節税と脱税の隙間には今日も冷たい視線がふる
西武鉄道等に関するエントリ(これとこれとこれ)について、BigBanさんからトラックバックを頂戴致しました。ありがとうございます。堤義明氏(あるいはその父である堤康次郎氏)の言動を擁護するつもりは全くありません。また、渡辺恒雄氏についても、有価証券報告書虚偽記載を放置した点では同断だと思います。
ただし、
相続税についても非上場会社のコクドを使って自らが支配する数多くの企業の法人税を払わないようにするばかりか、巧みに相続税対策を駆使し、「自分の資産を遺産として残し、それが目減りする事なく、代々受け継がれるようにする事」を実現させている。
というのは、ある種の人たちにとっては、本能のようなものだとも思います。会社の株式が相続財産の大半の場合、相続が会社の経営にネガティブな影響を与えることは、多くの利害関係人にとってネガティブです。例えば、上場企業の社長が急死して、相続税納税の為に遺族が上場株式を大量に処分すると、株価は下落し、上場企業が事業拡大の為のエクィティファイナンスを実施することは困難になります。非上場会社の場合、相続税負担を嫌う子息が事業継続を断念する事態もあります。
今回明らかになった名義株は、法令違反の脱税行為ですから、それを擁護するつもりはありません。しかし、法令の範囲内で、税額を少なくする節税(タックスプラニング)は認められてしかるべきでしょう。節税も度を過ぎると脱税になるでしょうから、その境目は「常識」で判断すべきものであります。その意味で堤義明氏には「常識」が欠けていたのでしょう。「そういう風に育てられた」という解説を聞いたこともありますが、その点は当事者にしか分からないことであります(義明氏の異母兄弟の著作であるこの小説にでも書いてあるのでしょうか)。
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コメント
BigBanです。コメントありがとうございます。内容につきましては、ゆっくり拝見したいのですが、それ以前にTBをずいぶんだぶらせて貼ってしまったようですね。申し訳ありません。1つのみどこか残して削除していただいても結構ですので・・申し訳ありません。
投稿: BigBan | 2004/12/24 11:21
削除の件対応しました。
投稿: krp | 2004/12/24 13:48