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2005年1月

2005/01/31

銀行主導の再建

29日付日経新聞によれば、西武グループの経営改革案が経営改革委員会の中間報告という形になりました。グループ再編スキームを決めるにあたって最も考慮されたのは、みずほコーポレート銀行を中心とする主力行の事情だったとの解説が3面に掲載されています。

諸井委員長は一時、持ち株会社参加に西武鉄道とコクドをぶら下げる暗に傾いたが、みずほは「コクド向け融資が不良債権になる可能性がある」と反発。優良会社である西武鉄道と合併する暗に事務局を通じて誘導していった。

銀行主導の再建というと、「失われた10年」に問題の先送りを繰り返した構図が頭をよぎってしまいます。ダイエー、カネボウ、熊谷組、双日、大京...。

今回の経営改革案では問題となっているリゾート事業からの一部撤退も含まれていますが、継続困難な事業が本当に残っていないのかという不安は残ります。経営改革委員会の諸井委員長は、記者会見で「自治体にとっては重要な施設となっているケースもある。簡単にはやめたくない。」と発言しており、経済合理性以外の判断が入っていることを伺わせます。

また、収益力についても目標を掲げていますが、経常利益を現在の5倍以上にするという挑戦的なものです。有利子負債の削減等もうたわれていますが、運輸省OBの会長と銀行OBの社長でそのような経営ができるのかは疑問符が残ります。最終報告では具体策も含まれるのでしょうか。

西武グループは鉄道事業という公共性の高い事業を手がけています。鉄道事業の継続が困難になった場合の影響は、地方銀行並といっても過言ではないといえます。病巣は早めに全摘した方が痛みは少ない、という教訓を活かしているかどうか、説明がなされるべきではないでしょうか。

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2005/01/28

経営者による不正

Accounting Web「AICPA Addresses Fraud in Audit Committee Guidance」から。

経営者は Sarbanes Oxley 法によりきちんと働く内部統制システムを作らなければなりません。しかし、内部統制システムを作りこんでも、当の経営者がそれを破ってしまったから意味がありません。エンロン事件にしても、元経営者が被告として裁かれていますから、経営者側にも不正を働く可能性を考えなければなりません。Sarbanes Oxley 法では宣誓書を義務付けていますが、それだけで十分とはいえません。

記事ではAICPAが監査委員会メンバーが経営者による不正を発見するべきかに対するガイドラインを策定したことを伝えています。記事によればポイントは6つです。

1. Maintaining skepticism.(懐疑的な姿勢を堅持する)
2. Strengthening committee understanding of the business.(メンバーが会社のビジネスへの理解を深める)
3. Brainstorming to identify fraud risks. (どこにリスクがあるかについてブレーンストーミングをする)

この3つは会計監査人による監査でも必要とされている一般的な事項です。

4. Using the code of conduct to assess financial reporting culture. The audit committee can use the code of conduct as a benchmark to assess whether the “tone at the top” and management’s actions will preserve the highest levels of integrity even when there is the pressure and opportunity to commit fraud.

財務諸表作成に関する行為規範のようなものを監査委員会メンバーが作成して、どのような行為が注視されるのかを明確にする。行為規範は社内規則ですから、外部の人間である会計監査人ではなく、会社の一員である監査委員会が作成することになります。当然、両者は協力することになるでしょうが。

5. Ensuring the entity cultivates a vigorous whistleblower program. The audit committee can help create strong antifraud controls by encouraging a culture in which employees view whistleblowing as valuable contribution to both the workplace and their own futures. Successful whistleblowing procedures require strong leadership not only from the audit committee, but also the board of directors and management.

"whistleblower"は「内部告発者」という日本語が当てられているようです。内部告発を会社に貢献する行為であるとして奨励するような制度があれば、不正防止制度としては有効です。その為には、監査委員会だけではなく、取締役会・経営陣のリーダーシップが必要だとされています。一昨年の Time 誌の man/woman of the year はエンロン事件発覚のきっかけとなった内部告発者だったと記憶しています。

6. Developing a broad information and feedback network. The audit committee should cultivate a network that extends beyond senior management. Such a network may include internal auditors, independent auditors, the compensation committee and key employees. The audit committee may consider meeting periodically with representatives from each of these groups to discuss matters affecting the financial reporting process. Inconsistencies in information obtained from these sources may indicate management override of internal controls.

監査委員会メンバーが情報源、それも幹部社員以外の情報源を持っていないといけないようです。それは社内にも社外(会計監査人を含む)にも求めないといけないと。監査委員会メンバーは社外取締役ですから、広い視野から会社で何が起こっているかを把握しておくべきなのでしょう。

社内を把握している経営陣を有効に監督するのは、社外取締役中心の監査委員会や取締役会にはなかなか難しい仕事です。上述の6つのポイントができれば苦労はない訳ですが、その仕事に就任した以上は、職責を全うしなければなりません。そうでないと、株主代表訴訟の対象になってしまいます。取締役になるのは大変なことです。

日本の会社には、監査委員会がある会社と監査役がある会社があります。監査委員会の仕事は監査役が担う筈ですので、監査役にも参考になる文章です。日本監査役協会なる組織があるようですから、こちらで日本語訳をするのでしょうか。

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東証が6社に改善報告書提出を求める

28日付日経新聞「改善報告書の提出を求める 東証、6社に」(nikkei.netには掲載されていないようです)から。

「東京証券取引所は27日、先月の金融庁による有価証券報告書の一斉点検を受けて訂正報告書を出した巴コーポレーション、昭和化学工業、新神戸電機、いなげや、丸運、藤田観光の6社に訂正の経緯と改善措置を記した改善報告書の提出を求めた。」

東証のプレスリリースはこちらです。

「昭和化、丸運は上場廃止基準に、巴、いなげや、藤田観は一部上場基準に抵触していた。新神戸は上場廃止基準などには抵触していなかったが、直近の決算期でも株主の水増し数が百人と多かった。
今回の改善報告書は東証に提出する「株式の分布状況表」が適切でなかったことが理由で、適時開示に問題がある企業に東証が求める改善報告書とは異なる。」

西武鉄道問題で上場廃止処分を出したことから、今回の処分もそれに相当するものかと思われないようにとの配慮から、わざわざ入れた一文と推測されます。しかしながら、上場廃止基準や1部基準に抵触しているという事実は大きいです。西武鉄道も上場廃止基準に抵触していることを隠蔽していたことが、今回の騒動のきっかけでしたから。

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2005/01/26

山一證券

Nikkei.Net「山一証券が最後の債権者集会」から。

2600億円を超す簿外債務が原因で1997年に経営破たんし、99年6月に東京地裁から破産宣告を受けた山一証券は、26日午前、同地裁で最後の債権者集会を開いた。破産管財人が収支計算を報告したのち、同地裁が破産手続きの終結を決定した。

昨年末からちらほら見かけていた話題ですが、破産手続の終結決定というのは1つの区切りですね。97年後半は怒涛の年でした。三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券、その後は長銀、日債銀が国有化されるところまで続きました。大手銀行の経営統合の契機にもなりました。

特に、大手証券の一角であった山一の経営破たんの影響は大きく、優秀な人材が大量に人材市場に流入し、金融業界の人材の流動性が高まったのでした。銀行窓口で投資信託を販売しているのが、元証券会社の方という事態も耳にしますし、金融業界から事業会社へ移った方の話も聞きます。

現在の金融は、色々な不満はありますが、「護送船団」時代よりは活性化されている思いますが、その契機となったのが、1997年後半の金融危機だったといえるでしょう。もちろん、職を失うことになった方々の中には、辛酸をなめた方もいらっしゃったとは思いますので、できればこういうことは起こらない方が良いなとは思います。

日銀による山一向け特別融資の回収不能額は約1111億円で、国民負担額が確定した。

山一の経営陣(場合によっては、過去の金融行政当局も含まれるのかもしれませんが)の経営判断ミスの累積が、このようなばかにならない金額になった訳です。監督される側にも監督する側にもそれぞれ言い分はあるでしょうが、大手金融機関は一般的な私企業とは違って、立法や行政によるなんらかのチェックが必要だと改めて痛感しました。

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2005/01/25

会社分割か株式移転か

25日付日経新聞「オークマ、グループ2社と経営統合・経営基盤強化」から。

工作機械大手のオークマは24日、10月1日付で持ち株会社に移行し、グループ会社で東証一部の大隈豊和機械、名証上場の大隈エンジニアリングの2社と経営統合すると発表した。今年の工作機械市場は減速が見込まれており、グループの開発や生産、販売力を結集して経営基盤を強化する。新たに発足する持ち株会社の社長には柏淳郎オークマ社長が就任する。

会社側のプレスリリースはこちらです(pdfファイルです)。それによりますと、旧オークマ(オークマホールディングスに社名変更)から事業部門が分社型分割により新会社(オークマホールディングの100%の子会社)になり、オークマホールディングが大隈豊和機械と大隈エンジニアリングを株式交換により100%子会社化する、というステップが予定されています。トステムが会社分割で事業部門を分社化し、純粋持株会社がINAXを株式交換により100%子会社化したのと同じ手法です。

同じ結果をもたらす再編手法としては、3社が株式移転により完全親会社オークマホールディングスを新設する方法も考えられます。日本興業銀行、第一勧業銀行、富士銀行の3行がみずほホールディングを設立したのと同じ手法です。

この違いは、今回オークマがとった手法では、純粋持株会社が旧オークマの法人格を継承するのに対し、株式移転方式では、純粋持株会社は新設で、旧オークマの法人格を継承するのは、事業子会社であるオークマであるという点です。些細な違いに見えるかもしれませんが、その後の純粋持株会社体制の運営に影響が出ます。

オークマ方式では、旧オークマが持つ(もしあればですが)知的財産権や剰余金は、オークマホールディングスが継承します。従って、オークマホールディングス単体の収入基盤として知的財産権のライセンス収入や純粋持株会社になった直後の配当可能原資も確保できます。

株式移転方式では、新設されるオークマホールディングスの資本の部は資本と資本準備金ですから、配当可能原資はありません。設立第1期目の決算が出てからでないと、資本準備金の取り崩しはできないでしょうから、もともと無配の予定でもない限りは、配当可能原資を捻り出す工夫が必要です。子会社の定款変更をして、中間配当日を変えた例もあったようです。会社法現代化が施行されると、随時配当のような行為が可能になる時代ですから、問題はなくなるのかもしれませんが、子会社の利益蓄積が減少することは問題かしれません。

また、株式移転方式により設立されたオークマホールディングスの収入源は、何もしなければ子会社からの配当金のみです。株式移転により発生した完全親子会社関係では、100%子会社からの配当金は最初から全額益金不算入ですから、オークマホールディングスは税務上赤字の会社になってしまいます。

株式移転方式にメリットがないかといえば、そうではありません。事業会社の事業継続に必要な許認可がある場合、事業会社が現在営業中の会社の法人格を継承することが必須条件になります。その場合は、株式移転で完全親会社を設立しないといけません。

結局は、個別事情により最適な経営統合方式を選択しなければ、後で苦しみます、ということです。

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足利銀行の会計監査人が戒告処分

25日付日経新聞「金融庁、中央青山を戒告処分へ・足銀監査で内部管理不備」から。

「金融庁は24日、中央青山監査法人に対し、一時国有化された足利銀行の経営破たんに至るまでの監査で、内部管理体制に不備があったとして公認会計士法に基づき戒告処分とする方針を固めた。監査結果を通知する前に内容を第三者が的確に審査していなかったほか、監査過程などを記録する法定資料の作成を怠っていたという。」

アンダーセン崩壊の過程では相当な混乱が生じた訳ですから、寡占状態になっている大手監査法人に対する厳しい処分は、影響力を考えると、そう簡単にはできないのが実情でしょう。また、監査実務にあたる公認会計士の方々とてプロフェッショナルですから、簡単な手法で実質債務超過を隠していたのであれば、発見できていた筈ですので、「重大な見過ごし」や「虚偽の判断」があるとは思えません。そういう意味でもアンダーセンとエンロンは例外的だったのだと思います(個人的にそう思いたい面があることも否定しません)。

しかしながら、投資家としては、投資家の立場に立った会計監査に期待するところは大きいのも事実であります。会計監査人とて万能ではありませんから、結果責任をすべて負わされるのではなり手がなくなってしまいますが、複雑化する企業活動をしっかりと監査できる能力を開発する努力を怠ってはいけません。監査論でいう「期待ギャップ(expectation gap)」をどのように埋めるかという、極めて根本的な問題でもあります。

金融庁は昨年から中央青山を調査。その結果、担当会計士が虚偽の判断をしたことは認められなかったものの、本部が監査結果を十分に再点検していなかったなど業務を進める上で社内の管理体制に問題点が多く見つかった。
中央青山は戒告処分により、内部審査の徹底など業務の改善を求められる。金融庁は足利銀行についてこれまで「銀行の判断で破たんの申し出があった」と説明、監査法人の判断には言及していない。

足利銀行は地元企業への増資要請に、中央青山監査法人の適正意見のついた財務諸表を使っていた訳ですから、結果的に投資家の期待を裏切った監査となったことに対する反省をしてもらわなければなりません。法人内の審査体制を改善することも必要ですが、個々の会計士の監査能力向上に向けた取り組み姿勢も示していくことを求めたいと思います。

中央青山以外の監査法人に同様のことが求められます。

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2005/01/24

西武鉄道株を戻さない企業

22日付日経新聞「コクド、西武株買い戻し64社と合意」から。

西武グループ経営改革委員会は21日、有価証券報告書の過少記載を公表する前にコクドが西武株を売却した問題に関連し、20日までにコクドが売却先72社のうち64社と売買契約の解除について合意したと発表した。金額ベースでは650億円のうち、530億円の返却となる。

この記事の時点で8社売買契約の解除について合意していない企業があるという訳です。これらの企業は解除しないで良いという判断なのか、契約解除交渉がまとまっていないのか、どちらかだと思われます。

仮に売買契約を解除しないという判断をした上場企業があった場合、会計処理はどうなるのか、株主にどう説明するのか、などの興味深いテーマが出てきます。

会計処理ですが、現在は非上場株式である西武鉄道株式をいくらで計上するか、という問題があります。非上場会社の場合には、会社内容が大きく悪くなっていない限りは、取得価額で計上しているケースが多いと思います。西武鉄道の場合、会社の事業内容には大きな変更はないでしょうが、取得時の株価は上場廃止時の株価を大きく上回っている点をどのように考えるべきかも興味深いテーマです。上場廃止時の株価で評価するとなると、評価損が発生します。評価下落率は大きいですから、減損対象になるかどうかの判断も必要になります。減損するとなると、特別損失を計上して、当期利益の減少要因です。

株主としては、問題含みの取引で、しかも同時期に同じ方法で取得した会社の大半が売買契約を解除したにもかかわらず、解除しなかった理由の説明を求めるのは当然でしょう。株式持合いをしたからといって、西武鉄道がメリットを提供できるか、といえば、透明性や合理性を重視した当たり前の経営へと舵を切った西武鉄道の現在の経営環境では難しいと思われます。仮に、西武鉄道がジャスダック市場に上場して、取得価額を上回る株価となる可能性があるといったところで、それは当該企業のビジネスが非上場株式投資でもない限りは正当な説明とはいえないと思います。

そう考えると、売買契約を解除しない手はないと思うのですが、いかがでしょうか。

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1月29日付日経新聞によると、全72社と契約解除で合意したようですね。当然といえば当然の結果ですが。一方で、1月31日付朝日新聞によりますと「西武鉄道個人株主ら210人、2月1日に経営陣提訴」だそうです。こちらは株価下落リスクへの経営責任を問うというインパクトが大きい訴訟となりますので、原告弁護団のお手並み拝見です。(1月31日追記)

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2005/01/21

源泉徴収には携わりたくない

磯崎哲也事務所さん「大丈夫?パススルー対応(後編)」から。別にパススルーエンティティに投資するお金はない(そんな金があったら子供用に安定運用しないとカミさんにしばかれます(笑))わけですが、やっぱり興味あります。

「あー、なるほど。配当を受け取った個人の方が確定申告していただくと、(総合課税になって)税率が(3%から最大13%に)上がっちゃいますからねー。」

こういう仕組みだと、確定申告を前提にしたファンドによる代理納税という制度は使えませんね。確定申告して配当控除を使った方が有利な場合もある、なんていう説明をしている解説書もあるそうですが、パススルーエンティティに投資するようなお金がある方は、源泉徴収の方が税率有利になるでしょうから。

「ファンドの側は、払うべきものは払う気はあるわけですが、信託銀行(上場会社側)がやってくれないということで、後でファンドや投資家が責められても困るので確認ですけど、法律上、『源泉徴収する義務者はあくまで上場会社ということであって、個人投資家が総合課税の高い税率で納税する義務はない』という理解でいいですか?」
「はい。あくまで上場会社側の義務です。もし、ファンドの最終的な投資家の方がどの会社の株式を何株づつ保有しているというリストを出していただければ、こちらが、上場会社さん側に聞いてみますので。」

上場会社の源泉徴収漏れを「チクる」ことになる訳です。徴税側としては、徴税事務が面倒だから源泉徴収という制度を利用しているのだから、源泉徴収義務者はしっかりと源泉徴収しなさい、という発想になるのでしょう。仮に源泉徴収漏れがあると、源泉徴収側が処罰されると思いますので、個人がパススルーエンティティ経由で上場企業の株式を保有するようになる、もしくはその可能性が増すと、総務部の方々にとっては大変な時代ですね。

実質株主を上場企業側が把握できることが前提の制度な訳ですが、株主が全世界に散らばっている可能性がある状況では、確認作業のコストも馬鹿にはなりませんよね。投資ファンドが投資先の上場会社に代わって源泉徴収する仕組みにでもしないと無理かもしれません。それでも、日本の税制に縛られない外国籍の投資ファンドに実は日本国居住者が出資している場合(投資信託でそういうケースはあると思いますが)では、やっぱり地方税分の源泉徴収が難しくなりますね。いっそ、源泉徴収は国税のみにするとかしないと、この問題解決しないのかもしれません。

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2005/01/20

東証の「親会社等」の上場開示ルールについて補足

ヘラクレスの上場基準に関するポストに対して、Tomさんからコメントを頂戴しました。

マスダ社はあくまで財産保全会社であり、さらにベンチャー企業投資を業としてるから、開示対象から外れるという扱いではないのでしょうか? 東証では財産保全会社や投資育成を目的とするファンドには、開示を要求していませんよね?

私の理解では、東証は財産保全会社であっても、「親会社等」に該当する限り、開示対象にしています。それは親会社等が特殊会社(石油公団とか)であろうが、原則同じとだと理解しています(例外については後述)。以下、東証の規則に関する私見を述べますが、上場審査は申請を受けた市場(および市場によっては主幹事証券会社)が行うものであり、判断については個別に当該関係者にご確認頂かなければならない旨申し添えます。ましてや、私はマスダアンドパートナーズの開示を避けるためにデジタルスケープがヘラクレスに上場したということを主張している訳では全くないことを明記しておきます。

「マザーズ上場の手引き」の32ページ以降に子会社上場に関する記述があります。そこには、親会社等が株式会社である場合、特殊法人である場合、投資ファンドである場合について、それぞれ開示すべき情報の内容が説明されています。特殊法人や投資ファンドも原則株式会社と同様である旨も明記されています。ちなみに、こう変わったのは、平成15年6月のルール改正以降だと思います。

財産保全会社については、34ページの(注3)に、

「ただし、親会社等が申請会社の役員等の資産を管理すること目的とする会社(いわゆる財産保全会社)であると認められる場合は、公認会計士又は監査法人による監査については、最近1年間のみとすることができます。」

とあります。財産保全会社に関しても、「親会社等」である以上は開示対象ではあるが、公認会計士又は監査法人による監査については、上場前1年間のみで良いよ、と読めます。私の理解では、それ以外の読み方はできないと思います。

「親会社等」に該当するかどうかの判断は、連結基準を準用していますので、会計監査人である公認会計士の判断が尊重されることが実務上多いと聞きます。

「親会社等」に該当しない会社の例は、日本公認会計士協会監査委員会が発表している「連結財務諸表における子会社等の範囲の決定に関するQ&A」Q10(2)に記載されています。そこにあるのは、「実体のないいわば役員Xの(役員X及びその配偶者等が議決権を所有している場合を含む。)の個人的な持株会社であるような場合」です。私の理解では、当該上場申請会社の株式保有以外の事業実体を有していない会社である場合のみが、「親会社等」ではないと判断されるということです。

財産保全会社には、不動産賃貸業を営む会社(なかには上場会社の本社ビルを保有して、賃貸借関係がある場合もあるようです)もあります。上記Q&Aによれば、その場合には、「親会社等」に該当し、その結果東証は開示を求めてくることになると思います。

「親会社等」に該当するにもかかわらず、開示を求めない例外は、上場会社が「親会社等」の内容を把握できないケースです。例えば、海外の投資ファンドに50%超保有された場合で、上場会社が要求しても財務内容等の開示に応じない場合でしょう。

東証マザーズ限定の開示の例外は、「手引き」36ページにあるとおり、

「親会社等による株式の所有が投資育成を目的としたものであり、申請会社の事業活動を実質的に支配することを目的とするものではないことが明らかな場合は、例外として認めています。
例えば、親会社等が申請会社の投資育成を目的としたベンチャーキャピタルであり、特に申請会社との取引関係がない場合などは、この例外に当たるケースと思われます。また、出資が投資育成目的であり、明らかに申請会社を支配することを目的としたものではないことが確認された場合には、例外として認めることができるケースと考えられます。」

Tomさんご指摘の投資育成ファンドの例外はこれですね。「東証1・2部上場の手引」に同様の記述がないことから、これはマザーズ限定の例外で、東証1・2部にはないという理解です。

役員の財産保全会社である場合には、役員による企業支配目的があることは明らかですから、この例外には該当しないでしょう。投資ファンドにしても、過半数近くの株式を保有している場合には、単なる投資育成目的とはいいづらいものを感じます。従来の日本のベンチャーキャピタルは数%の出資比率が多いですから、そもそも親会社等には該当しないできたものと思いますが、企業再生ファンドのようなPEファンドはベンチャーキャピタルとは一緒にできないと思います。また、投資先同士のアライアンス(取引関係)を促進するような投資ファンドも、投資育成目的のみとはいい難いのではないでしょうか。

従って、東証の情報開示ルールに従う限り、財産保全会社や投資ファンドであっても、「親会社等」に該当する場合には、情報開示対象であると私は考えます。至らぬ点があれば、ご指摘頂ければ幸甚です。

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2005/01/18

西武グループの構造(2)

17日付日経新聞「コクド分割、西武と合併・グループ再編で改革委検討」から。

西武グループ経営改革委員会(委員長・諸井虔太平洋セメント相談役)が1月末にまとめるグループ再編案が明らかになった。中核会社コクドを資産管理に特化する「旧コクド」と不良資産を持たない事業会社「新コクド」に企業分割し、新コクドを西武鉄道と合併。合併会社はみずほコーポレート銀行などに出資を求める1000億円とは別に、投資ファンドに1000億円規模の資本支援を要請する。銀行団やファンドが合併会社の発行済み株式の6―7割を保有、コクド前会長である堤義明氏(70)の影響力を完全に排除する

以前報道された持株会社構想は消えたようです。今回のスキームは以下の4STEPになると思われます。

STEP1:コクドを堤家の資産管理会社とリゾート事業会社に会社分割
STEP2:リゾート事業会社と西武鉄道が合併(新西武鉄道)
STEP3:新西武鉄道が投資ファンド等に第3者割当増資
STEP4:新西武鉄道がJASDAQ市場上場

このスキームが税制適格でできるのでしょうか。非適格でも損失が出るので良いということかもしれませんが、適格でできないものでしょうか。ネックとなるのは、コクドの株主数が50名未満であると想定されることでしょうか。そうなると、STEP4の新西武鉄道のJASDAQ上場が予定されている時点で継続保有要件が切れてしまいます。仮にコクドも西武鉄道も株主数が50名以上で継続保有要件が不要となると、以外に共同事業要件が充足され、税制適格の事業再編となるかもしれません。

西武鉄道グループは西武鉄道やコクドを傘下に置く持ち株会社制への移行や西武とコクドの合併など様々な再編案を検討してきた。株式保有を通じ約100社ものグループ会社を束ね、発行済み株式数の36%以上を実質的に保有する堤氏が筆頭株主となっているコクドの改革が焦点だった。

堤氏の持ち株比率を下げたいという時点で税制適格再編は選択できないという見方もなくはないでしょう。あくまで頭の体操ということで。

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銀行によるデフォルト宣言

15日付日経新聞「UFJ銀、ペイントハウスに債務不履行通告」から。

住宅リフォームのペイントハウスは14日、主取引行のUFJ銀行からデフォルト(債務不履行)状態を通告されたと発表した。借入金と保証債務の元金の合計71億2700万円と、同行が社債管理会社を務める転換社債130億円が対象。ペイントハウスとUFJ銀行は債務減免交渉をしていたが、交渉が決裂したことが背景にある。

前に自社株信託による寄付の件(こちらこちら)で取り上げた会社ですが、デフォルト宣言されたままでは上場廃止となってしまいます。

主力銀行がデフォルトを宣言するというのは最近は余りなかったことと記憶しています。業績不振となる原因の一端となったM&A案件を紹介するなど、親密であった場合には、なおさらでしょう。しかし、MTFGから資本注入を受けたUFJ銀行は不良債権処理に邁進していますので、ここらでケリをつけたかったのかもしれません。会社側は抵抗するようですから、決着は見守る必要があります。

税務的にみると、いくつか興味のある論点があります。

星野氏から自社株信託を受託した香港の投資会社はどうでるのでしょうか。普通の有価証券処分信託は、処分できなかった有価証券は委託者に現物が返還されますが、今回の信託契約ではどうだったのでしょうか。受益者に渡る可能性もありますよね。

その場合、星野前社長はいつペイントハウスに自社株を寄付したことになるでしょう?それによっては、譲渡益課税の額が変わる可能性があります。また、ペイントハウスとしてはいくらの寄付をうけた(寄付時点の株式の時価で算定するわけです)と認識するのかも変わります。

香港の投資家がすでに持ってしまった株があれば、このまま上場廃止になると、その投資会社は投資回収時期がかなり後ろ倒しになることになります。その分のリスクを負う訳です。

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2005/01/17

パススルー対応

磯崎哲也事務所さん「大丈夫?パススルー対応」から。

私は興味あります(笑)。

例えばファンドなどでよく利用される民法上の組合や有限責任投資組合も税務上はパススルーですが、あるファンドさんから質問を受けまして、興味があるのでちょっと調べてみたケースなんですが、 通常、個人であれば、配当の源泉税は所得税(国税)7%、住民税(地方税)3%のあわせて10%なわけですが、上場会社の証券代行をしている信託銀行さん等は、組合を原則「法人」としてみなして、所得税7%だけ源泉して、地方税3%を源泉徴収してくれないわけです。

実は組合の税実務って気になっていたんです。これで一端がわかりました。磯崎さんご指摘のように、組合への出資者は法人が過半だから、このような実務になったものと勝手に想像しています。

LLPができたり、個人がファンドに直接投資するようになると、そもそも「法人」「個人」という2区分しか念頭にない処理はまずいですね。今でも、社員持株会のように、社員の住んでいる地域別に地方税を納付してくれている例もあるようですが、そもそも「組合がパススルーだ」というのは、ファンドや証券会社や信託銀行さんなら当然ご存じであるべきで、黙ってても最終的な投資家の法人・個人の別や都道府県別の内訳で源泉徴収されるような発想にしとかないと、「パススルー(LLP)時代」に対応できないんじゃないかと思います。

組合(任意組合だと営業者でしょうか)は、各組合員の属性を知っている訳ですし、組合員の移動はそんなにないでしょうから、組合で仮納税する制度も、徴税側の発想的には悪くないかもしれませんね。組合にそんな資金の余裕がない場合にどうするんだという議論は残りますけれど。米国のパートナーシップは、パートナーが非居住者の場合はパートナーシップが代理で非居住者であるパートナーが米国で納税すべき金額をいったん納税する制度があると聞いたことがあります。

なんでもかんでも源泉徴収というのも、払っているという実感が乏しくなるきらいがあるので、どうかとは思いますが。

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2005/01/14

大証「会社情報等に対する信頼向上のための上場制度の見直し等について(案)」

見逃していましたが、コクド問題に端を発した情報開示ルール強化の流れの中で、昨年12月21日付で大阪証券取引所が「会社情報等に対する信頼向上のための上場制度の見直し等について(案)」をパブリックコメントにかけていました。コメントは1月11日で締め切られてしまいましたので、今は応募できません。

内容を見ると東証とほぼ同様の措置に思われます。ただし、ヘラクレスについては、東証がマザーズに対してとった措置とは異なる姿勢を示しています。両者のパブリックコメントを比べてみるとわかります。

「ヘラクレスにおいて、継続開示会社等ではない親会社等を有する上場会社については、親会社等との関係に加え、以下の内容に係る情報を開示することとする。
①親会社等が継続開示会社等ではない旨
②将来的な親会社等との関係
新規上場申請者の議決権の過半数を所有する親会社等が継続開示会社等でなければならないとする現行の取り扱いについては変更しない」(大証パブリックコメント3ページ)
「マザーズ上場会社については、現行は持ち株比率が50%超の親会社のみが開示義務の対象となっていますが、市場第一部・第二部上場会社と同様、持株比率が50%以下の親会社および当該マザーズ上場会社を関連会社とする会社の情報についても開示を求めることとします。」(東証パブリックコメント3ページ)

つまり、持株比率がたとえば30%の親会社等がある会社が東証マザーズに上場しようと思うと、その親会社等の内容を開示しなければいけませんが、ヘラクレスに上場する場合には財務内容の開示までは求められない、と読めます。

1月11日付でヘラクレスに上場承認されたデジタルスケープという会社に、大証のその立場が示されているようです。この会社の1の部をみると、マスダアンドパートナーズ株式会社(増田宗昭CCC社長の財産保全会社でベンチャー企業投資を業としている会社とされています)が60%超を保有する親会社等ですが、同社は継続開示会社等ではありません(少なくとも、開示資料を見つけることはできませんでした)。

上場時には公募増資(1000株)と売り出し(マスダアンドパートナーズ社による800株)により49.83%と50%以下になることから、親会社等が継続開示会社等でなく、関係等を1の部の22ページ以下で開示するにとどまっていても、上場が承認されたものと思われます。

今後、このような会社の上場の受け皿としてヘラクレスが注目されることになるかもしれません。しかし、逆にヘラクレス上場企業は「コクド予備軍」みたいなレッテルを貼られることのないように、大証は上場企業の開示内容に目を光らせて頂きたいものです。駿河屋の上場廃止を先導したのは大証だというイメージを崩してはいけないでしょう。

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2005/01/13

ジャスダック取引所1ヶ月

13日付日経新聞「ジャスダック、取引所移行1ヶ月」(nikkei.netには掲載されていないようです)から。

「重複上場を表明したのは12日に東証2部上場が決まったサンエー1社にとどまる。
店頭市場のころは他市場との重複上場が禁じられ、知名度に勝る東証1、2部への企業流出が後を絶たなかった。2004年のくら替え社数は39社と03年に比べ5社増えた。重複上場が解禁されたが、なかなか期待通りにはいかない。「上場管理料などコスト増に見合ったブランド価値がジャスダックにはない」との厳しい指摘もある」

サンエーというと沖縄地盤のスーパーで、結構収益力あるんですね。重複上場第1号ですから、逆に「なぜ?」という疑問はわきます。何事も第1号が好きな方はいらっしゃいますので、その類かもしれませんが、ジャスダックがどうやって説得したのかに興味があります。多分、どこかで社長のインタビュー記事があるでしょうし、その際には、(普通の経済記者なら)聞くと思いますので、気にしていようかなと。

値つき率が向上したことで、成り行き注文や立会外取引ができるようになった効果はあったようです。今後は先物やオプションが上場されると、さらに効果が出るかもしれませんね。上場企業の利便性もある意味では大事(投資家としても投資対象がなければ投資のしようがない)ですが、投資家の利便性を第一義に競争してほしいと思います。

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2005/01/11

西武グループの構造

11日付朝日新聞「西武グループ、持ち株会社新設へ 鉄道・コクドを傘下に」から。

西武鉄道グループは、創業家の堤義明・前コクド会長に権限が集中してきた経営体制を刷新するため、グループ経営の中核として新たに持ち株会社を設立する方向で最終調整に入った。これまでは、西武鉄道の親会社コクドがグループ企業の実質的な持ち株会社として機能してきたが、資本関係を抜本的に見直し、コクド、西武鉄道とも新設する持ち株会社傘下の子会社とする。持ち株会社は委員会等設置会社とする方向で、最高経営責任者(CEO)には、みずほコーポレート銀行の後藤高志副頭取を起用する案が有力だ。

朝日新聞紙面上には、新設の持株会社の下に西武鉄道とコクドが並列で並ぶ図が掲載されています。ここで問題となるのは、JASDAQ市場へ上場するのはどこか、ということです。普通に考えれば新設の持株会社であるべきです。そうでなければ、委員会等設置会社が云々以前に、グループの全体の経営に対するガバナンスが効かないからです。

そのなかで、合併やコクドを子会社化する場合は、不振となっているコクドのレジャー事業の立て直しが西武鉄道の重荷になりかねないと判断。2社の経営の独立性を保ちやすい持ち株会社方式を最有力案として絞り込んだ。

2社の経営の独立性といいますが、持株会社のコントロールに服するという点では変わりありませんし、西武鉄道グループのキャッシュフローがコクドグループの事業再編に使われる可能性は十分にあります。それでも、持株会社が上場するのであれば、持株会社の株主総会で株主は発言することができますから、そこでガバナンスを効かせることも期待できます。

しかし、仮に西武鉄道が上場するのであれば、実態として今と変わりはなくなる可能性が残ります。もちろん、現行の上場ルールでは、持株会社が西武鉄道株式を20%以上保有することが前提であれば、持株会社は継続開示会社として有価証券報告書を提出してグループ全体像が見えたとしても、持株会社の経営に対して西武鉄道の株主は何の発言権もありません。

どうも西武鉄道のみの上場を考えているようにみえるのですが、西武グループのガバナンスの根本的な構造問題を解決する方向は見失わないでほしいものです。

コクドと完全子会社のプリンスホテルは、昨年9月末段階で西武鉄道株の約53%を保有しており、虚偽記載の公表前に大量売却した西武鉄道株の買い戻しを進めているため、持ち株比率はさらに高まっているとみられる。持ち株会社を設立する際には、保有する西武鉄道株を移管する予定。

持株会社がコクドを100%子会社化すれば、資産の移動に伴う税コストは最小限ですむと思いますから、これは可能でしょう。結果、持株会社が西武鉄道の株式の80%超を保有する圧倒的な親会社となることが予想されます。やはり、株式交換で持株会社が西武鉄道を100%子会社化して、持株会社が上場するべきでしょう。

ただ、持ち株会社によるグループ再編には、コクドや西武鉄道の株主総会での決議が必要となる。コクドの大株主である堤氏は、改革委の方針に従う意向とされているが、具体的な調整はこれからだ。また、コクドの役職員名義の株について、だれが本当の株主かがはっきりしない状況もあり、今後の道筋には不透明な部分も残る。

歴史が長い非上場会社の株主の確定は、過去従業員個人に株式を(本当に)譲渡している場合、一般的にいっても大変です。相続等で移動している可能性があるからです。2006年4月施行といわれる会社法の現代化では、株式の譲渡を制限できるイベントとして相続や贈与を加えられるようになる予定ですから、この部分は大分楽になると期待されます。

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個人事業の整理

9日付日経新聞「松下グループ、松下興産の売却検討・1000億円超支援」から。

松下電器産業グループが、多額の負債を抱え業績が悪化している不動産会社、松下興産(大阪府守口市)の売却を検討していることが明らかになった。売却先は大和ハウス工業が有力。松下興産の主力取引銀行である三井住友銀行と松下グループ、創業一族の松下家は売却に向けて1000億円超の経営支援をして、固定資産の含み損などを一括処理する方向で調整に入った。松下グループは創業家とゆかりが深い松下興産の売却により負の遺産処理を終結させる。

松下興産は松下電器産業の大株主で、会社四季報2005年新春号によれば、5,694万株(2.3%)を保有しています。松下興産株式を大和ハウス工業に譲渡する前に、含み損のある事業もそうですが、こちらも整理しておく必要がありそうですね。新聞報道によると、松下電器産業は松下興産の株式の約30%を保有しているそうですから、松下興産は松下電器産業の株主総会で議決権を行使できていなかった訳ですが、松下興産が第3者ということになると、そうはいきませんので。

松下興産が松下電器産業の株式をいくらで取得しているか、および松下電器産業株式をどう処理するかによっては、松下興産への金融支援額も変わってくるのかもしれません。松下電器産業株式の処理で損が出るようだと、それもふまえた金融支援でなければならないということです。

松下興産をコクドのような存在という解説も聞きますが、持株数も少ないですし、少なくとも松下電器産業の持分法適用子会社にして以降は、そうはいえないと思います。ここの処理が課題になるのは、やはり三井住友銀行側が不良債権処理をしたいということが一番大きいのではないでしょうか。

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2005/01/06

花粉症

年始のご挨拶に花粉症であると書いたら、ご丁寧にも「脱・花粉症WEB」さんからトラックバックを頂きました。

実は私は筋金入りの花粉症でして、今を去ること30年近く前から、3月になると鼻の調子が悪くなり、体調も余り良くなかったのです。その後、「花粉症」というアレルギー症状であることが世に知れたことで、自分の同類が意外に多くいることが分かり、それでも完全に治ることはなく、現在にいたっています。ちなみに、血液検査の結果、スギ、ヒノキ、ハウスダストに対してアレルギー反応が出ているそうですから、アレルギー性鼻炎体質であることは疑いようがありません。

花粉症の症状には体がだるくなって、判断力が鈍る、というのがあります。薬の副作用でそうなることもあります。したがって、経営者の方には、花粉症は大敵です。3月決算の会社は、1~3月期は「数字を仕上げる」時期です。ここで経営者が花粉症でダウンする訳にはいきません。企業の規模を問わず、花粉症対策に余念がない経営者の方に何度もお会いしましたが、本当に何でも試されます。

私は耳鼻科から薬を処方して頂いておりまして、花粉の飛散前から服用することで症状の緩和にそれなりの効果があります。今年は年末から服用を始めましたが、ちょっと遅かったようで、年末年始がぼろぼろになったわけであります。それも今は少し持ち直してきました。

甜茶のような民間療法も試したこともあります。どれも長続きしないのですが、今も継続しているのは、アロエ入りヨーグルトです。お勧めの量は食べられないのですが、毎朝カップ1杯は食べています。昨年は、花粉の飛散が少なかったこともあり、症状は軽かったので、記録的飛散量と言われる今年でどうなのか、試しています。現在の所、残念ながら期待されたほどの劇的な効果にはなっていないようです。

最近やってているのは、鼻を洗う、というやり方です。専用の器具もありまして、白湯を鼻に通すことで、粘膜を鍛えのだそうです。一応、白湯を通す瞬間は鼻が痛いですが、しばらくは鼻がすっきりするので、1日数回はやっています。それと、帰宅後の目の洗浄ですね。これも刹那的な快感を求めるものでしかありませんが。

というわけで、この時期はマスクと点鼻薬と目薬が手放せないという状況はここ20年以上変わりません。「脱・花粉症WEB」さんで紹介されている経口減感作療法が効果があるのであれば、このシーズンが終わったら試そうかなと思ったりしています。

このシーズン中に早々に試したいのは、部屋に空気清浄機を置くことです。長女を抱っこしながらくしゃみをするような訳には絶対にいかないので...。どの機種がいいか、現在思案中です。

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2005/01/05

日本版LLP

4日付日経新聞「新事業体創設へ、法人税の納付不要・経産省」から。

経済産業省は法人税を納める必要がないうえに、出資者の責任を限定できる「有限責任事業組合(LLP)」と呼ぶ制度を創設する準備に入った。今月中に召集予定の次期通常国会に関連法案を提出する。法案が可決されれば、今年夏にも活用できる見通しだ。資本力が弱い個人やベンチャー企業を含む共同事業、弁護士事務所などの活用を見込み、会社でもなく組合でもない新しい事業体の普及をめざす。

年末の税制改正で組合に係る税制が変更されていますが、今回創設される「有限責任事業組合」についても同様の規定が適用されることで年末に経済産業省と財務省で合意がなされていたものと思われます。

法人出資者の場合は出資額を限度に損益通算可能にすること、個人の場合は(平成18年度の所得からではありますが)損失をなかったものとみなすこと、となります。これが原則です。

一応、法人・個人どちらにも、「組合に係る重要な業務の執行の決定に関与し、契約を締結するための交渉等自らその執行を行う組合員は除く」という例外規定がありますので、ベンチャー企業や弁護士事務所などで実際に業務の執行に携わる組合員は、より幅広に損益通算が認められるものとは思います。

会社法現代化に伴って創設される合同会社についても同様の税制になるのでしょうか。米国のLLCは原則として法人とみなすという通達もあると聞いていますので、こちらについてはまだ紆余曲折があるのかもしれませんね。

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2005/01/04

株券ペーパーレス化の影響

1日付朝日新聞「堤氏、事前に違法性認識 監視委・検察協議 西武鉄道株」から。

西武鉄道による有価証券報告書虚偽記載問題で、同社グループのオーナーである堤義明・前コクド会長が04年5月ごろ、個人名義に偽装した西武鉄道株をコクドが違法に大量保有していた事実についてコクド役員から報告を受けていたことが分かった。偽装の発覚を恐れて両社役員が対策を協議していたことを受けたものとみられ、堤前会長らが違法性を認識していたにもかかわらず、西武鉄道は同年6月、虚偽の記載をしていた疑いが強まった。証券取引等監視委員会も詰めの調査に入っており、東京地検特捜部と協議している模様だ。

記者会見で虚偽の発言をしていたということですから、いよいよ堤義明氏ご本人に捜査が及ぶ事態になりそうです。捜査は整斉と進めて頂きたいですし、その後の裁判では、相続税や証券市場制度のどこに問題があり、それがどのように利用されたのかが明らかになることを期待します。それを受けて、税務および金融当局は制度の改正に動いて頂きたいと思います。

ところで、朝日新聞の報道によると、西武鉄道が名義株問題を隠しきれないと判断した最大の理由は、株券ペーパーレス化だったとしています。

関係者によると、西武鉄道とコクドの役員や株式担当者は03年中、上場企業を対象に株券を電子化してペーパーレスにする制度が数年後に実施される公算が大きくなったことから、意見交換の場を数回にわたって開き、対策を協議した。
この制度では、株主は証券会社などを通じて「証券保管振替機構」に株券を預けた上で、電子化対応の管理口座を開設する手続きをとるが、株券を預ける際に株主の本人確認などが必要となる。
両社の協議は、個人名義に偽装してコクドなどが保有する西武鉄道株の取り扱いが主要テーマとなり、株主の本人確認手続きにより名義偽装が発覚する可能性が高いとの認識に至ったという。
 

株券ペーパーレス化に名義偽装を発覚させる効果があるとは気づきませんでした。担保株券の第3者対抗要件が一番気になっていたのですが、そちらは株主名簿記載をもって対抗できるようになるそうなので、あとは銀行等の実務家の方々に詰めていただけると思っておりました。私がそんなこと考えている間に、コクド/西武鉄道グループの幹部の方々は、堤義明氏の相続対策への影響に関する会議を延々と繰り広げられていたことになります。企業オーナーの資産管理に関与する方々のご苦労と想像力には恐ろしいものを感じます。

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「経営者天国」

30日付日経新聞経済教室『「経営者天国」牽制が必要』(上村達男早稲田大学教授)から。

上村氏には、『会社法改革―公開株式会社法の構想』という著書もあり、株式会社が資本市場からお金を搾取する存在になりがちであるという観点からの発言が多数あります。

上村氏の論旨は、完全子会社の経営者に対して完全親会社の株主によるガバナンスが効くように会社法で手配しないと、完全子会社が経営不正の巣になってしまう、というものです。例として、旧日本興業銀行に係る株主代表訴訟がみずほホールディングの発足により門前払いされた件、旧大和銀行に係る株主代表訴訟がりそなホールディングが発足するために早期の和解を強いられた件、UFJ銀行による三菱東京FG宛優先株式発行はUFJホールディングの経営に重要な影響があるにもかかわらずUFJホールディングの株主総会決議が不必要であった件、があげられています。

純粋持ち株会社を使った株主代表訴訟逃れについては、現在法案とりまとめ作業中の会社法現代化で手当てされるようですが、上村氏は、会社法現代化案においても完全子会社に対するガバナンスに関する手当てがなされておらず、不十分だとの立場です。確かに、UFJ銀行の優先株発行については、UFJホールディングの株主の立場からみれば割り切れないものがあります。

統合比率すら示していない三菱東京FGとの経営統合が良いと言い切る経営陣も腹をくくっている筈です。その実現を確実にする手段をとる権利はあるでしょう。しかし、本来は株主総会の特別決議が必要な経営統合を、中核子会社の種類株発行により、それ以外に手段がないような状態にできる商法には、やはり「問題あり」かなと思います。

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仕事始め

あけましておめでとうございます。

私事ですが、今年は「厄年」、しかも「本厄」です。昨年夏には長女が誕生し、お蔭様で今は夜の寝付きも良く、順調に育つということで、良い年でありました。しかし、年末に花粉症による(私は20年以上前から花粉症の症状に悩まされていますが、この時期からというのは経験がありませんが、耳鼻科の診断では反応が出ているそうです)鼻の不調と、風邪とがあいまって、喉がやられてしまいました。その結果、年始から不用意な言動連発で、育児という消耗戦を日々展開しているカミさんと険悪になっているという有様です。早めにどこぞの神社仏閣で厄払いをうけた方がよさそうです。

それでも世の中は動いています。気になることは多々ある訳でして、それらを備忘録的にピックアップしてコメントするという極めて私的な営みである(コメントやトラックバックでネットでしか存じ上げない方の叡智にアクセスできるというおまけまでついている)当blogは継続していきたいと思います。

年末にも同じようなことを祈念しましたが、年頭にあたり改めて。「今年1年が地球上の生きとし生ける者すべてにとって、良い年でありますように」。

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