんていう説明をしている解説書もあるそうですが、パススルーエンティティに投資するようなお金がある方は、源泉徴収の方が税率有利になるでしょうから。
「ファンドの側は、払うべきものは払う気はあるわけですが、信託銀行(上場会社側)がやってくれないということで、後でファンドや投資家が責められても困るので確認ですけど、法律上、『源泉徴収する義務者はあくまで上場会社ということであって、個人投資家が総合課税の高い税率で納税する義務はない』という理解でいいですか?」
「はい。あくまで上場会社側の義務です。もし、ファンドの最終的な投資家の方がどの会社の株式を何株づつ保有しているというリストを出していただければ、こちらが、上場会社さん側に聞いてみますので。」
上場会社の源泉徴収漏れを「チクる」ことになる訳です。徴税側としては、徴税事務が面倒だから源泉徴収という制度を利用しているのだから、源泉徴収義務者はしっかりと源泉徴収しなさい、という発想になるのでしょう。仮に源泉徴収漏れがあると、源泉徴収側が処罰されると思いますので、個人がパススルーエンティティ経由で上場企業の株式を保有するようになる、もしくはその可能性が増すと、総務部の方々にとっては大変な時代ですね。
実質株主を上場企業側が把握できることが前提の制度な訳ですが、株主が全世界に散らばっている可能性がある状況では、確認作業のコストも馬鹿にはなりませんよね。投資ファンドが投資先の上場会社に代わって源泉徴収する仕組みにでもしないと無理かもしれません。それでも、日本の税制に縛られない外国籍の投資ファンドに実は日本国居住者が出資している場合(投資信託でそういうケースはあると思いますが)では、やっぱり地方税分の源泉徴収が難しくなりますね。いっそ、源泉徴収は国税のみにするとかしないと、この問題解決しないのかもしれません。
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