昨日の「自社株信託による寄付」について。もう少し。
受託者である Orient Trader International Limited でググると、プレスリリースが2つ(これとこれです)ヒットしました。ここから想像するに、Orient Trader International 社は投資会社のようですね。とすると、Orient Trader International 社としては、一度に星野前社長保有の株式を取得するのではなく、信託勘定にあるペイントハウス株式は株価動向をみながら、自社投資勘定に移動させるのかもしれません。その後、株価回復を待って転売して、キャピタルゲインを狙う戦略ではと。
ただし、一度に星野前社長から株式を譲り受けるとなると、発行済株式の70.8%ですから、問題が生じます。
まず、現行証券取引法ではたとえ当事者間合意の上であっても、発行済株式の3分の1超を取得するには、株式公開買付を実施する必要があります。株式公開買付を実施するには、公告費用や証券会社への手数料を払わなければなりませんし、星野前社長以外の株主が応じる可能性もあります。
第2に、一度に1つの価格で株式を取得すると株価変動リスクが大きくなります。ペイントハウスの11月30日の終値は21600円と、それまでの株価を上回って引けています。今後も株価が上昇基調であれば良いのですが、そうとは限りません。それよりも、何回かに分割して移動させるドルコスト平均法もどきをやる方がリスク軽減効果があるとふんでもおかしくはないでしょう。
それらを避けながら、議決権は受託者として信託開始時点で保有することでペイントハウスの筆頭株主としての発言権を確保できるというOrient Traders International 社に都合の良いスキームにも見えます。
実際のところはわかりませんので、結果としてどうなるかに注目したいと思います。
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